バンドマン風「悪魔の辞典<に>」
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にえゆ【煮え湯】
バンドマンが愛用している、温度が高めの飲み物。自分で飲むのではなく、他人に出すのに使う。

におい【臭い】
バンドマンが放つ独特の臭いのこと。バンドマン用語では「オイニ」。臭いの元になるのは、粗悪な タバコ、ジャンクフード、酸っぱいコーヒー、二流メーカーの化粧品、安ウイスキーなどで、それら を混ぜてトイレに近い席で嗅いだような臭い。初めのうちは吐き気をもよおすこともあるが、慣れて くると快感に変わる。バンドマンは、この臭いが体に染み込むよう、日々精進している。 なお、ジャズ以外の音楽の場合は「匂い」や「香り」のように表現される。

にがて【苦手】
1)古来より、生れた時に埋めた胞衣(えな=へその緒など)の上を最初に通ったものが苦手になる、 と言われている。蛇が通れば蛇が、蟻が通れば蟻が苦手になる。よって、#の多い楽譜、ハイトーン、 シェイク、ビブラートなどの演奏が苦手な人は、その上を二流バンドマンが通っている。ご愁傷様。
2)「慢性的努力不足」の別称。

にぎりずし【握り鮨】
板前さんが目の前で手で握って作るという、バンドマンにとっては、パック入りや皿に載せられて回って 来る鮨に比べ、不衛生で食べられたもんじゃない、と感じる鮨。

にぎりつぶす【握り潰す】
バンマス・ジャーマネ御用達、よろず苦情・もめ事・交渉事の円満解決法。

にげあし【逃げ足】
バンドマンがよく使う足の運びのひとつ。逃げ足(が速い)というように用いる。 ほかにも、無駄足(を踏ませる)、(他人の酒で)千鳥足、勇み足(をして恥をかく)、 抜き足差し足忍び足(で夜這いに行く)、(いいことをするのにも)二の足(を踏む)など、バンド マンは、生活の中でいろいろな足の運びを使い分ける。

にげたにょうぼう【逃げた女房】
一節太郎「浪曲子守唄」の出だしの部分の歌詞。「〜にゃ未練はないが、お乳欲しがるこの子が可愛い」 と続く。バンドマンの結婚式でも、これを歌うにはちょっと勇気がいるという演歌。

にじゅうじんかく【二重人格】
にっこり笑って給料を下げたり、嬉しそうにクビを通告出来るという、バンドを運営していくため に必要不可欠な性格。

にっちもさっちも【二進も三進も】
「サッチモ(ジャズトランペット奏者ルイ・アームストロングの愛称)にはニッチモという 弟がいた、というジャズ歴史学者がいるが、それは間違いで、漢字の通りニッチモは次男、サッ チモは三男で、ニッチモはサッチモの兄である。」という、くだらないジョークによく使われる言葉。

にっぽんだんじ【日本男児】
ジャズを理解するには、顔に墨を塗り、英語を喋り、アメリカへ行かなければならない、と考えて いる日本生まれのジャズ奏者のこと。

にばんせんじ【二番煎じ】
無難にアドリブをこなしているように見せる場合の、簡便な手段。

にまいじた【二枚舌】
本来の舌とは別に、もう一枚ある舌。遺伝ではなく、本人の努力によって生成される。 この使い方よって労せずして金が入ったり、思いがけずいい目に会えるという、便利な舌。ただし、 長く使っていると「ロレツが回らない」、「舌の根が乾かない」、「噛みやすい」、「薬を飲むと 2倍苦い」などの弊害が出てくる。なお、管楽器の奏法の「ダブルタンギング」とは意味が違うので、 ダブルタンギングの上手な人に「あなたの二枚舌はすばらしい!」などと使わないように。

にまいめ【二枚目】
「男は顔じゃないよ」と言っている、いやみったらしい男の顔立ちのこと。

ニュースカイラークジャズオーケストラ【New Skylark Jazz Orchestra】
年寄りばかりなのに「ニュー」、可愛くもないのに「スカイラーク(ひばり)」、どんな曲でもやるのに 「ジャズ」、8人しかいないのに「オーケストラ」という、詐称だらけの名前を持った、つまり当 バンドのこと。なんか不都合でも?

にんじゅつ【忍術】
古来から伝わる、借金取りから姿をくらます時に用いる古武術。不思議なことに、バンドマンはたい した修行をしないでも、たいていの者が習得している。