絵と音楽のコラボレーション

 

スライドをメディアとして取り入れたのは日本美術史のなかの絵巻物の存在からだった。
12世紀末、古代貴族社会が亡び、沈滞した貴族文化に代わって、
新興勢力である社寺の絵仏師たちが練達した画法で次々と絵巻物を制作した。
代表的なものとして『信貴山縁起』『餓鬼草紙』『地獄草紙』などがある。
それらの絵巻の開帳には絵解き法師や琵琶法師の音曲など加わって、
見物の民衆は佳境に入ったことだろう。それを現代に移してみてはどうだろうか。
きっかけは70年代に韓国のことに関わることから思いついたのがスライドという表現であった。
絵師は富山妙子、楽師は高橋悠治、そこにさまざまな表現者が協力して25年目を迎えた。
その間に時は流れ、時代も移り、すべてが変わっていった。
近年はビデオの出現で忘れられようとしていたスライドがまた見直されはじめた。
そこで火種工房は埋れ火に火を点じ、アートとしての幻燈として、
改丁版を制作し、新しく出発することになりました。