陣痛が始まった


4月22日(土) 40週6日
 
午前2時30分 兆候あり?

 寒気と強烈におなかが痛くて目が覚めた。陣痛ではない!なんとお腹をこわしてしまったのだ。
 もともと便秘症の私は、妊娠してさらにひどくなり、もう薬無しでは生きていけないくらいだった。特に妊娠後期は薬の効きも悪くなり、連日薬を飲んでいたのがきいたらしい。
 この腹痛は思いのほか強烈で、ふとんとトイレの往復が1時間くらい続いた。
 
午前4時 10分間隔
 やっとお腹も落ち着き、寝ようかなあ〜と思ったとたん、今度は下っ腹が張って痛くなる。生理痛がひどいときのような痛み。不規則な陣痛は何度もあったから、今度もそうかなあと思い、時計をみながらお腹の張りの間隔をみる。勘違いだと恥ずかしいから、何度も何度も確認してたら、1時間経ってしまった。やっぱり、きっちり10分間隔だった。午前5時、タケトを起こす。
 
午前5時30分 病院に連絡
 病院に電話。10分間隔で陣痛がきていることを話すと、「初産は時間がかかるので、様子が変わらなければ外来の受付時間に来て欲しい」といわれる。そんなもんなのか〜。そうだよね。まだまだ時間がかかるんだよね。と思い、入院に備えていろいろ準備する。まずシャワーを浴びて、洗濯・ゴミ出し・メールチェック・掲示板に書き込みなどなど。これから出産する人間なのか?というくらいの働きぶり。朝ごはんは、作るのもかたずけるのも面倒だったので、外食することにした。
 

そして入院

 
午前7時30分 腹ごしらえ
 入院の用意をして病院へ。でも、その前に腹ごしらえをするためにデニーズへ行った。「これでしばらく外食はできないんだろうね」とタケトとしみじみ話す。モーニングセット、おいしかったけど、なんだか10分間隔から短くなっている気がする・・・。
 
午前8時30分 入院
 病院に到着。受付は8時30分だけど、診察は9時から。こんな状況だから早く診察してくれないかなあと思ったが、呼ばれたのは9時だった。内診の結果、子宮口は2cm開いてた。先生曰く、「前の日の注射(子宮口をやわらかくする)が効いたのかなあ」。入院にしましょうとあっさり決定。入院手続きをして、病室へ向かった。
 
午前9時30分 はじめての分娩室
 入院の荷物を病室に置き、とりあえず分娩室へ。助産婦さんから問診を受け、出産着に着替える。この出産着は、初産婦か経産婦かわかるように色が違うのだ。私は初産だから、ピンクの出産着(ちなみに経産婦はブルー)。その後、お産の準備として、剃毛と浣腸をされる。
 このとき、初めて分娩室に入ったんだけど、第一印象は理科室みたい・・・。この病院は由緒正しい病院で、歴史があるんだけど、その分施設が古いのだ。ちなみに、夫は学校のプールのシャワー室みたいって言っていた・・・。
 
午前10時 まだまだ余裕?
 予備室でお産になるのを待つ。30分間、分娩監視装置がつけられる。分娩監視装置っていうのは、お腹に機械をまいて、お腹の張りと赤ちゃんの心拍をグラフ化する機械。このころは3〜5分くらいの間隔の陣痛。お腹の張りと私の苦しそうな表情と機械の動きがリンクしてる様子が、タケトには珍し、おもしろかったみたい。
 この頃はまだ余裕があり、予備室のTVをみていたりした。
 

予想外の展開

 
午前11時 帝王切開??
 分娩監視装置を外し、のどが渇いたので持ってきたペットボトルで水分補給。その直後、助産婦さんから「禁飲食」といわれる。
 ???何でだろうと思ってるところに、先生登場。なんでも、羊水が少なくなっていて、おなかの収縮時に赤ちゃんの心拍が落ちているそうだ。場合によっては帝王切開にするからとのこと。そのための禁飲食・・・。私が思い描いていた陣痛の過ごし方って、音楽を聴いたり、好きなものを飲み食いしたり、痛くないときにはのんびり過ごすって感じだったのにな・・・。ちょっとショックだし、帝王切開なんて予想もしてなかったからかなりびっくりした。

 
午前11時10分 またまた機械
 再度、分娩監視装置がつけられる。陣痛の間隔は2〜5分くらい。痛みがないときには、だんだん眠くなってくる。そういえば、朝早かったからね〜。
 
午前12時 痛い!痛い!!
 まだ分娩監視装置はついたまま。だんだん痛みは激しく、強くなっていく。なのに、グラフのお腹の張りの山は、1回目よりも低い。
 タケトには「さっきより痛くないんじゃないの?」とか言われるが、そんなことないよ。もう死ぬほど痛いのに。しかも、機械のせいで、体勢を変えられないし、さっきまでちょくちょく来てくれてた助産婦さんも来なくなっちゃうし、普通にしてられないくらい。
 そうそう、こんなときに呼吸法するんだろうな〜と思って、「ヒッヒッフー」といってみる。そしたら、多少痛みから逃れられた。やっぱり呼吸法の力ってすごいんだね。感心。しかし、こんなときって助産婦さんが呼吸法を教えてくれるんだろうってあまく考えてたんだけど。。。

 

分娩室へ

 
午後12時30分
 やっと助産婦さん登場。痛みがキツイことを訴えて、機械を外してもらう。体勢変えると、多少は楽。でもやっぱり痛いよ〜。
 トイレに行ったら、めちゃめちゃ出血していて、びびった・・・。

 
午後1時 分娩室へ
 ついに分娩室へ移動。内診してもらったら、子宮口はすでに8cm。そのままお産をすることになった。助産婦さんは手際良くお産の準備をはじめる。私に足に袋を履かせ、ブドウ糖の点滴。(余談だけど、私にとって生まれてはじめての点滴だ!)そして、またまた分娩監視装置・・・。
 しかし、このときの痛みは最高潮。たぶんこの頃が一番痛かったんだろうな〜と後で思う。もがき苦しむという感じだったけど、助産婦さんは隣の分娩台で、次の人の問診をしていた(笑)。数時間前の自分を思い出す。それにしても、まだまだこれからって人の隣で、死にそうな声を出して、ほんとにごめんなさい!びびらないでねって願った。
 助産婦さんから、「いきみたいときはいきんでいいよ」とお許しがでる。さっそくいきんでみると、呼吸法で逃すより、痛みがずっとやわらいだ。そういえば、めちゃめちゃのどが渇いている。早く何かのみたいな〜。

 午後1時30分ごろ、やっと先生登場。ようやく外来が終わったらしい。「ずいぶん(お産の進みが)早いね〜」と感心してる。なのに、なのに先生はお昼ご飯を食べに行ってしまった・・・。なんか見捨てられた気分。
 

いよいよ生まれる!

 
午後2時
 子宮口全開。しかしまだ先生は戻ってこない・・・。助産婦さんから「先生が戻ってきたら、お産にするからね」といわれる。
 そして、先生がきてくれた。
 まず麻酔を3ヶ所くらいされる。意外と痛い!そして、バチン!バチン!バチン!!と切られる。痛みはないけど、音の大きさにびびる。そんなに切ってるのかなあ。すごい心配。
 そろそろ赤ちゃんが出かかっていて、陣痛のときに思いっきりいきむ。3回くらい繰り返したときに、先生が「出口がせまいなあ・・・」と言う。恥骨がじゃまをしてて、赤ちゃんの出るところがちょっと狭いらしい・・・。今更そんなこと言われても・・・。
 そして、別の先生が私のお腹を押して、援護。「もうちょっとだよ」と言われ、ちょっと安心。そしたら、あと一歩というところでどうしても出てこない。こんなときに私のツメの甘い性格がでてきたみたい。
 さらに3回くらい繰り返してもやっぱりでない。先生から「吸引します」と、言われる。もう、吸引だろうがなんだろうが、早く終わるんだったら何でもいい!私も子どもも楽にしてくれ!!って感じ。
 そして、さらにいきむこと2,3回。にゅるそしてゴロンとした感覚とともについに出てきた!生まれた!というより、出た!!って感じ。やったー!でも、赤ちゃん泣いてないんじゃない??大丈夫???って思ったら、泣きはじめた。よかった〜。元気みたい。そして赤ちゃんと初対面。何とも言えない気分。このときの気持ちはなんて表現していいのかわからない。文才のない私には、このときの気持ちを伝える技術がない!!とにかく私は疲労とのどの渇きの中でじわじわと感動してた。
 2000年4月22日(土)午後2時23分、2858gの女の子でした。

 

その後のこと

 
 赤ちゃんはきれいにしてもらい新生児室へ。
 先生から、「点滴に麻薬っぽいの入れといたから、そのうちぼーっとしてくるよ」って言われる。そんなことより、のどが渇いてたまらない。いつ飲んでいいのか聞いたら、5時くらいまでガマンしてねって言われた。ショック・・・。 
 そして後産。お腹の中に入っていた胎盤を見せてもらう。胎盤ってどんな感じなんだろうって期待してたんだけど、もうすでにビニール袋に入ってたのでただの血の固まりみたいでがっかり。
 そして、縫合。よく、産むときの痛みであとはぼーっとしてるうちに終わっちゃうって聞いてたから、きっと全然痛みとか感じないんだろうなって思ってた。しかし、やっぱり縫ってる感覚はある。そういえば、縫われるっていうのも生まれて初めてかもしれない。けっこうチクチクするもんだなって感じ。こんな状況なのに、先生はいろいろ話し掛けてくる(笑)。私もクスリでハイになってるからか、普段よりもペラペラしゃべってた。
 その後、助産婦さんから体を拭いてもらい、
点滴が終わるまでそのまま横になる。眠っていいよといわれるけど、極度の興奮状態のため、全然眠れない。
 点滴が終わり、ストレッチャーで病室へ移動。途中、新生児室の前で再度赤ちゃんと対面。小さな小さな手を握り、自分のお腹の中であんなに動き回ってたんだなって思うと、やっと会えたねっていう喜びがまたまた湧いてきた。
 

さらにその後のこと

 
 病室に戻ると、タケトとお母さんが待っていた。ふたりはずっと生まれてきた子どもをながめていたんだって。ずっと産着の袖をなめまわしていたんだそうだ。心配した吸引による頭のとんがりも徐々に無くなったって。よかった。もうすでに何枚も写真を撮ってた。これから先が大変だ。
 ようやく5時に水分を取り、6時に夕食。まだ起き上がることはできなかったけど、ものすごくお腹が空いてたので、寝ながら、意地になって食べた。そして8時には自力でトイレに行かれるまで復活。人間の回復力ってすごい・・・。
 前の日、ほとんど眠ってないから、思いっきり寝るぞ!と意気込んだものの、ちっとも眠れない。痛いのだ。傷はもちろんのこと、それより痛いのがびてい骨。出産のときに思いっきり打ったらしく、ズキズキする。お腹も痛い。傷の痛みは想像してたけど、こんなにあちこち痛くなるなんて、思ってもみなかった。痛み止めをもらうがその日はほとんど眠れなかった。(その後、退院までびてい骨の痛みは続く・・・)
 翌日、はじめて赤ちゃんを抱っこした。看護婦さんに抱き方を教わり、おそるおそる抱いてみる。やっぱりちっちゃい。抱き方が悪いのか、なんだか居心地が悪そう。そういえば、育児のことって何にも知らないんだって、急に心配になった。そして、心配は現実になったのでした。