ソウルの休日

昨年(2001年)9月、10年ぶりにソウルに行った。
その時「ずいぶん垢抜けた街になったな」という印象を持ったのと、英語表記とか格段に増えて歩きやすくなっていた。

これだけ街の持つ雰囲気がソフトになれば、ここ数年の「韓国ブーム」も「ナルホド」とである。
この時は仕事だったので、その程度の印象だけだった。

さて年が変わって4月、GWの予定をどうするかということになった。
家族みんなの意見は「都会へ行きたい・・・(^^;;」
私の休みや娘のスケジュールなどを調整していると5/3〜5/5の期間しかないことが判明。それと夏に行く先はほぼ決めているのでGWにあまりお金を使いたくないこともあり、

最初は大阪に帰るとか門司港ホテルに泊まりに行くなどの案があったが、韓国もいいかなという話になった。

大分空港からソウル便が週2便、金曜日と日曜日に飛んでいる。ということは3日出発、5日帰国でいける。これならわざわざ福岡や関空に行かなくても車で空港まで行ける。空港の民間駐車場で3日間車を預けても1,500円、空港使用料が無しと出国までの費用が最低限の出費でいける。
チケットは大分−ソウルが33,000円。
こりゃ東京へ行くより安くつく・・・・

それと昨年のソウルの印象が、家族連れでも大丈夫だろうという感触だったので「行っても良いかな」ということで決定。
ただ、妻と娘は「辛い」食べ物が苦手なのが一つ心配ではあるが。

5月3日。
空港の端にある国際線ターミナル・・・といえば聞こえがいいが、妻曰く「石垣空港とほとんど同じ」ぐらい貧相な施設である。
たかだか週2便のソウル便と週2便の上海便しか就航していないのだから、福岡や関空や成田と同列に扱うほうが間違っている。

大韓航空792便ソウル行きは、ボーイング737という小型機である。
乗客は5月3日という休日のフライトのせいか、ビジネスマンはほとんど乗っておらず家族連れや、あいもかわらずスマートさのかけらもないゴルフ組のおぢさん達や・・・地元企業の社員旅行であろう団体・・・「社長」と呼ばれている「おぢさん」の服装はゴルフ組と大差はない・・・である(^^;;

といいつつ1時間半で仁川国際空港に着陸・・・ほんとにでかい空港である。

リムジンバスにのり、1時間でソウル市内へ。

ホテルに荷物を置いた後、夕方の南大門市場にいった。

その途中の屋台で「トッポギ」「おでん」を注文。娘は躊躇せずに「トッポギ」を口に入れた瞬間・・・「辛い」と言って水を飲んでいた。
モチをコチュジャンで甘辛く炒めたもので美味しいものだが、予備知識のない娘にはいささかショックだったようである。

市場は相変わらず賑やかで「皮ジャンいらないか」と腕を掴んで店に引き込もうとする、「岩海苔」売りのおばちゃんは箱ごと押し付けてくる。メガネの押し売りまで加わって歩きにくいことこの上ない・・・
妻と娘は、アジアに慣れているのでこの程度では驚かなくなってきているので、屋台の兄ちゃんと駆け引きを楽しんでいる。

晩御飯はお約束の「カルビ」で、その後、明洞をぶらぶらしてホテルへ。
妻と娘は「ソウルは都会だ!!」・・・と、うれしそうに一言。


朝食のあと、人気のない明洞を歩き、妻と娘は夕方のマッサージとエステを予約して、何気なくメガネ屋に入った。

表には日本語で「20分でできます・日本語OK」と出ていたので冷やかし半分で店に入った。
以前から韓国のメガネは安いと聞いていたので「安ければ作ってもいいかな」という程度であった。並べてあるフレームを見ると「20,000W(10,000W≒1,000円)」「30,000W」からあり、もちろんブランド名はなし。有名ブランドになるとケースから出してきて「200,000W」などと日本並みの値段になっている。
30,000Wのフレームで気に入ったのがあって、レンズが40,000W、合わせると70,000W、それでなぜか値引きしてくれて60,000Wとなった。妻のほうはレンズがやや高価で、それでも110,000W、2つ合わせて170,000W。
看板にうそ偽りなく20分でできて、使ってみると具合も良く、ブランドにこだわらなければ安く買える。ただブランドフレームにすると日本とさほど変わらない値段になるのも事実である。

そんなこんなで衝動買いでメガネを買って、仁寺洞へ。

このエリアは骨董品やグッズ、飲食店などが集中しているエリアである。

それぞれの店の前には日本の雑誌の切り抜きが貼ってある、いかに多くの店が紹介されているかわかるし、一店で何誌もの特集記事が飾られている。ついでに言えば、多くの雑誌が安易に一つの雑誌の取材記事をコピーしている証明でもある。

仁寺洞は雑誌の記事と関係なく観光客には歩きやすく楽しい通りである。

あちらこちらと覗いて歩くと時間は瞬く間に過ぎていく。

韓国の高校生達も多く歩いている、雰囲気は修学旅行か遠足のようである。

2002 FIFA WORLDCUP TM開催を直前に控えたこの時期、ソウル市内の各所は、World-Cup関連の装飾が至るところにある。
ソウル市庁舎前にはサッカーボールモニュメントが設置されている。
開幕までほぼ一ヵ月、いよいよ本番。

薫風香る中、出場国の旗がたなびいている。
鐘路のメイン通りを歩いていると、首からロシア製カメラLOMOをぶら下げ、肩からNikon FM2をぶら下げた日本人であろう旅行者とすれ違った。
「それがどうした」と言われそうだが、FMのメモフォルダーにKodak T-MAXの箱が挟んであるということまで解ってしまった。
旅に出て、旅行者とすれ違う時はいつも、習慣で持っているカメラを見てしまう。不思議なもので持っているカメラの機種と持ち方で、どのような写真を撮るのか推測できてしまうところが面白い・・・
人様のカメラも面白いが、ソウルの街中でやたらと目に付いたのが髪の毛を団子にしたキャラクターである。

名前は「Numa 」、なんとなくかわいくて、憎めないキャラクターなので、妻は携帯用などに買っていた。
昼は定番「古宮」でビビンバを食べて、さてあちこち歩き、夕方。

妻と娘は、予約してあった明洞の「李恵郷足アロマ管理室」に向った。
足裏のマッサージというものは娘は初めてである。
妻は、押されるたびに「痛い」と叫んでいたが、娘は「くすぐったい」と笑っていた。
足裏マッサージは悪い個所を押されると「痛い」のであって、11歳の子供が「痛い」となると、それはそれで困ったことである。
妻のほうは全身マッサージまで受けてしごくご満悦であった。

なんだかんだで夜になり、明洞界隈は人で溢れかえってきた。





「イ・バンヒは、簡単には見つからないなぁ〜」と言いながら、明洞の雑踏を遅くまでフラフラしていた。





朝、スタバでコーヒーを飲んでいる時、妻と娘が言った。
「韓国って気に入った、また来たい」

そりゃそうでしょう。
買い物して 美味しいもの食べて、エステに行けば満足でしょう(^^)

たしかに10年前のソウルと今のソウルの雰囲気は別の都市のような感じである。
今回は「旅」というよりは「遊びに来た」というスタイルであったので、とりたててビックリするようなハプニングもなく、大阪や東京へと変わらない感覚で街を歩いていた。

最後に「岩海苔」を山ほど買って空港へ向った。
韓国旅行で、いつも付きまとっている交通機関のトラブルなどもなく、KE791便は定刻どおり仁川空港離陸し、定刻どおりに大分空港に着陸した。
2泊3日・・・「海外旅行」というより、お気楽な「ソウルの休日」であった。

あのソウル市庁舎前のサッカーボールのモニュメント。
6月には、このモニュメントを中心として、何十万人の赤いサポーターが集まっているのを何度となく見ることになるが、それはまた後日のことである。

2002.5.3〜5.5



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