向島散歩・・・(2004年4月24日)

前日の夏日から一転、大きな寒気の塊が東京上空を覆い始めたこの日、堀切菖蒲園駅を集合した我々は、堀切橋を渡り、荒川土手に出た。橋の上は上流から吹き降ろす風が吹き荒び、冬のさなかのそれである。
土手を横目に見ながら、千住の下町へ入る。そこは地図を見ていても迷う路地の入り組んだところである。その入り組んだ路地の角を曲がると古いが趣のある建物が唐突に現れたりする。道はいつしか向島に入っている。向島百花園は季節が少し早すぎたかもしれないが、気の早いつつじなどは花をつけている。
されど我々の気分は「花より団子」だった。
昭和三十年代から四十年代の商店街の雰囲気を色濃く残している鳩の街通り商店街を抜け、向島の細い路地を右へ左へ曲がると、 そこに長命寺といういかにも長生きにご利益のありそうな名の寺がある。 ガイドによると腹痛を起こした将軍家光がこの寺の井戸水を飲んだところぴたりと納まったことに由来するという。 その長命寺の門前に、桜もちの店がある。その向かいには言問団子という団子屋がある。 桜もちか団子か、悩むところである。多数決の結果、桜もちが僅差で勝った。
長命寺の桜もちは大きな桜の葉が三枚も使っていることで有名であるが、味もいいらしく、間断なく客が来ている。 そのほとんどが持ち帰りで買っていくところをみるとお使い物として地域の人たちに認識されているのであろう。 こういう場合決してはずれはない。 白い皮に包まれたあんはほどよく乾燥していて、軽い感じで、食べやすい。 塩漬けの桜の葉のしょっぱさとあんの甘さが絶妙に配分されていて、この味に至るまでの試行錯誤を感じられる。
お茶を頂き、少し疲れた足に力が戻ってきたところで桜もち屋を後にして、隅田川にかかる桜橋を渡る。 半分門の閉まった侍乳山聖天という寺院を参拝したところで、ふと、気づいた。 桜もちは食べたが、長命寺自体は参拝しなかった。まあいいか。 浅草寺の境内を抜けて、飲み会の場所である遠州屋さんへ。 店に入った時間が五時半頃。それから五時間。 延々と飲み続けた後、店をでると空気の乾燥具合が心地よく、明日はいい天気になりそうな予感がした。