熊さん流・ジャズの勉強法「熊さんコードで悩む・2」
熊「イチニ、イチニ、♪しあわせは あるいてこない だからあるいて ゆくんだね〜、
っとくらあ。大家さん、いるけえ」
大「ばあさん、また熊の野郎だよ、夜中だってえのに騒々しいやつだ、さっさと入えれ。
なんだ『三百六十五歩のマーチ』なんぞ歌って。それに、今夜は隣町のバンドの練習って
言ってたが、それにしちゃずい分遅いな。」
熊「それだよ大家さん、ついては、この歌の続きを知ってるか?」
大「またか。たしか、一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩下がる、だったかな」
熊「それだよそれ!隣町から、三歩進んで二歩下がる、って歩いてみたけど、ちっとも前
へ進まねえ」
大「それで遅くなったのか、呆れた奴だ。ところで、前回の「1.コードの表記」のこと
は少しは分かったのか」
熊「ああ。ダイアトニックコードってのに自分で名前を付けてみた。C、Dm、Em、
F、G、Am、Bdimでいいんだろ。簡単過ぎて面白くねえ、ってなもんだ」
大「そう、確かに簡単で、これじゃジャズでは物足りないな。そこで、もう一つ上に音を
重ねて、四和音にしてみる。もっと重ねることもあるが、とりあえずは一つ加えて、ピア
ノで弾いてごらん」
熊「えー、まだ足すのかい。するってえと、CEGB、とか、DFACとかにするわけか・・・
おやおや、変テコリンな音だ・・・おい大家さん、このGBDFってのは、なんか幼稚園
の、起立→礼→着席!の、礼、みたいな音だな」
大「そこだ。四つ目の音は、元の音から数えると7番目になるから、これをセブンス、と名
付けるが、セブンスにも二つあって、
・コードCの7番目・Bは、もう半音上でCに届く、このコードを、
・Cメジャーセブンスと呼び、CM7とかC△7と書く(C△、CMA7、Cmaj7とも)
・熊さんが変テコリンと言ったように、コードに色合いを付ける、装飾的な役割
ところが、
・コードGの7番目・Fは、全音上でGに届く、このコードを、
・単にGセブンスと呼び、G7と書く
・熊さんが「礼→着席」と言ったように、コードに動きを与える、機能的な役割
ということで、CM7、Dm7、Em7、FM7、G7、Am7、Bm7-5というコードが出来る。
(B・D・F・AはBm7-5と書きます、Bdim7とするとB・D・F・A♭のことになります)
ここから「2.コードの機能」の話になるわけだ」
熊「ふふふ、昨日(機能)の話を、今日するわけだ」
大「黙って聞きな。で、♭も♯も付いていない明るい曲では、CやCM7は安定した響きに
聞こえるが、G7は不安定で、はやく終わりたい、みたいに聞こえるな」
熊「礼!が済んだら、早く座りてえ、って感じだな」
大「つまり、Cから遠い、GとかFは不安定に響く、ってことだ。そこで今度は、C、D、
E・・・を、順にローマ数字に当てはめて、
C=T(1)、D=U(2)、E=V(3)、F=W(4)、G=X(5)、A=Y(6)、B=Z(7)
としてみる」
熊「おやおや、♪大きなノッポの古時計〜、の文字盤みてえな字だな」
大「で、さっきのC、G、F、の三つのコードを、『主要三和音』と名付け、
・C=T(トニック、Tonic、略記=T)→ 曲の中の最初や最後に使う安定したコード
・G=X(ドミナント、Dominant、略記=D)→Tへ動きたがる動的なコード
・F=W(サブドミナント、Subdominant、略記=S)→DやTに進む装飾的コード
という名前を付けて、機能で分類することにする」
熊「なんでい、そんなややこしい名前付けなくっても、C、G、Fで、いいじゃねえか」
大「いやいや。2008年1月25日のエッセイでやったが、シを♭させると、ファから始め
ても、ドレミファソラシドに聞こえる、ってのを、覚えてるか」
熊「ああ、あ〜あ!忘れた」
大「後で見てみな。これまでは♭も♯も付いていない曲を考えたが、今度は、♭が一つ付
いた、キーがFの曲で見てみると、Fってコードは安定して響く曲の基本のコード、つまり
トニックの役割をするコード、ってことになる」
熊「ふーん。しかし、FはFだろ」
大「そこだよ」
熊「どこです」
大「なんか、デジャブを見ているような・・・その時も言ったが、音楽で大切なのは、そ
の曲の感じをつかむことだ。キーがCの曲ではFは装飾的役割だが、キーがFの曲ではF
はトニックの役割をする、それを認識した上で、アドリブなどを演奏する、それが重要ということだな。
今日は夜も遅いからこれまでにして、また機会があったら、
・残りのUm7、Vm7、Ym、Zm7-5 の機能
・Tに6番目を加えたC6(T)と、同じAを含んでも機能が異なるC13(D)
・マイナーの曲とメジャーの曲のコードの違い
・Gをさらに動的にする、G7に含まれる大切な『導音』
の話でも・・・どうした熊さん、かけっこのスタートの格好をして?」
熊「早く帰りてえから、俺にはこっちのほうが大切だ」
大「こっちの、というと?」
熊「ヨーイ、ドォーン(導音)!」
|