バンドマン風「悪魔の辞典<ひ>」
<ひ>

ひ【火】
バンドマンが、ステージで失敗した時顔から出したり、酔って頭をぶつけて目から出したり、 借金の返済日が迫ると尻に点けたりするもの。

ぴあにすと【ピアニスト】
ピアノを演奏して収入を得る職業、またその人。両手全部の指や足、時にはひじやかかと を使ったり、鍵盤の上を走り回ったりして音楽を提供する、バンド一の肉体労働者。

ひかくさんげんそく【比較三原則】
世間の豊かな暮らしと、自分たちの暮らしとを比較する情報は、「持たず」「作らず」 「持ち込ませず」、というバンドマン家庭の三原則のこと。

ひきぎわ【引き際】
限界を自覚して、バンドを辞めようとすること。当ニュースカイラークのメンバーが、完全に 忘れてしまっている言葉。

ひきこもり【引きこもり】
仕事が終わって夜中に家に帰ったあと、一杯飲んで、砂嵐が出るまでテレビを見て、いつの間に か寝てしまい、昼ごろ起きて、またテレビを見て、暗くなった頃、着替えて仕事に出かけるまで に、誰とも顔を合わせないバンドマンの生活。

ひこうかい【非公開】
バンドマンの、華やかで、栄光に満ち、祝福された輝かしい部分、以外の、人生の大半。

ひだりきき【左利き】
生まれつき、身体の左側の方が右側よりも機能すること、また、その人。
(左利きの人の例)
・セクハラをする時、密やかになめらかに動くのが、左手
・悔しい時、力いっぱい地団太を踏むのが、左足
・女湯を覗く時、そのときだけハッキリ見えるのが、左目
・聞き耳を立てる時、地獄耳になるのが、左耳
・賄賂をもらう時、鼻薬を嗅ぐのによく広がるのが、左の鼻の穴
・やるせない時、砂を噛むのが、左の歯
・女房に嘘をついた時、わずかながら痛むのが、心臓の左半分
・チャンチャラ可笑しい時、痛くなるのが、左の片腹
などの人。但し、
・思いがけず大金持ちになった時、団扇を使うのが、左手
の人は、後天的なもので、左利きには分類しない。

ひだりききようとろんぼーん【左利き用トロンボーン】
こんにちは、ジェイワン・テレビショッピングのお時間です。
さて、今回ご紹介いたしますのは、ベルとスライドの位置が逆になっている、左利き用の トロンボーンです。
左利きだからトロンボーンは吹けない、とあきらめていた、あなた。もう、そんな心配は いりません。あなたの利き手・左手で、思いっ切りスライドをコントロールして ください。
今日のゲストの、登呂凡太郎さん、吹いてみていかがですか?
「いやー、ホント吹きやすいですね、僕も左利きなんですけど、これだと何の抵抗もなく、 楽々演奏出来ますねー」。
はい、ありがとうございました。
メッキもピカピカ輝いて、こんな素敵な、この左利き用トロンボーンを、今回はジェイワン・ テレビショッピング特別企画ということで、左利き用マウスピースもお付けして超特価で、ご提供、し た、い、と・・・ちょっと、すみません、そこのお客様、収録中なので、私語はやめて頂けますか。
え?普通のトロンボーンでも、スライドを逆に取り付けると、簡単にそうなる?マウスピースは丸いから 、右利きも左利きもない?・・・ちょっとー、お客さん、素人には判かりゃしないんだから、商売の 邪魔しないでくれるかな〜。

ひだりまき【左巻き】
「頭のつむじが左巻きの人は頭が悪い」という俗説から生じた、頭が悪いことをさす言葉。但 し「外から内へ左巻きか、内から外へ左巻きか」の定説はないので、つむじのある人間はすべ て頭が悪い、というのが正しい。

ひだるま【火達磨】
借金だらけのバンドマンの家に、雪達磨と対で飾ってある達磨の置物。

びっくりぎょうてん【吃驚仰天】
精神的、肉体的にスキだらけのバンドマンが、些細なことで腰を抜かすほど驚いている様子。

ひっすあいてむ【必須アイテム】
水戸黄門の印籠、弁慶の七つ道具、バンマスの屁理屈、ジャーマネのひねくれ根性、のように、 必ず持っていないとサマにならないもの。

ひっぱり【引っ張り】
バンドマン用語で「パリヒ」。職場や音楽環境の向上は二の次で、給料アップやバンス (前借り)だけを条件に、他のバンドのメンバーを引き抜くという、バンド独特の儀式。

ひとま【一間】
座ったままで周りの全ての物に手が届く、という便利な住居。

ひとりごと【独り言】
話す相手がいないのに、独りで喋ること。独り言の表現によって、バンドマンの精神状態がわ かる。
・「ブツブツ」−−−アルコールが切れかかっている、不安定な精神状態
・「ブツクサ」−−−前借りを断られ「こんなバンド辞めてやる!」という、興奮した精神状態
・「モゾモゾ」−−−ミスした言い訳を考えて心ここにあらずという、上の空の精神状態
・「モソモソ」−−−明日休むのをどう言うか思案している、迷いの精神状態

ひとりさかもり【一人酒盛り】
六代目・三遊亭円生さんが得意とした落語の演目。
上等の酒をもらった熊さんが、いっしょに飲もう、と留さんを誘うが、結局、留さんにはお燗番 だけさせて一滴も飲ませず、自分が全部飲んでしまう、という落語。「ちょいと熊さん、留さんたいそう 怒って帰ったけど、喧嘩でもしたのかい」「なに、留公か〜、ハハハ、うっちゃっときなよ、 あいつぁ、酒癖が悪いんだから」というオチ。
留さんのような惨めな思いをしたくなかったら、熊さんの側になれ、でなければ、酒飲みを止めよ、 という人生訓。

ひにくや【皮肉屋】
人の悪口をすぐに口に出さず、じっくり考えた後で遠まわしに言う、心根の優しい人のこと。

びにほん【ビニ本】
本を自動販売機で買えるという、日本の読書文化の高さを証明する本。

ひねる【捻る】
ねじって向きを変えること。転じて、異った雰囲気を出すために、いつもと異なったことをす ること。但し、演奏もエッセイも、捻り過ぎると、元がわからなくなったり、本人がねじれたり するので、程々にしたほうがよい。

びーふらっとがっき【B♭楽器】
1)楽器の「ド」の音が、実音のCではなくB♭が鳴る楽器。
2)世間と少しズレている人のこと。かなりズレている場合は「E♭楽器」。(珍説)
(例)「今どきバンドマンになりたいて、あんたビーフラットやな」「いえ、アルトサックス なので、イーフラットです」

ひまつぶし【暇潰し】
キャバレーの3rdトロンボーン奏者が、ステージの横にノコノコ出て来て、コンガを自己流に 叩いているような行為。

ひめ【姫】
男性奏者が女性奏者を呼ぶときの呼称。男は「姫」の持つ語感を楽しんでいるので、そう呼ばれ ても、むやみに喜ばないこと。

ひゃくにちのせっぽうへひとつ【百日の説法屁一つ】
偉そうに理論を並べ立てても、演奏中に「プー」とか「スー」という音を出したら、バンドマンと しての評価はそれまで、という厳しい現実。

びんぼうにんはむぎをくえ【貧乏人は麦を食え】
総理大臣・故池田勇人氏が、バンドマンの健康を願って唱えたスローガン。

びんぼうひまなし【貧乏暇無し】
(1)「わてら貧乏人は食うことに追われて、寝る暇もおまへんわ」という、社交辞令。
(2)「わてらずーっと貧乏で、貧乏の途切れる暇がおまへん」という、悲しい本音。
(3)「わてら貧乏人は“暇”ゆうムダな時間がのうて、人生が充実してますわ」という、負け惜しみ。