由布岳(大分県)

ゆふだけ 標高1584m。

 大分県湯布院町の東にそびえる由布岳は、大変に目立つ独立峰である。
 10年ほど前に久大線の車窓から仰ぎ見て、 いつか登りたいと思っていながらなかなか実現しなかった。  2000年11月の飛び石連休を利用して、久しぶりに九州の山をいくつか登る計画を立てたとき、 真っ先に由布岳を登ることにしたのも、由布岳の山容の記憶が鮮明だったからである。
 寝台特急「富士」(2009年廃止)で別府に降り立ち、予約しておいたレンタカーで由布登山口に着いたときは 10時を回っていて、すでに多くの登山者の車が駐車場から溢れていた。  登山口から端正な由布岳の姿を仰ぎ見れば、 快晴の休日に多くの登山者が集まるのも理解できる。  幸い登山口のすぐ近くに路上駐車することができ、軽装で登山にとりかかった。
 登りではとりあえず最高点の西峰を目指した。  歩きやすい道がマタエまで続き、ここから鎖場のある急斜面を登ると西峰頂上に達する。  すぐ隣には東峰が迫り、足下には湯布院の町が広がっていて、展望は申し分ない。  しかし、11月下旬の山頂は長居するには風が冷た過ぎるので、 15分休憩して東峰経由で往路とは別のコースを下山にとりかかった。  東峰から東側への登山道の上部は、ロープの張ってある急斜面に雪が付いていたりで、 神経を使う場所もある。  中腹より下まで来れば、傾斜もゆるくなって歩きやすくなる。  まっすぐ駐車場に戻るだけでは少し物足りなかったので、 日向岳の頂上経由で由布登山口に向かった。  このコースは、人にほとんど出会わない静かな林間を通るが、 とりたてて見るべきものがあるわけでもない。

山行記録: 2000/11/23 登り1h25m(由布登山口−西峰) 下り2h05m(西峰−東峰−日向岳−由布登山口)

写真右は由布登山口から見た由布岳。  明るく開けた草原が山裾に広がり、登山口から山の全貌が見渡せる。

写真右は、由布岳東峰からの西峰。



東峰からの眺め。 鶴見岳、その向こうに別府湾と右手に高崎山が見える。

夕日を浴びる由布岳。

鶴見岳からの由布岳。
由布岳の登山後、時間の余裕がなかったので、不本意だったがロープウェイを使って鶴見岳の頂上を踏んだ。 この写真を撮ったころには、日がだいぶ傾いていた。

 湯平(ゆのひら)温泉(写真右)
 昔ながらの湯治場といった雰囲気の残る、谷間の静かな温泉場。 約300年前の江戸時代に作られたという石畳の坂道の両側に、旅館が軒を接して並んでいる。 この旅館街には駐車場のスペースがなく、車は少し離れた駐車場に停めることになる。
 2000年の11月の九州旅行時には、福来屋(ふくきや、写真中央左)に3泊し、周辺にある由布岳、大船山(たいせんざん)、涌蓋山(わいたさん)、傾山の諸山を登った。
 その後、10年ほど経ったあるとき、会社の仲間がこの湯平温泉の出身であることを偶然知って驚いた。 この写真を見せたところ、福来屋旅館の前が彼の実家であることがわかり、世間は狭いことを実感した。
(2011年6月記)
 そしてまた約10年の月日が経った2020年には、豪雨(平成2年7月豪雨)の被災地として湯平温泉の名が、ニュースで流れた。 温泉街に並行して流れる花合野川(かごのかわ)が氾濫し、護岸が抉られた様子と行方不明者が出ていることが報じられていた。 花合野川は、さして大きい川のようには見えないのだが、想像を超える雨量だったのだろう。
 一日も早く復興してもらいたいものである。
(2020年9月記)

[Back]