<よいこの音楽べんきょう室・パート15/ダンス演奏について>
「ねえ、先生。去年から中学校で、ダンスの授業が義務化されたって、ホントなの?」
「あら〜、よく知ってるわね。そうよ、中学校ごとに『創作ダンス』、『フォークダンス』、
『現代的なリズムのダンス』、の三つの中から選んで、2012年4月から授業に取り入れ
ること、って文部科学省のお達しが出たのよ。多くの学校は『現代的なリズムのダンス』
を選んでいるらしいけど」
「げぇー、やっぱりホントだったんだ。困ったなあ、あたし、音楽の才能は飛び抜けて
いるけど、体動かすの、あんまり得意じゃないんだ。なんでそんなこと言い出したのか
なぁ、お役所のストーンヘッド」
「(ストーンヘッド?・・・って石頭、か、言うじゃない)。そうね、武道教育の義務化
を決めたので、そっちばかりに目がいかないようにするため、って皮肉って言う人もい
るわ」
「それなら、あたしの得意な日本舞踊を義務化してくれればよかったのに。じゃ、中学
校に入る前にダンス教室に通って、ダンス習っとくかなあ。あ、それよか、パパにお願
いして、自宅にスタジオ作って、ダンスの先生を呼んじゃえばいいんだ。誰がいいかな、
やっぱ、エグザイルかな、それか、サムとか」
「(ほいほい、好きなこと言うとれ)あなたみたいなのがいるから、なんだかんだで、
ダンス関係の産業がうるおってるって話も聞くけどね」
「ところで先生は、ダンスって出来るの?」
「(結局その質問かい)あーら、先生だってダンスぐらい出来るわよ」
「盆踊り以外に、よ」
「(バレとるやんけ〜)あら、盆踊りもボンダンスって立派なダンスよ。それに、先生、
社交ダンスには詳しいのよ」
「ああ、社交ダンスって、アレでしょ、○○ダンスコンテスト、優勝は、ドロ
ドロドロ〜・・38番のキンタロー。ペア!、とか、やってるやつ」
(『キンタロー。』の『。』って面倒くさいのよね)別にコンテストの為のダンスってわ
けじゃないけど、一般的にはソロでなく、大勢でなく、男女がペアで踊るダンス、そし
て最近は、競技ダンスの『インターナショナルスタイル』の次の10種目を指して、社
交ダンスって呼ぶことが多いみたいね」
<スタンダード>
・ワルツ (スローワルツ) 3/4 30
・タンゴ (コンチネンタルタンゴ) 2/4 33
・スローフォックストロット 4/4 30
・クイックステップ 4/4 50
・ヴェニーズワルツ (ウィンナワルツ) 3/4 60
<ラテン>
・チャチャチャ 4/4 30
・サンバ (インターナショナルサンバ) 2/4 50
・ルンバ (キューバンルンバ) 4/4 27
・パソドブレ 2/4 62
・ジャイヴ 4/4 44
「先生、ダンスの名前の後ろの数字はなあに?」
「ダンスのテンポを表す、拍子と1分間の小節数よ。たとえば、ワルツは4分の3拍子
で1分間に30小節=メトロノームで90、スローフォックストロットは4分の4拍子
で1分間に30小節=メトロノームで120、というきまり。もちろん、幾分かの
テンポの遅い・速いはあって、大会本番のテンポが、練習のときのテンポと微妙に違っていて「音をはずす」、
つまり、音楽に乗れずうまく踊れない、ってこともあるらしいけど」
「へー、じゃさ、ダンス会場とかで生で演奏するバンドって、それに合わせたテンポで演
奏しなくっちゃいけないわけだ」
「そうね、パーティダンスは年齢や習熟度によってある程度自由なテンポでもいいけど、競技ダンスには
そういう決まりがあるから大変。どちらにしても、バンドとしては、自分たちの個性を出しながらも、踊る人たちにいかに心地
よく踊ってもらえるか、を一番のポイントにおいて演奏するわけね」
「ふーん、ダンスの伴奏をするバンドさんも、けっこう大変なんだ」
「(お前が心配せんでもええわ)社交ダンスは、中学校でやるダンスとは違うけど、リ
ズムに乗って体を動かして、嬉しさとか楽しさとかを表現する、という点では同じね。
あなたも机の下でスマホばかりいじってないで、少しは、その渡辺直美みたいな体を動かしたほうがいいわね」
「じゃ先生も、その社交ダンスっての、ちょっと踊って見せてよ」
「あら、誰が踊れるって言った。詳しいって言ったのよ、いろいろネットで調べたから。
でも、それと踊れるのとは別問題」
「わー、苦しい言い訳。それをことわざで、『踊れる者はワラをもつかむ』、って言うの
ね」
「ありがと。あなたの成金パパにも、『踊る平家は久しからず』、ってことにならないように言っといてね。
じゃ、よいこの音楽勉強室、今日はこれまで。まったね〜」
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