たきごやま 標高1620m。
大月市にあり、大菩薩嶺から続く山並みの南の端に位置する。
中央線の初狩駅と笹子駅の間の車窓からは、
あたかも独立峰のように堂々とした姿に見える。背後にあるもっと標高の高い山が隠れているためだ。
また、山頂からの眺めがいいことでも知られている。
そんなわけで、だいぶ前から気になる存在だったが、
2001年3月になって、寂しょう尾根経由で頂上を踏むことが出来た。
このときは、もちろん晴天の日を狙って出かけたのだけれど、雲が少しあってすっきりとした展望が得られなかった。
2度目の登山は2012年11月で、すみ沢沿いの道を歩いた。
今度は雲がほとんどない快晴だった。
ここで、紹介するのは、その2回目の登山のときの写真と記録である。
ルートは地図上の赤い線で示した。
早朝に家を出て、笹子駅に降り立ったのは7時半過ぎ。
11月中旬ともなれば朝晩の気温はかなり下がっていた。
長袖シャツ1枚では寒く感じられ、セーターを上に着たまま国道20号線を歩き始めた。
見回すと、ほかに歩いている登山者は一人だけだった。
しばらく東京方面に向かって歩き、道標に従って左折して中央線の線路をくぐる。
静まり返った吉久保の集落の中を抜けると、中央自動車道をまたいで正面に滝子山を見ながら高度を上げていく。
桜公園の駐車場に車数台がとまっていて、数人が登山の準備をしていた。
さらに大鹿川沿いの林道を進んで山の中に入っていくと、寂しょう尾根コース(地図上に青線で示した)への
分岐がある。
11年前の2001年には寂しょう尾根を登ったので、今回はすみ沢ルートから登ることにし、さらに林道を進んだ。
やがて右手にお地蔵さんが現れ、そこがすみ沢沿いの登山道の入り口だった。
駅から55分かかった。
登山道に入ってからしばらくは、沢に近づいたり離れたりしながら登っていく。
整備された道なので、歩きやすい。
しかも周りは広葉樹主体の森林なので、気分がいいし、ところどころに滝があったりして飽きない。
少々がっかりだったのは、せっかくの広葉樹の葉があまり色づいていなかったことだ。
時期が早かったのか、このまま葉が落ちるのかはわからない。
高度を上げて、すみ沢の水量が減ってくると傾斜も緩くなり、滝子山に続く広い尾根を歩くことになる。
地面には霜が降りていて、気温が低いことがわかる。
頂上も近付いたころ、鎮西ヶ池が現れる。
池といっても水たまりのようなものだ。
脇には、白縫神社の祠がある。
ここまで登れば頂上まではあと少し。
見覚えのある頂上に着くと、雪をかぶった富士山をはじめ周囲の山々がはっきりと見える。
頂上で展望に恵まれると気分が爽快になる。
風もほとんどなく休んでいても寒く感じない。
日曜日とあって次々に登山者がやってくるが、めいめい散らばって休むので、窮屈さは感じなかった。
周囲の写真を撮ったり、昼食のおにぎりを食べたりして、結局一時間近くも休んでから頂上をあとにした。
下山は、南東側に延びる尾根をたどって初狩駅に出た。
前回2001年のときと同じ道だ。
といっても細部は忘れているので、初めて歩くのと、さして変わらない。
こちらから登る人は少ないとみえ、すれ違った登山者は4人だった。
すみ沢沿いの道と違って変化に乏しいが、上部は広葉樹の森なので、紅葉のピーク時や新緑の頃ば楽しめそうだ。
藤沢の集落を抜けると初狩駅は遠くない。
駅に着いたら、登り電車が発車したばかりだったようで、次の電車まで30分以上待たなければならなかった。
でも、ここであわただしく電車に乗るのはもったいない。
ホームから登ってきた滝子山をふり返って眺める余裕があったほうがいい。
無事、2度目の滝子山登山を終えて、改めてその魅力を考えてみた。
箇条書きすれば、次のようになる。
・電車の駅から直接歩き始めることができる
・下山時に登りと違ったルートを取ることができ、出発時とは違った駅で山行を終えられる
・山頂からの眺めがよい
・初狩駅側に下山すると、登ってきた滝子山全体を見渡せて達成感を視覚的に確認できる
・歩行時間が適度である
花の季節であれば、花を観賞する楽しみもあるようだが、私はまだ花の季節に歩いたことがない。
歩行記録: 2001/3/24 登り2h35m(笹子駅−(寂しょう尾根)−頂上) 下り2h05m(頂上−初狩駅)
2012/11/04 登り2h55m(笹子駅−(すみ沢)−頂上) 下り2h10m(頂上−初狩駅)
笹子駅から約1時間ですみ沢沿いの登山道入口に出会う。
林道わきには道証(みちあかし)地蔵があり、ここから本格的な登山道が始まる。(2012/11/04)
以下、この日の写真はすべてCANON 5D Mark2・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影した。
すみ沢に沿った登山道では、ところどころにある滝を見ながら高度を上げていく。
一部の木々の葉は色づいていたが、多くはまだ緑だった。(2012/11/04)
頂上近くまで登ると、鎮西ヶ池がある。
源為朝にまつわる伝説の地である。
池とはいっても、草むらの中の水たまり程度のものだ。
脇には白縫神社の祠がある。
ここまで来れば、頂上まであと10分ほどである。(2012/11/04)
頂上からの富士山。
南を向いて撮っているので逆光になり、手前に見える山々は色彩感に乏しい。
左端奥に目立つのは杓子山の山塊。
眼下には吉久保の集落、その上に鶴ヶ鳥屋山が見える。
右の本社ヶ丸へと尾根が続いている。
富士山の手前右下、本社ヶ丸の左奥の山は三ツ峠山。(2012/11/04)
縦位置にして撮った富士山。
下には、朝方に通過してきた吉久保の家並みと、中央自動車道が見えている。(2012/11/04)
山頂から北側の眺め
左側にとがったピークの大谷ヶ丸とその右奥にハマイバ丸、
そして中央奥に黒岳と右側に雁ガ腹摺り山が見えている。
この写真の右側外には、三頭山や大岳山など奥多摩の山々が連なっている。(2012/11/04)
下山後、初狩駅ホームの西側の端から見た滝子山。
こうやって、下山後に登った山を見渡せるのも滝子山の魅力の一つだ。
この初狩駅は、スイッチバックと呼ばれる鉄道施設が残っていることで知られる。
かって勾配のきつい中央本線にはいくつもスイッチバック駅があった。
今もその当時の施設が残るのは初狩駅だけのようだ。
ただし、旅客用ホームは本線上に移設されている。
(2012/11/04)