エフエム放送局「ドンバ・エフエム」


                 エフエム放送局「ドンバ・エフエム」

さて、時刻は間もなく1時になるところです。1時からはお待ちかね、「あのころミュージ ックシーン」の時間です。チャンネルはそのまま、ステイ・チューン!
・・・プップップッ、ポーン・・・

男)「あのころミュージックシーン」・・・
女)『昭和!
男・女) 問屋がおろさない〜』
<オープニングミュージック:イン・ザ・ムード(グレンミラー楽団)>

女)皆さ〜ん、お元気ですか!
昭和のさまざまな音楽をご紹介する「あのころミュージックシーン」、毎週火曜日は、昭和 を彩ったジャズをご紹介する『昭和!問屋がおろさない』のコーナーです。
お相手はわたくし、恩納菜音(おんな・なおん)と、
男)緒戸古常雄(おとこ・とこお)、でお送りします。
女)さて、今日はどんなジャズをご紹介していただけるんでしょうか。
男)はい、実は、先日の6月24日は、昭和の大歌手・美空ひばりさんの23回忌でした。 知ってました?
女)いえ・・・あ、そういえば、テレビのニュースで見かけたような気がしますけど、亡 くなってもう23年目になるんですね。
男)そうなんです。ということで、今日は、美空ひばりさんが歌っているジャズのナンバ ーをご紹介したいと思います。
女)えー、美空ひばりさんって、ジャズも歌ってらっしゃるんですか。
男)えーって、あ、そうか、君らの世代だと、いわゆる歌謡曲を歌ってる美空ひばりさん のイメージしかないかもね。でも、あのころの世代の人って、ジャズが歌えるのが当たり 前で、美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの三人娘なんて、すばらしいジャズナンバー をたくさん歌ってるし。
女)え、三人娘って、そうなんですか。私、三人娘って、森昌子、桜田淳子、山口百恵っ て思ってましたけど。
男)またまたぁ、ホントは中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりでしょ。
女)えー、わかんない〜。で、どんな曲をご紹介していただけますか。
男)じゃ、今日は「A列車で行こう」、「Take the “A”Train」を。
女)あ、知ってます。デューク・エリントン楽団のテーマ曲にもなっている、ジャズのス タンダード中のスタンダードですよね。作詞作曲は同じバンドのビリー・ストレイホーン。なんでも、 エリントンの属する連盟と放送局が係争中でエリントンの曲が使えない、で、非加盟員の ストレイホーンが放送用に書き下ろした曲、だったですよね、確か。ところで、この“A” Train、ってなんなんですか。
男)あ、ここで言うTrainというのは、ニューヨーク市の地下鉄電車のことで、正面 に行き先がはっきり分るように「A」とか「C」とか「E」とか書いてある、そのうちの 「A」って書いてある列車が、つまり“A”Trainで、
  You must take the “A” train
  To go to Sugar Hill way up in Harlem
『ハーレムにある「シュガーヒル=甘い丘」、つまり「アポロシアター」とか「コットン ヒルズ」みたいなお店があるジャズの聴ける高級住宅街に行きたけりゃ、「A」と書いて あるA列車に乗りな』
ってこと。
女)へー、そういうことなんですね。
男)そして「A」列車は快速なので止まる駅が少ない。だから、
  If you miss the “A” train
  You’ll find you’ve missed the quickest way to Harlem
『乗りそこねたら、一番早く着く手段を逃しちまったって後悔するよ』
ってことだね。
女)へー、それがAABAのAAの部分ですね。じゃ、サビのBの部分は?
男)えっーと、サビの部分は、
  Hurry, get on now it’s coming
  Listen to those rails a-thrumming
『急いで!ちょうどやって来るあれに乗るんだ
列車のゴトンゴトンって音が聞こえるだろ』
そして、ケツのAの部分は、
  All ‘boad get on the “A” train
  Soon you’ll be on Sugar Hill in Harlem
『さあ、Aと書いてある列車に乗ろう
そうすりゃハーレムのシュガーヒルはすぐだよ』
女)へー、ずいぶんハッピーな歌詞なんですね。
男)それでは、聴いていただきましょう、美空ひばりさんで「A列車で行こう」、どうぞ。
(マイク:OFF)

<ミュージック:A列車で行こう/美空ひばり 〜2分8秒〜>

(マイク:ON)
女)あれー、美空ひばりさんの日本語の歌詞は、元の歌詞と全然違いますね。だって、
  窓に 笑顔  あー、ロマンス列車よ A TRAIN
  甘い 夜風  ばら色の夢をのせ
  汽車は出てゆく
  二人のささやき
  あー 恋の旅よ
  思い出の汽車よ A TRAIN
だったでしょ。
男)んー、それは、メロディが主体なんで、歌詞のほうは、そのころの日本人が「列車」 と聞いて心に描くものを付けたんじゃないかな。
女)へー。でも、途中からの英語の発音はすばらしいし、スキャットもあったりして、ホ ント、ひばりさんってこんなにジャズがお上手だなんて、知りませんでした。
男)そうね、三人娘以外にも、フランク永井さん、松尾和子さん、ザ・ピーナツなんて、みんな素 敵なジャズを歌ってるしね。
女)そうなんですね。
<エンディングミュージック:真珠の首飾り(グレンミラー楽団)>
女)あ、そろそろ、お時間が来たようですね。さあ、次回はどんな曲を紹介していただけるんでしょうか。 では、今日の『昭和!問屋がおろさない〜』は、これまで。また来週お耳にかかりましょう。それでは、
男・女)ごきげんよう、さようなら〜。
(マイク:OFF)

男)お疲れ様でした〜。今日の、あれでよかったかな。
女)いえいえ、楽しかったですよ。じゃまた来週もよしろくお願いしま〜す。

(放送ブースのドアの閉まる音:バタン・・・)