バンドマン風「悪魔の辞典<ゆ>」
<ゆ>

ゆ【湯】
水を温め温度を高めたもの。バンドマンは、他人に飲ませる時は温度の高い「煮え湯」、 自分が浸かる時は温度が低めの「ぬるま湯」、など自在に使い分ける。

ゆうじゅうふだん【優柔不断】
最近の男性、特に、よく電車を利用する男に見かけられる、自分で物事を決められず、 インターネットサイトに相談を書き込むような、決断力のない性格のこと。

ゆうゆうじてき【悠々自適】
金と時間はあるが、信条や信念がない、という暮らしや人生のこと。その立場になって初めて 虚しいものだと分かる、多くのサラリーマンが抱くの定年退職後の夢。その点、 ニュースカイラークメンバーの人生の、なんと充実して豊かなことか!

ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな【幽霊の正体見たり枯れ尾花】
怖い、怖いと思って演奏していると、白いタキシードを着ているバンマスが、幽霊に見える という、バンドマンがステージでよく見る錯覚。

ゆえんなしばらはんどく【油煙梨原半読】
1)油の煙が流れる、梨の原で、本を半分読む、という漢詩。
2)エルビス・プレスリーの「ハウンドドッグ」の歌い出しの部分。残念ながら、元の英語の歌詞は、 著作権の関係で記載出来ません。知りたい方は自分でCDなどをお求め下さい、あしからず。

ゆだんたいてき【油断大敵】
バンマスの機嫌がいい時、ジャーマネが正直な時、いくら酒を飲んでも体の調子がいい 時、演奏してもあまり疲れない時、女房の愛想がいい時、子供がよくいうことを聞く時 など、そういう時ほど油断するな、というバンドマンの心構え。

ゆだんたいてきひがぼうぼう【油断大敵火がぼうぽう】
ちょっと気を緩めるとすぐ火の車になる、バンドマンの家計のこと。

ゆたんぽ【湯たんぽ】
中にお湯を入れ、夜は布団を暖め、翌朝は皆でそのお湯を分け合って顔を洗うことで 心まで暖めてくれる、暖房器具。残念ながら、電気暖房器具の普及や核家族化とともに、使用され なくなってきた、絶滅危惧の民具。

ゆでたまご【ゆで卵】
食べる時、額で殻を割り、塩を付け(マヨネーズではない)、口から黄身をふき出し、 食べた後は手のひらの黄身をパンパンとはらう、というルールのある食べ物。団塊の世代 にとっては、玉子焼き、目玉焼きと並ぶ「弁当のおかずビッグスリー」のひとつ。

ゆとり【ゆとり】
このコラムを必死で書いている筆者に一番必要な、時間的、精神的な余裕のこと。

ゆびきたす【ユビキタス】
「ユビキタス=ubiquitous」はラテン語で「(神のように)いたるところにいる」という 意味。あらゆる場所やモノにコンピュータを組み込み、それをネットワークで結んで、人間社会を コンピュータに支配してもらおう、という新しいカルト信仰。

ゆびさしこしょう【指差し呼称】
例えば、家族で旅行に出掛ける前に、「戸締りよーし、火の元よーし、留守番のおじいちゃん よーし」などと、指を指し、声を出して確認すること。

ゆめ【夢】
一般的には寝ている間に見、バンドマンの場合は起きている間にも見る、心象現象。

ゆめはごぞうのつかれ【夢は五臓の疲れ】
落語「ねずみ穴」のオチに使われている、「夢は内臓が疲れている時に見る」という 俗説。

落語「ねずみ穴」
親の遺産を元手に江戸で成功した兄の所に、遊びで遺産を使い果たした弟が、田舎から訪 ねて来た。「店を出す元手を貸してやる」と兄がくれた金包みを弟が開けてみると、中身は たったの三文。「何てぇ兄貴だ!」と腹を立てたが「今に見てろ〜」と思い直し、それから 真っ黒になって働いた。

十年後、大きな店を出し妻子も持った弟は、番頭に「火事に備えて、蔵のねずみ穴を塞い でおけ」と言い残して、兄の店を訪ねた。
「あの時の三文を返しに来た」と言い捨てて帰ろうとする弟に「まあ待て」と、兄は酒を勧め、 「実は・・」と、弟を立ち直らせるため心を鬼にして三文渡したことを詫びたので、弟も「そう とは知らず」と仲直りして、その晩は泊まることにした。

その真夜中・・・
「火事だ!」という騒ぎに、慌てて弟が店に戻ると、店は焼け、土蔵も、番頭がねずみ穴を 塞ぎ忘れて火が入り、全てが灰に。「もう一度元手を貸して」と頼んでも、兄は手の平を返し たような冷たい態度。落ち込む父を見て、娘が身を売って金を算段してくれたが、今度はその 金をスリに盗られてしまう。失意のあまり「いっそ、死のう」と、木に縄をかけ、
「ナムアミダブツ、ウーッ!」

「うるさいやつだ、おい起きろ、何か夢でも見たか」
「・・・夢?あ、夢だ、よかった!兄さん、怖い夢をみた!」
「なになに・・・、そりゃ大変な夢を見たな」
「ねずみ穴が気になって、あんな夢を見たんだろうか」
「ああ、夢は土蔵の疲れだ」

バンドマンにとって「どうせ酒を飲むなら、意識を無くして夢を見ないぐらい飲め」という 生活訓の落語。

なお、「夢だった」というオチを持つ落語には、
・夢の酒・・・妾宅で酒の燗を待つうち目が覚め「冷やでもよかった・・・」
・夢金・・・・金持ちの娘を助け謝礼の金をギューと掴んだら、自分の「金」だった。
・天狗裁き・・夢の話をしないからと天狗に八つ裂きにされたら、夢だった。
などがある。落語ならいいが、一般的には、話の一番くだらないオチなので、間違っても 使わないように。

ゆりかごからはかばまで【揺り籠から墓場まで】
1)イギリスでは、社会保障制度充実のスローガン。「from the cradle to the grave」。
2)日本では、生まれてから死ぬまで悪税、悪銭、悪夢、悪運、悪妻、などが付いてまわる、と いう悲しい定めのこと。