バンドマン風「悪魔の辞典<む>」
<む>

むいかしらず【六日知らず】
1日、2日、3日、と指を折って数えると、6日は指を開かなければならない。しかし、いったん 握ったものを開くのは嫌だ、ということから、ケチ、吝嗇(りんしょく)を表す言葉。じゃんけん をする時、グーしか出さないバンドマンがいたら、多分そうだと思ってよい。

むかいあわせ【向(か)い合わせ】
新幹線の指定席で、自分の周りの人がグループだった時の、なんともバツの悪い座席の向き。

むかいかぜ【向かい風】
バンドマンが前に進もうとする時、それを妨げるように吹く風。
逆に、諦めて引き返すときには、「追い風」という心地よい風が吹く。その風で吹き溜まりに 流れ着いた人を「風来坊」と呼び、そこでうまく立ち回る人は「風見鶏」と呼ばれる。また、そん なことを気にしない様子を「どこ吹く風」といい、注意しても聞かないことを「馬耳東風」とい う。「風俗営業」で働いたり、世間を「風刺」して「風流人」と呼ばれていても、いつのまにか 「風呂敷」ひとつで「糸の切れた風船」のように飛んで行き、そのうち「風のうわさ」にも聞か なくなることが多い。

むかえざけ【迎え酒】
「飲んだあたしが悪いのか、酔わせたあなたが悪いのか、昨日のことはもういいの、今日という 日を前向きに、一生懸命、生きるだけ・・・・さあ、歌っていただきましょう、新曲 「迎え酒」、大きな拍手でお迎えください!」

♪ 酔っちゃいないわ やさしい言葉に
   心にお酒が しみただけなの
  明日があるから 帰ろうと
   誘うあなたの 甘い罠
  振り切る フリして 手酌する
   うそよ ウソなの 嘘なのよ
  一人寝た夜の 寂しさを
   今朝も飲み干す 迎え酒 ♪

むかしとったきねづか【昔取った杵柄】
ニュースカイラークメンバーがよく使う、「練習したくない」、の言い換え。

むかしむかし【昔々】
むかしむかし、あるところに「ニュースカイラーク」というジャズバンドがありました。メンバ ーは全員年寄りばかりでしたが、いつも元気一杯で「カサブランカ」というお店で演奏していま した。
ある時お客さんが「元気の秘訣は何ですか?」と聞いてみました。するとバンドリーダーは 「新聞を読むこと、快楽を追い求めること」と答えました。
「なるほど、いつも新しい知識を求め、好奇心を持つ、ということですね」と尋ねると、リ ーダーは「いいや。ニュース、快楽、ニュースカイラーク・・・なんちゃって」と答えたので、 みんなズッコケてしまいましたとさ。めでたし、めでたし。
というように、「昔話」の冒頭にもちいる、慣用句。

むかんけい【無関係】
自分にとって都合が悪くなった時、自然に生じてくる、いろいろなモノや人との関係。

むこうさんげんりょうどなり【向こう三軒両隣】
1)引っ越して来た時「引っ越しそば」を配る家のこと。
2)近所付き合いのない最近では「さて、この区画にある家は、全部で何軒でしょう」という、 算数の問題。

むさしぼうべんけい【武蔵坊弁慶】
「女嫌い」の男の代表。一方、「男嫌い」の女の代表は、小野小町。川柳に曰く、
「弁慶と 小町はばかだ なあかかあ」
「させもせず しもせぬ二人 名が高し」

むしのいき【虫の息】
演奏を終えたあとの、ニュースカイラーク・メンバーの呼吸の状態。

むしばきん【虫歯菌】
歯を侵し、ついには楽器の演奏を出来なくしてしまう、バンドマンにとって恐ろしい菌。 ニュースカイラークの「天敵3キン」は、シャッキン(借金)、シッキン(失禁)、 ムシバキン、の三つ。

むしゃんよか【武者んよか】
筆者の故郷、九州・大牟田地方の方言で「カッコイ〜!」のこと。こんな古くて素敵な表現が、 いまだに使われているとは、「むしゃんよか〜!」

むじゅん【矛盾】
ものごとが食い違っていて、つじつまがあわない状態や、表現のこと。
リッチなバンドマン人生、健康的なバンドマン、優しい女房、親孝行な息子、真面目なバン マス、誠実なジャーマネ、儲かるジャズライブハウス、お上品なジャズ、などの表現。

むじんとう【無人島】
よく、「一ケ月滞在するとしたら、何を持っていきたいですか」というアンケートに使われる、 自力で渡航する手段や、文明的設備のない、無人の島。
なお、ニュースカイラークメンバーの場合は、必ず「女!」「金!」「酒!」という答えが返って くるので、アンケートするだけムダ。

むせびなく【咽び泣く】
テナーサックスに対して使われる「切々とした哀愁の中にも、色気がある」という、音色の表現。 例)咽び泣くサム・テーラーのテナーサックス。
この音色に惹かれて軽い気持ちでテナーサックスを選び、その奥の深さに憤死した若い奏者は数 知れず。ナンマンダブ、ナンマンダブ・・・。
なお、咽び泣くアートブレーキーのドラム、咽び泣くメーナード・ファーガソンのトランペット、 のようには、使わないほうが無難。(※どちらも、エネルギッシュな演奏で有名なプレーヤー)

むせきにん【無責任】
「自分には責任がありません」と表明して、さっさと退席するバンマスのような、いさぎよい 態度のこと。

むせんいんしょく【無銭飲食】
家事手伝い、フリーター、ニートなどと呼ばれる若者が、おしゃれや携帯電話には金を使うのに、 家には食事代を入れず、当たり前のような顔で自宅で食事をしている状態のこと。

むだぐちをたたく【無駄口を叩く】
手八丁口八丁のドラマーが、タイコを叩きながら何かしゃべっている状態。

むち【鞭】
馬、牛、その他、休みたがるバンドマン、難しいショーのソロがあるバンドマン、アメばかり貰って いるバンドマン、などの尻を叩くための道具。

むちうちしょー【鞭打ちショー】
楽譜のあまりの難しさに、バンドマンがゲッと仰け反って、首の傷害を起こすようなショー。

むていこうしゅぎ【無抵抗主義】
難しいショーの譜面が来た時、慌てず騒がず、さっさと練習を諦めるバンドマンの音楽信条。

むなさわぎ【胸騒ぎ】
妻と喧嘩した弱気なバンドマンが、飲み会を中座する理由。

むなもと【胸元】
ウルトラマンの場合は3分で「ピーポー」という警報音が発生し、青木さやかの場合は3秒で 「どこ見てんのヨ〜!」という罵声が発生する、体の部分。

むつごろう【ムツゴロウ】
ライオンやトラの毒気を抜いて、ネコのような性格にしてしまうという、動物界では危険人物に マークされている人。


<おまけ・「無」の付いた新用語集>

無縁バター・・・(無塩バター)
バンドマンは安いマーガリンばかりで、バターとは縁が無い、ということ。

無芸退色・・・(無芸大食)
何の芸も身に付けないまま、バンドマンが色あせていくこと。

無毛(け)文化財・・・(無形文化財)
人間国宝と呼ばれるころには誰しも、頭の毛も薄くなるものだ、ということ。

無呼吸笙・・・(無呼吸症)
雅楽士が、笙(雅楽の笛の一種)を、息継ぎ無しで延々と吹き続けること。

無罪半ケツ・・・(無罪判決)
尻を半分出すような芸はむさ苦しくて嫌われるが、とりあえずOKだということ。

無条件こう吹く!・・・(無条件降伏)
先輩バンドマンが、後輩バンドマンに吹き方を教えるときの、強制的な教え方。

無色東名・・・(無色透明)
地図の印刷ミスで、東名高速道路に色が付いていなかった、ということ。

ムショ族・・・(無所属)
選挙違反で捕まった政治家が集まって作ったグループの名称。

無病側妻・・・(無病息災)
本妻さんと違って、側妻(2号)さんは、えてして体が丈夫だ、ということ。

無味間奏・・・(無味乾燥)
編曲がまずくて、間奏の部分が味気無いこと。

無理三段・・・(無理算段)
どんなダイエットプログラムでも、三段腹を元に戻すのは無理だ、ということ。

無理なんだい!・・・(無理難題)
「出来ない」ということを、強く表現する時に使う言葉。