人生は賽の目のように  2002.6.15



見慣れた風景、見慣れた沿線、そして見慣れた駅。しかし、その見慣れた駅の周りに何があるか、それは降りてみなければ決してわからない。そこには驚愕の事実が隠されているかもしれない。しかし、何があるのかわからないのに降りることは決してない、ふつうは。

さて、今回の企画「小田急線すごろく」はそうして生まれた。「ぶらり」ならぬ「むりやり途中下車の旅」である。いまだから白状すると、企画はしたものの、面白ければメチャ面白いが、面白くなければメチャつまらんだろう博打的要素たっぷりの企画であった。つまらなかった時のために、最後に温泉ツアーを付けてみた。本来であれば温泉地箱根湯本まで行く予定であったが、温泉はおまけ的な感覚のつもりだったために、検討するうちに小田原となり、最後には町田がゴールと半分の行程になってしまった。しかし、その選択は結果的に正しかった。だらだらと箱根湯本まで行っていたら、きっと途中で帰ってしまうエスケープ組があっただろうことは容易に想像がつく。

新宿駅に集合したメンバーは4チームに別れ、同じ各駅電車でスタート。ここから先は賽の目に運命を託し、ビールの待つゴールの温泉まで行く。はじめの賽は波乱なく、順調にスタートする各チーム。しかし、この後、賽は牙を剥き、各チームを翻弄する。まるで人生ゲームのルーレットのように。

各チームを悩ませたのは賽の目だけではない。見慣れたはずの風景が隠していた魅惑は抗しがたいパワーを持っていたのだ。誘惑に負けそうになるのをこらえチームは進む。誘惑への抗力はゴールで待つビールと温泉かあるいは勝ちたいという人間の競争心か、賽はその抗力をも削り取るような目を出してくる。この試練に打ち勝ったものだけが勝利の美酒にありつけるのだ。まるで人生のように!   というほど大袈裟なものでもないか…

しかし、小田急線のホームでサイコロふって一喜一憂している集団って傍目から見ると異常だろうな。rekisanの宿命か。

ちなみに今回の優勝チームは8つの駅で途中下車させられながら効率よく名物を見つけ、同着一番をゲットしたtomoちゃんチームであった。おめでとう。

最後に、温泉はやっぱ泊まりがいいね。帰りの電車がうっとうしかった。



―――賽の目はきまぐれである。どんなに確率を計算しても何が起こるかわからない。だからこそ人ははまるのかもしれない。―――