★『ずっと貴方の側で…。』(マイネリーベ)
創牙 様
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色褪せた一枚の写真…。
「この頃から、もう一年が経つのですね…。」
『ずっと貴方の側で…。』
写真を手に取ると、昔の自分と仲間達が写っていた…。
自分は、どこかぎこちない笑顔で写っている。
「今は…心から笑えているのでしょうか…。」
窓から覗く、いつもの風景に、遠いあの日を思い出しながらナオジは苦笑った…。
不安と…。
戸惑いと…。
新たな感情に…。
「きっとルーイが自分を変えてくれたのでしょうね…。」
「どうかしたか?」
ナオジは、ふと声のした方を見ると、ベットから起き上がった愛しい人が見えた…。
「すみませんルーイ。起こしてしまいましたか?」
「声がしたのでな。写真が変わったのか?」
持っている写真とルーイを見比べながら、先ほど言っていた言葉をナオジは思い出す。
「いいえ。写真が変わったのではありませんよ?」
ナオジは、優しく微笑むとルーイの側に座り直した…。
「この頃より、自分が変われたと思うのは、ルーイが居たからだと…思っていたのです。」
ルーイは、その言葉に対してナオジを見つめ返す…。
「ナオジは、自分で変わったのだ。私と共に居るからではない。」
「ですが…。」
そのままルーイは、ナオジをベットに引き寄せる。
「私と共に居たいからだろう?」
「えっ?」
「ナオジは、私と共に居たいから、素直になったのだろう?」
あぁ…何処まで貴方は自信に溢れているのだろう…。
きっと、これからも…。
ずっと貴方と共に歩いて行きたいと思うから…。
「はい。ずっとルーイの側に居たいと思います。」
ナオジの素直な反応にルーイは、言葉よりも笑みを返しながら再び二人はベットに沈んだ…。
色褪せた写真の側には、今も優美な時間が流れゆく…。
再び巡り変わっていく季節まで…。
end
07/5/19