染井吉野 03年4月10日
3日前に、妻が職場の小学校から桜の枝を持って帰りました。立木から折ったんじゃありませんよ。入学式の生け花で使われたものです。花が散ってしまう前にスケッチしなければ、ということで描いたのが左の作品。
スケッチするため窓辺に持っていくときに、花びらが何枚かハラハラ散り、角度を変えようと持ち直すとまた何枚かハラハラ散るものだから、ぼくもハラハラドキドキでした。
でも、こうして絵を描くと、このあと花を捨てることになっても、花の命を大切に使わせてもらった、という気持ちになって、思い残すことはありません。
虫の絵を描いたあとも、ぼくはいつもそう思います。たとえ1週間で死んでしまっても、ぼくの絵の中に君が生きた証はあるよ、と。写真を撮るよりいっそうその思いは強くなります。だって、じっと眺め、線を引き、色をつける作業を通して、ぼくは花や虫に触れているのだから。
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