バンドマン風「悪魔の辞典<な>」
<な>

ないしょく【内職】
本業以外で収入を得るための、補助的な仕事。バンドマン用語ではショクナイ。 「内・職」には、以下のような意味合いを含む。
1)内緒でやる職
2)内容より金が優先の職
3)内心イヤイヤでもやる職
4)内臓が痛くなることもある職
5)女房には稼いだ金を渡さナイ職

ないないづくし【無い無い尽くし】
ないないづくしのバンドマン、力もなければ金もない、
飲み会なんぞは行く気もない、ワリカンだったら楽しくない、
ついては行くけど気がノラない、乾杯音頭に唱和しない、
そのくせ食欲底がない、酒飲み出したら遠慮がない、
女に対して節操ない、色気のブレーキもうきかない、
延々セクハラ止まらない、他人の説教聞く耳ない、
お開き過ぎても席立たない、足元フラフラおぼつかない、
レジではロレツが回らない、ホンネは勘定払う気ない、
トイレに隠れて姿がない、会計済むまで戻らない、
文句を言われて「面目ない、今度は俺が」は本気じゃない、
タクシー乗ったら「小銭がない」、家に着いても戸が開かない、
女房はグッスリ起きてこない、トイレの窓から入るしかない、
フトンに入るなり意識がない、翌朝女房は愛想がない、
なんでか理由が分からない、昨日のことなど覚えてない、
いつのまにやら友もない、それでも暮らしにゃ困らない、
反省・後悔辞書にない、そんな生活やめる気ない・・・

ないものねだり【無い物ねだり】
「諦め」という文字を知らないバンドマンが、生涯繰り返す哀しい行為。

ないらん【内乱】
「お前ら、バンマスの俺が出したテンポに合わせろよ!ホント、毎回、毎回・・・」

ながいき【長生き】
向上心のないバンドマンが送る、悲哀に満ちた人生。

ながしめ【流し目】
「視線」を使った自己アピールのための高等テクニック。バンドマンがやるとホステスさんから「目、 どうかした?」と聞かれる。

ながす【流す】
「熱意のない演奏」の偽装表現。

ながったらしい【長ったらしい】
演奏者自身も終わりたいのに、なかなか終わらないアドリブ。

なかなおり【仲直り】
ひるがえって相手の意見を受け入れること。バンドマンの思考回路には無いため、いったん バンドマンが喧嘩すると、折り合うことがないまま、お互いに寂しい生涯を終える。

ながれさぎょう【流れ作業】
世の中に溢れるほとんどの商業用音楽の、製作から廃棄までの過程。

なぐさめ【慰め】
男女間で、恋愛感情と間違えやすい感情。英語には、Pity is akin to love(可哀想だたぁ惚れたって ことよ)という諺もあり、異性のバンドマンや歌手への慰めは、それなりの覚悟を持ってやること。

なせるはあらぶのだいとうりょう【ナセルはアラブの大統領】
「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の、為さぬなりけり」という言葉の、 後半部分に使うダジャレ(〜何事も、ナセルはアラブの大統領)。古いバンドマンが今でも時々 使うことがあるが、若い者には意味不明の古典ギャグ。

ななころびやおき【七転び八起き】
不屈の行動や精神を表わす諺。ただし、バンドマンにとっては「7回転んだら、起きるのも 7回だろ?」という、へ理屈しか浮かんでこない行動。

なにわぶし【浪花節】
1)浪曲師が、三味線にのせて、義理人情をテーマにして語る、古典的な語り物。
2)バンドマンが、三味線(口車)にのせて、同情心を得るために騙る、古典的な語り物。

なみだきん【涙金】
長年勤めた店をリタイアするジャーマネに(ごくまれに)支払われることがある、本人にとっては 悔し涙、店にとっては嬉し涙、の額の報償金。

なみだぐましいどりょく【涙ぐましい努力】
バンドマンには涙が出るほど大変でも、回りの者には涙が出るほど可笑しい、という努力。
(例)
・給料を一晩で使ってしまったラッパ吹きの、言い訳のための作り話
・ニコチン中毒サックス吹きの、禁煙車両への乗車拒否
・通風トロンボニストの、「痛風の原因はビールじゃない!」という力説
・アル中ピアニストの、ワンカップの買い置き
・浮気症ベーシストの、怪我による入院中の我慢
・恐妻家ドラマーの、浮気のあとの帳尻合わせ