バンドマン風「悪魔の辞典<め>」
<め>

め【目】
見なければいけないものを見ず、見てはいけないものを見る、という人間独特の視覚器官。

めいあんをわける【明暗を分ける】
性格の明るいトップ(1番奏者)に付くか、性格の暗いトップに付くかによって、その後のバンド マン人生が大きく左右される、ということ。

めいい【名医】
「医は仁術(他人に仁徳を施すこと)なり」を信条にしている医者。そのほかに、以下のような 信条をもつ名医がいる。
・医は算術なり・・・・儲け第一主義の医者
・医は忍術なり・・・・不都合がなことが起きたら姿を消す医者
・医は幻術なり・・・・患者を惑わす医者
・医は錬金術なり・・・患者を金づると考えている医者
・医は処世術なり・・・医学界で出世するのが目的の医者
どの信条の名医にかかるかは、運次第。

めいさいふく【迷彩服】
スマートな制服を着たニュースカイラーク・メンパーも町ではただのおっさんに紛れてしまう、 普段着のこと。

めいしこうかん【名刺交換】
人間社会で行われている、自分の社会的肩書きを書いた紙を交換する行為。動物が臭いを嗅ぎあう 行為と似ていると言う人もいるが、動物はそんな無駄な紙の使い方はしない。

めいじん【名人】
他の追随を許さない境地にたどり着いた人。バンド界には以下のような名人がいる。
・言い訳名人・・・悪いのは他人で自分は全く悪くない、と言いくるめてしまう名人。
・バンス名人・・・いつのまにかバンスを出させてしまう名人。
・早逃げ名人・・・割り勘の時になると、いつのまにかスーッといなくなる名人。
・練習名人・・・・リストラにあわないよう、いつも練習をしている(フリをする)名人。
・昔話名人・・・・誰もその話題に付いていけないぐらい、古いことを覚えている名人。
・トラブル名人・・なんでもないことでもトラブルに変えてしまう名人。
・ダジャレ名人・・誰もツッこめないダジャレを、次から次に言える名人。
(なお、ニュースカイラークには名人の域に達した者おらず、いまだ修行中の段階)

めいじんはじょうずのさかをひとのぼり【名人は上手の坂をひと登り】
「名人」と「上手」の間には、月とスッポン、釣鐘と提灯、長州力と長州小力、ぐらいの 大きな差がある、ということ。

めいどのみやげ【冥土の土産】
ニュースカイラークのメンバーがこの世でせっせと集めている、あちらで待っているバンドマンへの、 話題や情報のお土産。

メインディッシュ【main dish】
コース料理の際の、主たる一品となる肉や魚の料理。バンドマンの食事では、ライスカレーの中の肉。

めがてんになる【目が点になる】
貂(てん)の毛皮のコートの値札を見た時の、目の状態。

めからはなへぬける【目から鼻へ抜ける】
奈良の大仏の修理で、父親の手伝いをして大仏に登っていた子供が、大仏の目から中に落ちてしまった。 みんなが心配していると、しばらくして鼻の穴から出て来たので、みんな感心して「見てみ、鼻から出て きよった。利口な子やなー」「ああ、あれがホンマの『目から鼻に抜ける』子や」
(上方落語のマクラより)

めぐろのさんま【目黒のさんま】
「寿限無」、「まんじゅうこわい」とともに、最もよく知られている落語のひとつ。

「馬引け、皆の者続け!」と、退屈しのぎにお屋敷を飛び出し、家来を引き連れ、目黒のあたりまで やってきたお殿様。「腹が減った、弁当を持て」。が、急なことで、家来が弁当を持って来ていない。 そこへ、近くの農家で焼くさんまの、い〜い臭いが。「下魚にて殿が口にされる魚では ございません」と家来が止めるのも聞かず買ってこさせると、なんとジュージューと音を立て、尾っぽ からは煙が出る始末。しかし、食べてみると、腹が減っているところに旬のさんまだから、うまいのなんの!
お城に戻ってからも、さんまが恋しい日々が続くが、家来からは口止めされている。と、ある食事の席で 「ご希望の料理を何なりと」と言われたから、ここぞとばかり「余はさんまじゃ」「・・あんま、 でごさいますか?」「さんまじゃ、長やかなる魚じゃ!」「ハ?ハーッ!」 まさか、さんまを希望されるとは思わず、準備をしてない。早馬を飛ばして買い求めて来たが、 油が強く小骨も多い。何かあっては一大事と、蒸して油を取り、小骨を抜いたら、形がぐちゃぐちゃ。 これじゃいかん、と、団子に丸め、お椀にして出した。 ジュージューいうのが出てくると思っていたお殿様はびっくり。「これがさんまか?」お椀のふたを 取って一口食べてみると、まずいのなんの! 「これ、このさんまは何処で求めた」「日本橋魚河岸にごさいます」「日本橋、魚河岸?それだから いかん、さんまは目黒に限る」

さんまのはらわたを食べられないグルメ人間が増えた現代、「美味の基準」を考え直すのにちょうど よい落語。
注)目黒は、海辺でもさんまの本場でもありません、念のため。

めしのたね【飯の種】
生活費を得る為の生業(なりわい)や、それに使用する物品のこと。サラリーマンの名刺、バンド マンの楽器、ジャーマネの舌先三寸、バンマスの及び腰、綾小路きみまろのかつら、などのようなもの。

メジャーになる【majorになる】
田舎出身のバンドマンが、東京に出て標準語で喋るようになること。

めだかのがっこう【めだかの学校】
川の中にあり、お遊戯の授業しかやっておらず、誰が生徒で誰が先生か分からないという、 文部科学省真っ青の学校。以前は日本中に存在していたが、汚染が進んだ現在では、ほと んどが廃校。

めだつ【目立つ】
バンドマンらしくあるための、根本的な行動の一つ。手段や状況を選ばないで、人の注意を 引こうとすること。

めだましょうひん【目玉商品】
吉本興業が客を引き寄せるために起用した、西川きよし師匠、のような存在。

めちゃ・くちゃ【滅茶・苦茶】
ジャズ目・アドリブ科の植物で、お茶の一種。気が滅入るほど苦いことから、こう呼ばれる。 但し、苦いと感じるのは飲まされた人だけで、飲ませた人は全然苦さを感じないという、不思議なお茶。

めっき【鍍金】
バンドマンが自分の腕に塗っている、金属性塗料。ピカピカ光って一見カッコよく見えるが、すぐに 剥げるという特性があるので、常に塗り直す必要がある。

めでたしめでたし【メデタシメデタシ】
「そしてニュースカイラークのコンサートは、無事終了しましたとさ」の後に、女房 から「ふーん、で、そのあと何処に飲みに行ったの」と、突っ込まれないために、話の最後に 付けるきまり文句。

メトロノーム【metromone】
音楽の練習に使用される、リズムを刻む機械。以前は振り子型が主流だったが、デジタル化した現代 では、カード型、腕時計型、補聴器型、ペン型など、さまざまタイプがある。リズム感に自信のない バンドマンが、藁(わら)にもすがる気持ちで使用している機械。

めにはめを、はにははを【目には眼を、歯には歯を】
目の医者には眼の字を使い(眼科)、歯の医者には歯の字を使う(歯科)、ということ。

めのしょうがつ【目の正月】
「目の保養」に同じ。バンドマンが演奏しながらステージのストリップショーを見ていて、 あらぬものまで見えた時に、演奏を忘れて思わずつぶやく言葉。

めはくちほどにものをいう【目は口ほどに物を言う】
楽器を吹いている時でも、目で何かを言おうとしている、おしゃべりバンドマンの様子。

めびうすのわ【メビウスの輪】
細長い帯を一回ひねって端と端をくっ付けることで、表と裏、上と下、が交錯して区別が つかなくなるという、バンドマンの人生を象徴するような輪。

めりはりがない【減り張りがない】
初見のきかないバンドマン、二日酔いで吐きそうなバンドマン、給料日前のバンドマン、の 演奏のように、抑揚がなく表現が一本調子なこと。

メロン【melon】
お見舞い専用に開発された果物。自分で買って食べるのではなく、人からお見舞いに貰って 食べるのが正しい食べ方。なお、バンドマン社会では、まだバナナの方が幅をきかせている。

めんかいしゃぜつ【面会謝絶】
「重体」や「仕事中」のため人に会わないこと。ショーでミスって落ち込んだバンマスがよく 用いるが、「重体」でも「仕事中」でもないので、この場合は「引き籠り」の方が正しい。