バンドマン風「悪魔の辞典<せ>」
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せいあくせつ【性悪説】
人間のうちで、自分以外は全て、生まれながらにして悪人だ、という考え方。

せいぜんせつ【性善説】
人間のうちで、自分だけが、生まれながらにして善人だ、という考え方。

せいきょういく【性教育】
学校教育のうちで最も、理論だけが先行して、実践が伴っていない科目。

ぜいきん【税金】
「税金の、税金による、税金のための政治」に使われるお金。

せいさくはっぴょうかい【制作発表会】
バンドマンが子供をどんなふうに育てたか、を見てもらう、父兄参観日。

せいじんくんし【聖人君子】
野望も執着心も失くした、人生をあきらめてしまった人のこと。一般社会ではいい人と して通用しても、バンド社会では通用しない。なお、これを「聖人くん」と「君子ちゃん」の兄妹と 間違えないように、念のため。

せいふく【制服】
おそろいの服。バンドでは、私物化できないよう、思いっきり派手にする。服の色で バンドを「赤バン」「青バン」と呼び分けることもある。安物の生地で作り、汚れてもクリー ニングに出さないことで、「場末のバンド」の雰囲気をかもし出す。

せきにんしゃでてこーい!【責任者出て来ーい!】
責任者が出て来ないとわかっている時に叫ぶ、抗議のパフォーマンス。 責任者も、出て行って面倒にならないよう、居ても出て行かないのが マナー。

せけんてい【世間体】
社会的評価の一種。くだらないわりには、世間一般に広く蔓延している。これを気に するかしないかで、清く正しいバンドマンになれるかどうかが決まる。

せけんばなし【世間話】
ステージ上で、演奏者同士が意味ありげに話している内容の、大半。

せじ【世辞】
年下の奏者が、このさき上達する見込みのない年上の奏者に向って、心を込めて言う、 慰めの言葉。

せんきょく【選曲】
ダンス曲をやればバンドに、ジャズナンバーをやれば客に、どちらにしろ恨まれる、 という、バンマスがステージで一番頭を悩せる作業。

せんち【センチ】
トロンボーン奏者・トミードーシーの名演で知られる「I'm Getting Sentimental Over You(センチになって)」の略称。高い音域を甘く、ソフトに表現しなければならない難曲。 トロンボーン奏者が、「このキーはやりにくいから」と言って、曲のキーを下げる時は、実は、 そいつのハイトーン能力が衰えてきた証拠なんだ、間違いナイ!。

せんどうおおくしてふねやまにのぼる【船頭多くして船山に登る】
「おい誰か、この曲のコーダの中、どうするんやったかな?」「書いてある通り、 頭からritでしょ」「違うよ、2小節インポテンツで3小節目からritになったよ」 「そう?rit無しじゃなかった?」「俺のは、2小節エンピツで消してある」「え、 カット?」「違う、ラッパは休みになった、ラッキー!」「ボントロはもともと休み」 「あのね、休みの人はいいから!ベース、どうなってる?」「俺、いつもタイコに合わせ てるから」「えー!じゃ、タイコはどうなってンの?」「え、どの曲?」「あのね、 さっきから言ってるやろ!最後から2番目の、えーっと、・・・誰か、まともに聞とる 奴、おらんのかい!」「おじゃましまーす、ターウのジャーマネです。すみませんけど、 さっきリハでやった、最後から2番目の曲、あれ、カットにしましたので。よろしく お願いしまーす。」「・・・・・・」

せんとるいすぶるーす【セントルイスブルース】
マサチューセッツ州に本部を置く「アメリカ・セントルイスブルース協会」は、落語家・ 林家木久蔵氏の「イヤンバカーン、そこはおへそなの、アハーン」という替え歌に対して、 同氏を、セントルイスブルースの名誉を著しく侮辱した「名誉毀損罪」で訴えるかどうか を、目下検討中である。なお、同協会の正式名称は、USA St.Louis blues Organization 、 略してUSO、である。

せんべいぶとん【煎餅布団】
昔、バンドマン御用達だった布団。元は厚くて軟らかだったものが、真綿を使用している ため、圧力や湿気で、薄く、硬くなったもの。化繊綿の布団が普及した現在では、めったに目 にすることが出来なくなった、貴重な日本の文化遺産。