アタック25・・(2006年5月27日)

久々のアタック25が行なわれる日、朝起きると雨であった。しかも結構本降りである。されどレキサンは雨に負けたりはしない。85回にも及ぶ歴史の中で中止はただの一回。大嵐の時のみであった。雨にも負けないレキサンも嵐には負けるということ?この日の天気予報は一日中傘マーク、ではあるが嵐ではない。よし、アタック25決行だ。
集合場所の和田倉公園は雨のせいか、人もまばらである。参加者の面々は遅れる者もなく集まってくる。公園内の無料休憩所に他の人がいないことをいいことに、ここでチーム分けとゲームの説明が行なわれた。アタック25は簡単に言うと東京の名所を5x5のマスに当てはめ、4つに分かれたチームが長寿クイズ番組アタック25のルールでその名所を回り課題をこなしてパネルをゲットしていく、縦横斜め他の色のパネルを挟めば、挟まれたパネルはその色に変わる。最終的に最もパネルを多く取ったチームが勝ちという単純な散歩ゲームである。しかし、このゲーム、単純ではあるが、奥は深い。まだ誰にもその深さがどのくらいかわからない。

まず、真ん中のマスを獲得するためのクイズが出され、ここはピンクチームが獲得する。そして、ゲームスタート。一歩リードしている余裕なのか、緻密な戦略によるものか、相談もそこそこにスタートするピンクチーム。後に、その時ピンクチームに緻密な戦略などはなく、単に築地に行って寿司が食べたかっただけだったということがわかる。ついで、緑チーム青チームと続いてスタートする。この2チームは後に因縁の2チームとして熾烈な戦いをすることになる。
さて筆者のいるチームはめぐり合わせで男ばかり四人のチームとなった黄色チームである。よって、このレポートも黄色チームの話となる。3チームがスタートし、最後まで相談をしていた黄色チームが向かったのは、上野の奏楽堂である。東京駅からJRで上野駅へ行き、上野公園を抜けてもうすぐ、奏楽堂というところで、携帯がなった。曰く、緑チームが8番の上野奏楽堂ゲットとのこと。我々はあと十数メートルで奏楽堂というところにいたにもかかわらずである。ふと見ると奏楽堂の前では笑顔が4つこちらを見ている。これもアタック25の醍醐味である。とても悔しいが。
緑チームに、先を越された黄色チームは早速昼食タイムである。この時点ですでに、ピンクチームは寿司にありついていたが、青チームは霞ヶ関ビルへ移動中、緑チームはさらにパネルをゲットすべく戸越銀座へ急行していた。
上野駅内アトレにある中華料理店に入った黄色チームの面々、メニューを見ながら、しばし思案下な沈黙の後、「ビール行っちゃう?」の一声に反応し、とりあえず生ビールが4つ注文された。続いて頼んだエビチリや麻婆豆腐でビールは進む。すっかり宴会気分な黄色チームの面々が2杯目の生中を空けるまでの間に、パネルは次々とゲットされていった。この時点で一枚のパネルもゲットしていない黄色チームは大逆転を狙い、角パネルである25番を取りに向かう。
25番の課題は小松菜畑を探せである。ビールが入ったおかげで、意気投合した黄色チームは意気洋々、和気藹々と大遠征に出る。小松菜は江戸川区小松川原産であるが、小松菜畑がその近辺のどこにあるかはわからない。それでも黄色チームは行く。そこにあるかどうかわからないものを探しに行く。あったからと言って、小松菜が手に入るわけでもなく、人に自慢できるわけではない。が、そこを敢えて行くことに意義があるのである。これこそ、男の浪漫である。 と、傍目からみると酔っ払いのたわ言としか思えないことに陶酔しながら、黄色チームの旅ははるか小松川まで続く。小松川の次は一番パネルの赤羽まで行ってさらに角パネルをゲットしよう。赤羽の課題は23区唯一の酒造へ行くことだから試飲とかあるかな、などと取らぬ狸の皮算用をしていると、あっという間に小松川最寄り駅都営新宿線一之江駅に着いた。駅を出るとそこにはモダンなニュータウン的な趣の駅前広場が広がっている。見渡したところ、畑らしきものは見えない。ここは駅前だから当然、畑は一本入ったところにあるに違いないと思い直し、そばにいる警備のおっちゃんに「小松菜畑はどこにありますか?」とたぶんこんな質問受けるのは最初で最後であろうおっちゃんは少し驚きながら、それでも、丁寧に答えてくれた。
「そんなのないよ」と。
ないと言われたからと言って諦めるわけにはいかない我らは、とりあえず、歩き始める。するとすぐに視界の隅に畑が飛び込んできたではないか。
「あるではないか、簡単だなあ」喜々として、近づくと、確かに畑はあった。しかし、そこに茄子はあっても、小松菜はない。
「小松菜の名産地の畑なのに小松菜がないなんて、許されることではない」と憤ってみても小松菜が生えてくるわけではないので我らはさらに小松川最深部へと足を進めるのであった。しかし、その先に畑らしき物は見えない。その内、ビールのせいで筆者はトイレに行きたくなってきた。公衆トイレはないか、ない。小松菜はないか、ない。あるのは住宅地らしい典型的な住宅のみ。 そんなこんなで、歩いていると、ある角を曲がった時、我々の前に唐突に広大な畑が展開した。俄然、高まる期待、膨らむ膀胱。畑のそばへ行くと小松菜は、ない。ないのか。顔を上げて遠くを見ると、それらしい緑色が地に蒔まれたかのように生えている。
「小松菜だ」四人の顔に喜色が浮かんだ瞬間であった。我らはミッションを完了した。25番の角パネルゲットを報告し、次に我々がしなくてはならないのは、駅に戻ってトイレに行くことであった。
駅まで戻ってくるとすでに2時半であった。これから赤羽へ行くと最終合流地点である月島の集合時間16:00に間に合わない。つまり、ここに黄色チームの散歩は終わったということである。ゲームスタートが11時半。黄色チームは3時間かけて、パネル一枚ゲットしただけであった。
合流地点である月島へ向かう途中、緑チームが豊洲のセブンイレブン1号店のパネルをゲットすると、我らは15番のパネルをゲットできると15番の課題である月島住吉神社へ向かい、待ち伏せしようと姑息な、しかし極めて戦略的な考えでいると、苦労に苦労を重ねて取ったパネルをことごとく緑チームに奪われた青チームに一歩先んじられてしまった。青チームはゲームを諦めずにゲットしたこの最後の一枚のパネルを橋頭堡にクイズで怒涛の反撃を見せ、準優勝することになる。一方またしても目前で他のチームにパネルを取られて地団駄を踏んだ黄色チームは結局一枚のパネルのみと、始めから最後まで行き当たりばったりなのであった。
最後の最後に踏ん張りを見せ、豊洲のパネルをもゲットした緑チームは6枚とトップを独走していた。ゲームに勝つという気持ちが、食欲に挫けがちだった赤チームは寿司だウィンナーコーヒーだといいながらも4枚のパネルをゲットし、2位につけていた。

そして、波乱のクイズ編が始まる。三越でお茶をしていて、集合時間に遅れた赤チームは第一問は参加できない。第一問に正解したのはなんと黄色チーム。すかさず1番パネルを取り、斜めに黄色ラインが引かれた。この後はぬきつぬかれつのデットヒートが繰り広げられたが、アタックチャンスを取った青チームが散歩での失地を緑チームから奪うことに勢力を掛けるという予想外の展開が起こり、その間に黄色チームが優勝をさらうという結果に終わった。
最終結果は優勝黄色チーム11枚。準優勝青チーム6枚、3位緑チーム5枚、四位赤チーム3枚であった。
散歩編で1枚づつしかパネルをゲットできなかった黄色チームと青チームが最終的に優勝、準優勝という結果からみると、じゃあいったいアタック25の散歩編とはいったいと考えてしまうが、それはそれ、これはこれである。