バンドマン風「悪魔の辞典<ね>」
<ね>

ネカ【ねか】
バンドマン用語で「お金(かね)」のこと。ただし「おネカ」とは言わない。「やっと明日はネカ日 (給料日)だ」「飲むったって、今日はネカ、無いよ」のように用いる。また、金(キン)ではない ので、ネカ曜日、ネカ色夜叉、♪まさかりかついだネカ太郎、のようには用いない。

ねがえり【寝返り】
気の弱い夫の、消極的「今夜どう?」打診手段。

ねこなでごえ【猫撫で声】
ねずみの母親が、出戻ってきた娘のねずみに「あんないい家の、どこが不満なの」「だって、お姑さんが・・」 「きついのかい」「ううん、優し過ぎるのよ」「優し過ぎるんならいいじゃないか」「でも、猫撫で声で・・・」
(古今亭志ん生のマクラより)

ねこにこばん【猫に小判】
もったいなくて涙が出るほど、価値が釣り合わないこと。小学生にクランポン、中学生にアメセル、 高校生にキング3Bゴールドプレート、大学生にスタンウェイ、二流バンドマンにヤマハ、などと同じ意味。

ねこばば【猫糞】
猫が本能でする行為を、人間の悪事隠しの言葉に使った、猫に失礼な言葉。

ネーチャン【姐ちゃん】
相手の年齢や、未婚・既婚に関係なく、女性全般を呼ぶ時の呼称。丁寧に「オネーチャン」と呼ぶ ことも多い。一般的には品格に欠けるといわれるが、「おばあさん」 「おばさん」「お嬢さん」など、相手によって使い分ける方が、かえって失礼に当ることもあり、 生活の知恵が生み出した呼称。バンドマンは、高級ホテルのフロント嬢、旅客機の スチュワーデス、外国人女性観光客、キャバレーに来た新人女性歌手、などに対しても使用して、広く 普及するよう努めている。

ねつえん【熱演】
「あんた、休む言い訳する時は、そんじょそこらの役者より、よっぽど演技が上手やねぇ!」

ねっからの【根っからの】
「生まれ付いての」という意味。「バンマスは根っからの女好き」、というように用いる。他にも、 「バンマスはいつまでも根に持つ」「バンマスは生まれつき根暗(ねくら)」 「根明(ねあか)のふりをするバンマス」「バンマス生活は根無し草」「バンマスは根も葉もない噂を 信じる」「バンマスの恨みは根が深い」、というように、バンマスと「根」という言葉は相性がよい。

ねっとおーくしょん【ネットオークション】
インターネット上で行われる競売のこと。良いものが安く手に入ることもあるが、逆に、以下のようなトラブルに 巻き込まれることもあるので、注意すること。
<例>
出品物の内容は・・・・・・・・・・・・・玉石混交
思わぬ掘り出し物を見つけて・・・・興味津々
それにしては値段が安過ぎると・・半信半疑
初めは欲しくもなかったのに・・・・・付和雷同
競り値の金額は・・・・・・・・・・・・・・虚虚実実
終盤での競り合いは・・・・・・・・・・丁々発止
知らぬまに自分が最高額者に・・・急転直下
「あなたが落札者」の通知に・・・・・意気揚々
周りの者に自慢して・・・・・・・・・・・喜色満面
しかし、なかなか物が届かず・・・・・疑心暗鬼
しばらくしてやっと届いて・・・・・・・・感慨無量
箱を開けて「何、これ?」と・・・・・・・茫然自失
騙されたと知って・・・・・・・・・・・・・・意気消沈
そんなことはネットでは・・・・・・・・・・日常茶飯
横で見ていた妻は・・・・・・・・・・・・・抱腹絶倒
全く、インターネットの世界は・・・・・複雑怪奇

ねどこ【寝床】
落語「寝床」から派生して、「下手の横好きの旦那芸」のこと。本人はすっかりその気で、 金にものをいわせて発表会などを開いたりして、周りの者はいい迷惑、という芸。 「あの社長、結構、楽器が上手いって?」「いいや、しょせん寝床よ。」などのように用いる。
元の落語「寝床」は、
義太夫好きが高じた旦那、長屋の連中に聴かせようとするが、誰も来ないのに腹を立てて「店立 てだ!」。「義太夫さえ語らなきゃいい人なのに。」と、泣きの涙で集まった長屋の連中、 旦那が御簾内(みすうち)で語っているのをいいことに、出された酒やご馳走をよばれて 寝てしまう。あまり静かなので御簾を持ち上げてびっくりした旦那、「義太夫の人情が分からない ような者は、明日限り、長屋を出ていけ!」。ところが、小僧が一人、部屋の隅で泣いている。 「おうおう、偉い奴だ、どの義太夫が悲しかった?」「あそこでございます。」「あそこ? って、あそこは私が義太夫を語った床(ゆか)じゃないか。」「あそこは私の寝床なんで ございます。」
大部屋で寝る小僧たちが、義太夫のせいで寝るに寝れない、というオチだが、一方では、 プロとアマの違いとは何か、という問題提起をしている、シリアスでこわ〜い噺、でもある。

ねまわし【根回し】
「ごめん、アドリブ、何処いってるか分からんようになったら教えて」

ねるこはそだつ【寝る子は育つ】
子供に対して使うことわざ。図々しく大人に対して使った場合は「寝る子は”体が”育つ」と、正しく言い直して あげること。

ねんがらねんじゅう【年がら年中】
バンドのユニホーム、隣のボイラー室の騒音、バンマスのいいわけ、ジャーマネのグチ、 安飲み屋のつまみ、女房の昼寝、ように、一年を通して変化がないこと。

ねんじゅうむきゅう【年中無休】
精力絶倫バンドマンのキャッチコピー。

ねんちゃくしつ【粘着質】
バンドマンが持っている性質のひとつ。材質に関係なく、タダ酒、あぶく銭、昔の女、楽でギャラのいい仕事 など、何にでも、一度くっ付いたらなかなか離れない、という性質。もし、この性質を研究したい接着剤会社が ありましたら、ぜひニュースカイラークにご連絡ください、とびっきり粘着質の強いメンバーをご紹介します。

ねんぶつ【念仏】
パッケージショーが止まった時や、大物歌手のバックでミスった時に、バンマスがステージで唱える、 悔恨と懺悔のつぶやき。

ねんりき【念力】
ステージのストリッパーの衣装に対して、バンドマン全員がかけている思い。