奥の細道:山中温泉の章
温泉に浴す。其功有明に次と云。
「山中や菊はたおらぬ湯の匂」
あるじとする物は久米之助とていまだ小童也。かれが父誹諧を
好み、洛の貞室若輩のむかし爰に来りし比、風雅に辱し
められて、洛に帰て貞徳の門人となつて世にしらる。功名の
後、此一村判詞の料を請ずと云。今更むかし語とはなりぬ。
曾良は腹を病て、伊勢の国長嶋と云所にゆかりあれば、
先立て行に、
「行/\てたふれ伏とも萩の原」曾良
と書置たり。行ものゝ悲しみ残ものゝうらみ隻鳧のわかれて
雲にまよふがごとし。予も又
「今日よりや書付消さん笠の露」
鶴仙峡にて(2008/05)
芭蕉堂前にて(2008/05)
菊の湯前にて(2008/02)
旅館ベランダより鶴仙峡を望む(2008/02)
LINK:芭蕉の館