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バベルの黙示録

第一章

我らが大いなる支配者、ビッグファイアの黙示。
この黙示はビッグファイアがすぐにも起こるべき事をその僕(しもべ)達に示すため一人の預言者に与え、十名の御使いをつかわせて全世界に示されしものである。
この予言の言葉を朗読する者と、これを聞きこれに記されし事を守る者は幸いである。

「時は近付いた。天高く聳ゆるバベルの塔より支配者の栄光は轟くであろう」

黒衣で正装した十名の御使いと一人の預言者が見守る中、主の眠りし玻璃(はり)の封印は解かれ、輝く不思議な溶液より白い繊手持ち上がり、玻璃より御身をあらわされた。

青味がかった銀糸の髪。
白い顔(かんばせ)の美少年。
その瞳は氷河の青。
現れし裸身は冬の月の如く輝き、暗い大広間を照らし。
かの御身に潜む能力は十名の御使いを遥かに凌ぐ十の能力を有し、彼の一呼吸にすら御使い達は慄いた。

彼は言った。
「恐れるな。我はΑ(アルファ)でありΩ(オメガ)。
 始まりの終わり。
 死んだ者であり、世々限りなく生きる者。
 これより汝らは見聞きしもの、今後起こるべき事を汝らの内に留めておくがよい」

十名の御使いと預言者はこれを聞きてその足元に跪いた。

「我らの主なるビッグファイアよ。
 御身こそは栄光と誉れと力を受けるに相応しい方。
 御旨(みむね)によって万物は存在し万物は廻る。
 心より永遠の忠誠を誓わん。
 我らビッグファイアの為に」

これにより十の御使いと十の奥義とは、預言者を通じて世界を偉大なる炎へと導けり。

 

第二章

「人の世に大いなる災いあらわれる。
 災いは甲高いラッパの音と共に来るであろう」

第一のエネルギーは火を噴き街と人とを焼き尽くした。
第二のエネルギーは雷(いかずち)を生じ混乱と破壊をもたらした。
川は逆流し、海は赤く染まり、地は奈落の口を開けた。
空を飛ぶものは落ち、地を駆けるものはうずくまった。
夜の闇が訪れても人々はそれから逃げる術を失った。
その姿はリンボの亡者。カロンの櫂に追われる者。
災いは一つの王国を飲み込み、全世界の三分の一の人類が死滅した。

「昔いまし、今いまし。
 ビッグファイアの栄光はここに訪れた」
預言者と十名の御使いはこの光景を見聞きし大いに歓喜し、声を揃えた。
僕(しもべ)の声に彼の人答えて曰く、
「我が覚醒の時は未だ至らず」
と。

暴力を孕んだ七つの昼と、冒涜の産声に満ちた七つの夜が明け、人々は瓦礫の中より立ち上がった。
生き残った人々の中には預言者と十名の御使いの声に導かれ下僕となる者あり。
また来世の王に降(くだ)りてこの敵となる者もあり。
大いなる災いの去りし後、エメラルドに輝く液体の中に赤い核を持つ第三のエネルギーが現れた。
これにより再び人の世は大いに繁栄した。

預言者と十名の御使いは、これを見聞きし眉を顰めた。
僕(しもべ)らの嘆くを見、彼の人曰く、
「見よ。我を護衛する者来たりて、これの封印を解くであろう」
と。

白き指先が指し示す先に、この御身を守る三つの僕(しもべ)が現れた。
即ち、形があって形を持たぬ黒き獣のアキレス。
即ち、天をも蔽う巨大な羽を持つガルーダ。
即ち、七つの海を統べる力を与えられたネプチューン。

この三身が一体、天と地と海より来たりて主ビッグファイアを守る者である。

 

第三章

御心に従う三つの僕(しもべ)が第一の封印を解いた時、森に潜む思慮深い梟のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると日の出の空から強力な念動力を操る最初の御使いがあらわれた。歳をえた第一の御使いが右手を上げると天から金剛石の飛礫(つぶて)が降り注ぎ、地上の建物を打ち砕いた。

御心に従う三つの僕が第二の封印を解いた時、大水の轟きのような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると東にそびえる険山より、朱鷺色のマントを纏い仙術を操る第二の御使いがあらわれた。力の迸る指先を三十枚の銅貨にかざすと、忽ちそれは浄罪の剣となって主の敵の首を刈り取った。

御心に従う三つの僕が第三の封印を解いた時、夜の静寂を破る雷鳴のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると西の都より、生贄が流した血のように赤い瞳を燃えたたせて第三の御使いあらわれた。彼の手から生じる衝撃波は全ての創造物を薙ぎ払い、彼の歩いた後には瓦礫と死が横たわった。

御心に従う三つの僕が第四の封印を解いた時、聖堂から鳴り渡る鐘の音にも似た声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると広大な砂漠の地より、白いクフィーヤをたなびかせながら微笑みを浮かべた第四の御使いがあらわれた。この金の眼は眩惑の内に人々の心を奪い、ありとあらゆる煩悩と苦痛と死を世界にもたらした。

御心に従う三つの僕が第五の封印を解いた時、岩を砕く荒波のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると古(いにしえ)に建てられた青竜の宮殿より、生と死を司る道士が印を結びながらあらわれた。彼が鳴らす命の鐘は万物に生を与え、また生を奪い、世の中に混沌をもたらした。

こうしていると預言者が囁く声でこういうのを聞いた。
「ああ、わざわいだ、わざわいだ。バビロンの都はわざわいだ。
 この驕りがわざわいて、さらに五人の御使いの封印が解かれようとしている」

 

第四章

御心に従う三つの僕(しもべ)が第六の封印を解いた時、幾億もの羽虫が奏でる羽音のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると樹海の奥深くから陰の気を纏った第六の御使いがあらわれた。彼の体内に潜む群雲虫が彼の口より飛び出でて地上の作物を食い荒らし、紫色の毒を撒き散らしながら幾つもの都市(まち)を滅ぼした。

御心に従う三つの僕が第七の封印を解いた時、深海のような沈黙を破って「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると東の地より影の軍勢を率いた第七の御使いがあらわれた。彼の振るう棍は七つに分かれ、向かってくる敵の頭蓋をことごとく打ち砕いた。

御心に従う三つの僕が第八の封印を解いた時、強力な矢が空気を切り裂く音のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると巨大なゴーレムを操る赤い仮面をつけた第八の御使いがあらわれた。彼が持つ血に飢えた剣は、降り注ぐ疫災から逃げ惑う人々へ無慈悲に死を与えていった。

御心に従う三つの僕が第九の封印を解いた時、獅子の吼えるような声で「来たれ」叫ぶのを聞いた。
すると黄金の髪を揺らしながら第九の御使いがあらわれた。その指先から発せられる真空波は敵の身体をふたつに裂いて世界中に血の雨を降らせた。

御心に従う三つの僕が最後の封印を解いた時、天ほどの高さから落ちてくる瀑布のような声で「来たれ」と叫ぶのを聞いた。
すると顔を隠した第十の御使いが疾風の速さであらわれた。彼の息吹を与えられたものは鋭い針と化し、主の聖所と主の統治する世界を汚すものを突き刺した。

十の封印は解かれ、十の御使いは主の御座に平伏(ひれふ)した。
これら封印の解かれし十の御使いは、御心の命により十傑集と名乗ることとなった。

 

第5章

これを朗読し、あるいはこれを聞く者は悔い改めよ。
何故ならば、この世にある全ての国は我らの主ビッグファイアの統治すべきものであるからである。

悔い改めよ。
主ビッグファイアは世々限りなく全てを支配なされるであろう。

悔い改めよ。
御名を畏れ敬うものには約束の地を与え、御名を汚すものには災いがもたらされるであろう。

悔い改めよ。
偽りの世界は炎によって浄化され、真実は明らかにされる。
真実から眼を逸らす者の飲むワインは死人の血に変わり、手にした金貨は泥になるであろう。

悔い改めよ。

恐るべき十の奥義は、主の治めるべき世界を汚したものに血の報復を与えるであろう。

またこの十傑集の身に纏う衣は悉く敵の血に染められるであろう。
なぜならば、彼らは偽りの世界に鉄槌を下す者達だからである。

ビッグファイアは来るべき世界の姿を僕(しもべ)らに見せて言われた。
「事は既に成った。
汝らが今見聞きした事はすぐにも起こるべき事であり、汝らは見聞きした通りに成さねばならない。
 世界はあるべき者の手に委ねられるべきである。
 我は全てを新たにする。これを信じるものは幸いである。
なぜならば、この言葉は喉の渇いている者にとっては水晶の泉から湧き出る水となり、
飢える者にとっては叡智の果実となるからである。
 しかし我が言葉を疑うもの、真実を偽るものには火と硫黄の燃えている池が受けるべき報いとなるであろう」

預言者と十の御使いは再びその足元に平伏した。
「今いまし、昔いませる我らが主ビッグファイアよ。我らは成すべき事を成す者である。
 今や権威と力は現れた。闘いに勝利を得るものはこれを受け継ぐであろう。
 全てはビッグファイアの御為に」

「書きしるせ。これらは真実の言葉である
 見よ。時は近付き、我はすぐにもやってくる」
ビッグファイアはこれを預言者に与え、再び眠りにつきたもうた。

この書の予言を聞くもの、または朗読するものは言うがよい。
「きたりませ」と。
またこの予言を疑うもの、汚すものは御使いによって裁かれ、命の木と命の泉と大いなる王国から取り除かれる。
この書を信ずるものは幸いである。
なぜならばこの言葉は真実であり、時は近付いているからである。

 

主ビッグファイアの権威が一同のものと共にあらんことを――――

male様のフリーテキストを頂いてきました〜vV

素晴しい!
GR世界で起こった事柄を折り込みつつ、
BF様の人離れした雰囲気や
十傑集のカッコよさ禍々しさを余す所無く描写しながら
ちゃんとパロディになっていると云うこの芸の細かさ!!
本気の信者の方には闇討ちされかねない(褒め言葉)ですね☆
思わず脱帽です。

掲載許可を有難うございました!
皆で広げよう、BF教の輪☆(止せ)

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