高尾山(東京都)

たかおさん 標高599m。
高尾山は、東京近郊でもっとも人気のある行楽地の一つであり、登山客数が世界一だそうだ。
近年人気が上昇したきっかけは、ミシュランガイドで紹介されたこととされている。
その背景には、自然がよく残っていることと、交通の便がよいこと、そして富士山を展望できることが上げられる。
自然が豊かなのは、昔から薬王院の寺域として天然林が保護されてきたことが背景にあり、
関東の標高が低い山でありながら、植物の種類がきわめて多いことにつながっている。
主に日本海側の多雪地帯に分布するブナまでも見ることができる。
そのあたりの解説は、「山の自然教室」(小泉武栄著)に詳しい。
この変化に富んだ自然を味わうのに、登山道がいくつもあるのが好都合である。
そのときの気分や目的により、ルートを選べるのである。
北方系の植生が見られる4号路、暖地系の植物が多い3号路、沢筋をたどる6号路などである。
私が高尾山の魅力を実感し始めたのは、それほど昔のことではない。
若い時は雄大な景色や登りごたえのある山に惹かれ、高尾山は遊園地の延長のようにしか思っていなかった。
それが、身近な山にこんなに豊かな自然が残っていることを知り、その奥深さに気づくと、知的好奇心をくすぐられ、何回歩いても飽きないのである。
筆者は高尾山の自然全般に興味があるものの、どちらかというと蝶、そして最近は、花に関心が向いている。
首都圏の年配の蝶愛好家にとって、高尾山といえばギフチョウの産地として有名だった。
残念なことに、私が本格的に蝶の観察や採集を始めたころにはもう高尾山のギフチョウは絶滅していて、
今はもう見ることができない。
ギフチョウはいなくなったけれど、高尾山ではまだまだいろんな種類の蝶に出会えるので、
東京近郊の貴重な場所であることに変わりはない。
高尾山の蝶と花の写真は、それぞれ下記の別項で紹介しているのでどうぞ。
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蝶と自然
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花の山 高尾山