浅草鬼ごっこ・・(2003年9月6日)

8月冷夏だった分を取り返そうというのか9月に入って残暑の厳しい日が続いていた。鬼ごっこの日ぐらい曇ってくれないかなという参加者の希望は無残にも打ち砕かれ、30℃を越す夏日となった。

集合場所である浅草松屋の屋上には、家族連れが集っていたが、暑さのせいか、並べられた乗り物に乗る子供もなく、すいていると言う印象であった。浅草に人は集まるが、はずれに位置している松屋に来る人は少なめで、そもそも浅草に来てデパートに行こうと思う人が少ないだろうが、その松屋に屋上があろうとは知らない人が多いようであった。

今回の浅草鬼ごっこの参加者は鬼二人(鬼ニ匹?)をあわせて15人であった。くじ引きでのチーム分けもそれぞれ悲喜交々あったかもしれないが、比較的順当なチーム分けであるようにその時は感じた。

今回のルールは鬼ごっこと言うよりもテーマパーク系であったかもしれない。あらかじめ各チームには探し出すべきポイントが提示され、鬼のいる場所に来るとそのヒントがもらえる上に得点ももらえると言うゲームである。鬼の移動中に鬼を捕まえても得点である。

15:30各チームは衰える気配もない暑さの中を浅草の喧騒の中に消えていった。10分後おにも動き出す。鬼が向かった先は六区ブロードウェイにあるウルトラマン像。ここを待機場所とし、各チームに連絡する。果たして一チームも現れなかったときの鬼の立場は一体全体…などという疑念は杞憂に過ぎず、次々とチームは現れてくれた。

最初に来たAチームは煎餅を食べていた。見ると煎餅屋の袋を下げている。この短い時間で煎餅屋にまず行くとはこのチームは投げているな。と思いつつもAチームからカレー煎餅をいただく鬼たち。BチームCチームとやってくるがついにDチームは姿をあらわさなかった。

その後鬼たちは移動した。が、鬼のくせに暑さに耐え切れず、オレンジロードにあるアンジェラスという老舗の喫茶店に入った。ここは永井荷風や池波正太郎が通ったことで有名であるせいか、3Fまである店内は満員であった。さらに動く気のない鬼は待つことしばし、席はすぐ開いた。疲れていると甘いものが欲しくなるのは人間も鬼も一緒である。
しかし、大人の男二人連れがチョコレートパフェとプリンアラモード食ってる様は、傍目からみると、とても鬼ごっこをしている鬼だとは見えなかったに違いない。

店を出て、各チームにアンジェラス前にいるよと連絡する。まさか鬼が喫茶店で甘いものを食べてたとは知らず、各チームは浅草を歩き回っていたに違いないと思っていると、Cチームが登場。が一人しか来ない。他のメンバーはと聞くと
「みんなお芋のソフトクリームを買ってます。すぐ来ます」
とのこと。よく見るとそう言う彼女の手にはソフトクリームが。早速一口いただく。
「美味!」

しかし、待てど暮らせど他のメンバーは現れない。やっと現れたメンバーたちの手にはソフトクリームと買い物袋がぶら下がっていた。

続いてBチームが登場。このチームは唯一まじめに回っているチームであった。
「ビール飲みたい、もうビール飲みに行こう」
とチーム内のコンセンサスは統一されているにもかかわらず、一生懸命回っている。この時点でトップを走っているのもと思われた

Dチームは今回も現れない。一心不乱に回っているのか、すでにあきらめて浅草観光しているのか、不気味な存在として各チームに影を落としていた。

さて時間も過ぎ、鬼が移動する時間となった。オレンジロードを伝法院方向へ鬼が移動していくと向こうから煎餅をくれたAチームがやってくる。Aチームは歩道、鬼は道の真中を進む。そしてすれ違う、すれ違っていく間、鬼はAチームをずっと目で追っていたが、Aチームは全く気付かない。テレビのようなニアミスシチュエーションを演出したAチームが下げている買い物袋の数は増えていた。買い物天国浅草にどっぷり浸かってしまったらしい。

鬼は浅草神社の境内で猿回しの大道芸を楽しんだ後、弁天公園にて最後の連絡をする。Cチーム登場。また一人だけである。他のメンバーはと聞くと
「みんなジュースを買ってます。すぐ来ます」
とのこと。よく見るとそう言う彼女の手にはジュースが。

Bチームも来た。
「ビール飲みたい、もうビール飲みに行こう」
まだ飲みに行ってなかったのか。
Aチーム登場。明らかにこのチームに勝ち目はないにもかかわらず、このチームの自信は人一倍であった。なぜ?その自信はどこから来るのか?なにか秘策でもあるのだろうか。

とそこへついにDチーム登場。Dチームは勝負をあきらめたわけではなく、浅草中をヒントなしで探し回っていたのであった。

ここに全チームが勢ぞろいした。この時点ではBチームとDチームが拮抗し、AチームとCチームが大きく遅れている。各チーム多種多様な表情で再び散っていく。果たして勝負はどうなるのか。Aチームに秘策はあるのか。Bチームは本当にビールを飲みに行ってしまうのか。

50分後。ついにタイムアップ。田原町の居酒屋「遠州屋」に集合。Aチーム自信満々で登場。Bチームは宣言どおり神谷バーに向かったが満員で入れず、ジョナサンで一人ビールをジョッキ2杯づつ飲んで満足顔である。Cチームここへ来て汗だくで登場。Dチーム普通に登場。

さてゲームの結果は、なんと最後の50分でポイントをゲットしまくったCチームがうっちゃり優勝。クイズでの逆転劇は数多いレキサンツアーの中でも散歩だけでこれほどの逆転劇は初めてである。汗だくで登場したのはすごい勢いで探しまくったからなのであった。すばらしい。みんなから賞賛の嵐を受けるCチーム。喜びもひとしおであろう。
準優勝は最後までがんばったDチーム。大変惜しかった。Bチームは3位。ビールが徒となったと思われるが、ビールがよほどうまかったのかあきらかに後悔していない。これでいいのだと頷いている。

予想通り最下位となったAチーム。やはり秘策などなかった。会う度に買い物袋が増えていく様は他のチームとは明らかに違っていたが、ある意味本日最も浅草を堪能したのはこのチームだったのかもしれない。