バンドマン風「悪魔の辞典<ち>」
<ち>

ちいとめいよ【地位と名誉】
バンドマンにとって「実態のない価値観」の、最たるもの。“酒と女”の対極にあるもの。
「おまえ、“地位と名誉”と“酒と女”、どっちを取る?」「そりゃあ“地位と名誉”」「へー?」 「だって、“地位と名誉”があれば、“酒と女”が思いのまま」「・・・」

ちがいほうけん【治外法権】
バンマスの権力が及ばない、トッププレーヤーとサイドプレーヤーの隠れた利害関係。

ちからまかせ【力任せ】
体を鍛えることを目的とした楽器の演奏方法。楽器の演奏を体育系の活動と思っている クラブでよく見受けられる。

ちくでん【逐電】
バンドマン用語では「ドロン」と呼ばれる、全員の給料や他人の楽器などを持ち逃げして行方をくらます ような、ごく日常的にみられる行為。

ちしきとちえ【知識と智恵】
1)自分の演奏のミスが分かるのが知識、それを他人のせいに出来るのが智恵。
2)フレーズの切れ目に合わせてブレスを取るのが知識、ブレスを取ったところが フレーズの切れ目ように聴かせるのが知恵。
3)金の貯め方を知っているのが知識、その金で奢ってもらう方法を知っているのが知恵。
4)バレないように浮気をするのが夫の知識、バレていないと思わせるのが妻の知恵。
5)楽譜にリハーサルマークを書いておくのがショーマネージャーの知識、リハーサル無しにもって いくのがバンマスの知恵。

ちじょ【痴女】
男性が一度は出会ってみたいと願う、空想上の女性。

ちーた【チータ】
水前寺清子のニックネーム。歩く時に「3歩進んで2歩さがる」という、非効率的な歩き方を することで有名な演歌歌手。

ちつじょ【秩序】
ジャズをつまらない音楽にするための、理論的拘束。

ちみもうりょう【魑魅魍魎】
人間社会に住み着いている、妖怪や化け物などの総称。人間の姿をしている時は「バンマス」や 「ジャーマネ」などと名乗っていることもある。その場合、長らく人間の姿をしているので自分が 魑魅魍魎であることを忘れている場合が多い。

ちゃらんぽらん【チャランポラン】
バンドマンが得意とする打楽器、「ワカラン」、「シラン」、「ゴマカス」、「アヤフヤ」、など という楽器が発する音色。

ちゅうかんさくしゅ【中間搾取】
ジャーマネの生きがい。

ちりとてちん【チリトテチン】
上方落語のひとつ。江戸落語では「酢豆腐」。
旦那と旦那お気に入りの男が、いつも知ったかぶりをする手伝いのタケを懲らしめようと、 腐った豆腐を「長崎名産・チリトテチン」と紹介する。誘導尋問に引っかかったタケは 「そんなもん以前に食うたことある」と、自分から食べるハメに。死ぬ気で飲み込んだあと、 「タケ、チリトテチンてどんな味や」「ちょうど、豆腐の腐ったような味ですわ!」
「酢豆腐」の場合は、嫌われ者の若旦那が町内の若い衆に挑発されて腐った豆腐を食べる。食べたあと 「若旦那、こりゃ何てぇ食べ物です?」「こ、これは、酢豆腐でげす」「酢豆腐!、ナルホド、 こりゃいいや。もっとおあがんなさいよ」「いいや、酢豆腐は一口に限りやす」
タケと若旦那に学ぶ・・・「ジャズマンもしかり、孤高を貫くのは並み大抵の努力じゃない」

ちりめん【縮緬】
1)経(たて)と緯(よこ)の糸の性質が違う、細かい皺が寄ったように 織られた、柔らかい感触を持つ布地の一種。
2)イメージと実際の意図の性質が違う、細かい皺が寄ったように演奏された、 いやらしい感触を持つビブラートの一種。