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岩崎書店の図鑑絵本
5/29
たびたびご報告していますが、毎月第4水曜日に教文館主催の『本づくりの舞台裏』という10回シリーズの連続講演会が開かれています。ぼくは3回目から参加しているのですが、これがほんとうに面白い。刺激になります。
昨日(28日)は第5回目で、岩崎書店の飯野寿雄氏という方が、これまでに刊行された数々の図鑑絵本の文字どおり制作舞台裏を語ってくださり(それが漫談みたいに笑える)、2時間があっという間に過ぎました。それでも予定の半分しか話せなかったようです。
先月は、福音館書店の大和茂夫氏による科学絵本についての講演だったのですが、両方のお話に共通するのは、1冊の本を世に出すまでの時間のかけ方です。
福音館の大和氏はこんなことをおっしゃっていました。「1年目は(対象となる自然を作者に)見てもらう、2年目につくって、3年目に仕上げる」また飯野氏は、『ジャングル』という絵本のある見開きページで、植物の名前を調べるのに2か月かけたとおっしゃっていました。
加えて、松岡達英さんや海野和男さんといった人たちの仕事ぶりも聴くことができ、学ぶところがたくさんありました。感動して長谷川哲雄という人の本を2冊買ってしまいました。
子どもの本は奥が深い!ぼくも「よし、がんばるぞ!」という気になったのでした。
しばしの道連れ
5/27
今年の5月は5月らしくありません。いったい太陽は何を怠けているんでしょう。
たまに 日の光が戻ってくると、虫たちも木陰や建物の間から、待ちかねたように次々に姿を現します。ぼくたち親子はわずかの雨上がりをねらって、カナヘビの餌を探しています。
今日の午前、5月も末だというのに、まるで初春のような淡い日差しの中、ぼくは久しぶりに図書館と本屋に行ってきました。
帰り道、ふとぼくの右手の甲に何かがさわったように感じました。見ると、黒い蜂のような虫でした。ちょっと小ぶりでずんぐり、羽も触角も足もおなかも黒ずくめ。手の上で、虫はしきりに身繕いをしています。前足で触角をすーっとなでたり、羽をちょっと広げて、後ろ足で磨いたり。頭がきょろきょろと回ります。
ぼくは人にぶつからないように前を時々注意しながら、虫の動きを眺めていました。このまま家までついてくるかな?カナヘビの餌になりそうだけど、かわいいしぐさをほんのしばらく観察していると、情が移ってしまうので、餌にするときにそんな態度は禁物。そんなことを考えているうちに、身繕いを終えた黒い虫は飛び去りました。
これからデートだったのでしょうか、それとも戦いに赴くのでしょうか?
忘れ去られたカブトムシ 5/23
先日の夕方、買い物に出かけようとした妻が「カブトムシ飼育用品が安売りになってるけど、何かいる?」と聞いてきました。そのとたん、あ!
そうだ、わが家には今カブトムシの幼虫が3匹いたのだ。5月3日に、近くのダイエーで毎年恒例の無料プレゼントをやっていたのです。去年もおととしも日程が合わず、もらえなかったのですが、今年はうまい具合に手に入りました。
しかし、もらったっきり、忘れていました。3週間近くもほったらかし!同じ頃つかまえてきたカナヘビの飼育に気を取られていたのです。
もしかして土の上でひからびているのでは? 息子とぼくは大慌てでベランダからケースをとってきて調べました。虫は普通、死ぬときには土の上に出ています。上にはいなかったけれど、念のために掘り返してみました。そうーっと、そうーっと。底の方にいました。3匹とも、さわられて機嫌を損ねたように、体をくねらせました。ああ、よかった。
幼虫たちは、またモゾモゾと土の中にもぐっていきました。ごめんごめん、とすぐに霧吹きで土を湿らせて、一件落着。でも反動で水をやりすぎると、かびを生やしちゃったりして……。むずかしいんだなあ。
どうぞ無事に育ってくれますように。
虫やら花やら 5/16
今週は、梅雨を予感させるような天気が続いています。ベランダの植木鉢の一つから、ワラジムシが発生しました。この季節、毎年どこからか虫が出てきます。数年前にはアリが大量発生したこともある。ぼくは虫好きですが、さすがに大群はちょっとね。でもそれが自然というもの。人間に都合のいいものだけが都合のいい量だけ、というわけにはいかない。現代人はそういった自然の「煩わしさ」を拒絶してきて人工の世界に閉じこもり、ある部分、楽にはなったけれど、その結果、別の大切なものを失ってきたのでしょう。
最近2、3日おきに、カナヘビの餌としてハエやヒシバッタを子どもたちがつかまえてきます。ハエがケースの中でぶんぶん羽音をうならせているのを聞くと、ああ夏の音だ、と懐かしさを覚えます。そんなことを言うと、こどもたちは「どうして?」
おととい、棟のゴミ集積所までゴミ捨てに行った帰りに、ツツジの植え込みの脇に、薄紫のきれいな花を一輪見つけました。そういうのを目にしたとき、心和むものです。
翌日、その花を写真に撮っておきたくなって、デジカメを持ってもう一度そこへ行ったのですが、見あたりませんでした。しゃんと咲いていた花が、一日で枯れるはずがない。きれいだったから、誰かがもって帰っちゃったのかなあ。
図工の授業 5/10
昨日(9日)、息子の通う小学校で公開授業があり、ぼくは二つの授業を見ました。その一つが図工。この学校で2年に一度開かれる展覧会で、子どもたちはみんなすばらしい作品を見せてくれます。担当の先生が、長年いい指導をしてくださっているおかげです。
息子のいる5年生は、ジグソーパズルの制作をしています。八つ切りほどの大きさの板に好きな絵を描いて、それを10〜20ピースに切り分けます。昨日の授業では、大部分の子どもたちが、絵を描いている段階でした。それぞれがどんな絵を描いているのか、見るのがとても楽しかった。
表現活動には子どもたちの個性がもろに表れますね。男女の違いも結構出ます。全体的に女の子の方が作り方がていねいだと思いました。それから、流行りのアニメキャラの絵を描く子が多いのがちょっと残念でした。もっといろんな絵が描けるはずなのに、みんな隣をうかがいながらやっちゃってるんだなあ。でも、中にはオリジナルキャラを考えて描いていた子もいて、出来上がりが楽しみです。
それにしても、ぼくは先生の話を聞きながら、こんな広いアトリエや道具がぼくにもあったらなあ、なんてことをついつい考えてしまっているのでした。
思いがけない収穫 5/5
犬も歩けば棒にあたる、というすてきな言葉がありますが、ぼくたちは出かけると何かしら新しいことに遭遇します。予定していなかったことの体験は、時に困ることもあるけど、ああよかったなあ、と心が浮き立つこともあります。
3日に銀座と東京で展覧会を見に行きました。松屋の星野道夫展とステーションギャラリーの安藤忠雄展。どちらもものすごい人出で、ある意味、日本人の文化度の高さを表しています。そしてどちらも、見応えのある展覧会でしたよ。
思いがけない収穫は、松屋でたまたま寄った川端紘一スケッチ展。ぼくはこの人のこと、まったく知らなかったのですが、無料だったし、スケッチという言葉に惹かれて入ってみました。墨色を基調としたスケッチが数十点展示されていたのですが、どれもすばらしかった。ワイエスの水彩画を思わせるようなタッチなのです。
しばらく見ていたら、横から男の人が声をかけてきました。初め店員だと思っていたら、作者の川端さんでした。ほんの少し話をして、作品解説をしてもらっていたのですが、絵のたたずまいとそっくりの物静かな、品のある画家でした。年齢は50代後半かなあ。
いつかどこかでまたお会いしたいものだと思いました。
4月の「ごあいさつごあいさつ」
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