バンドマン風「悪魔の辞典<ぬ>」
<ぬ>

【ぬ】
日本語の中でも、特に使用頻度の低い言葉のひとつ。これは、「ぬ」の発音のイメージ、特に 擬態語などで使われる場合の印象が悪く、好まれないためと思われる。
(例)
・汗かきで、ヌルヌル、っとした肌のボントロ
・舌が、ヌメヌメ、っと動くサックス
・ネカ日になると、ヌチャヌチャ、と、まつわり付いてくるラッパ
・噂をしている所へ、ヌー、っと現れるドラマー
・ヌーポー、っと、考え事をしているベース
・ヌケヌケ、とメンバーを騙すジャーマネ
・ヌラリヌラリ、と話をそらすバンマス

ぬかみそ【糠味噌】
音程が正しくないと腐るという、不思議な能力を持った食べ物。但し、腐ったと判るのは周りの 者だけで、演奏している本人は気が付かないという性質のため、残念ながら、チューナーの代わり には使えない。

ぬかよろこび【糠喜び】
4月1日以外にバンドマンにこれを提供すると、一生涯恨まれる、という極めて危険な喜怒哀楽 のひとつ。

ぬきあし【抜き足】
歩き方の一種。泥から抜くように、そっーと足を上げることからこう呼ぶ。差し足、忍び足と セットで使う。夜討ち、夜逃げ、夜遊び、夜這い、などで使用すると効果がある。

【ぬくぬく】
衣食足りて成長が止まってしまったバンドマンの様子。

ぬけすずめ【抜け雀】
古典落語のひとつ。 駕籠かきが社会的地位の低い商売だった頃の話。
オンボロ宿に泊まった無一文の侍が、宿賃のかたに、 と描き残していった雀の絵。この雀が、絵から抜け出て飛び回り、宿屋は一躍大繁盛。そこに現われた 老人が「抜かりのある絵だ、この雀は疲れて死ぬ」「え゛〜!」。老人は絵に鳥籠を描き 「これで大丈夫」と去って行く。しばらくして、立派な身なりで再び宿を訪れた、くだんの侍。 「そうか、かごを描き忘れていた・・」「あの老人は?」「私の父だ」「お侍様も立派になられ、 親孝行なことで」「いやー親不孝だ、見ろ、父を籠かきにした!」
「水戸黄門的内容」を持つのに、主人公は名前も分からない、という、場末のバンドマン好みの 雰囲気を持つ落語。

ぬすびとをとれえてみればわがこなり【盗人を捕らえてみれば我が子なり】
「きりたくもあり、きりたくもなし」に付けられた、前句。
前句付けでは、いろいろのパターンが楽しめる。たとえば、
・フリ込みが みえみえなのに リーチかけ
・3番の ラッパは下手だが 気は利くし
・真夜中に 寂しく見ている 再放送
・散らすより 早く治ると 言われた胃
・床屋にて 頭髪の残り あとわずか
・鏡もち 時期を逃して 硬くなり
・エロビデオ これからという時 妻戻り
など。

ぬるまゆ【微温湯】
「入ったが最後、出るに出られず」という、バンドマン社会を象徴する温度のお湯。 お手軽な演歌のバックバンド、アドリブ無しのダンスバンド、など、この温度のお湯は、いたる 処に湧き出ている。よくよく注意していないと、うっかりこれに浸かってしまい、この中で一生 を送ることになる。

ぬれてであわ【濡れ手で粟】
バンドマンの多くが実践しようとしている、労力をかけずに大きな効果を得る方法の一つ。他にも 「棚からぼた餅」、「金は天下の回り物」、「漁夫の利」、「蝦で鯛を釣る」など、バンドマンはいろいろ な方法で「消エネ」を実践して、地球の温暖化防止に協力している。(バンドマンはエライ!)