たかみずさんざん 標高793m。
高水三山は、奥多摩の御嶽駅北側に位置する3つの山の総称で、
高水山(759m)、岩茸石山(793m)、惣岳山(756m)で構成されている。
筆者が初めて高水三山を歩いたのは、ずいぶん昔のことで、いつのことだったのか思い出せない。
今回紹介する記録は、2015年10月に、ウォーキング仲間二人と久しぶりに高水三山を歩いたときのものである。
もっとも三山のうち、岩茸石山から高水山と通って軍畑(いくさばた)駅までは、5か月前の棒ノ折山山行時に歩いたばかりである。
今回のルートは、地図上に赤線で示したように、軍畑駅から歩きはじめ、御嶽駅に下山するというもの。
当日(10月25日)軍畑駅に降り立ったのは8時前。
10人を超える大人数の団体登山者と一緒に歩き始めた。
これはにぎやかな山歩きになると思いながら、青梅線の線路を渡って少し歩いたら、
団体の登山者は仲間同士のおしゃべりに忙しいのか遅れだした。
我々の歩く速度は特別速いわけではなかったが、いつのまにか前後に登山者がいなくなった。
標識に従い、舗装道路を歩いて徐々に高度を上げると、右手に高源寺が現れる。
ここを過ぎると間もなく舗装道路から登山道へと入っていく。
あとは主にスギやヒノキの植林された斜面を歩くことになる。
駅から1時間半ほどで、常福院に着く。
山上にある寺院としては規模が大きく、山門や鐘楼も備わった真言宗の古刹である。
右の写真は不動堂で、1822年に再建されたものという。
今でこそ、林道が常福院の近くまで通っているが、昔の人はひたすら歩いたわけだから、その健脚ぶりには感心する。
高水山の頂上は、常福院のすぐ上である。
我々は、展望のない高水山の頂上を通り越し、岩茸石山を目指した。
常福院から30分余りで岩茸石山の頂上だった。
岩茸石山は高水三山の中でもっとも標高が高い。
頂上は、北面が開けていて、東から西にかけての展望が得られる。
やっぱり頂上では、大展望があったほうがうれしいものだ。
汗を流して登ったあとに、雄大な景色が見られれば、頑張った甲斐があるというもので、展望は山登りの大きな楽しみの一つである。
この写真は、北西の方角を写したもので、中央に川苔山(1362m)、左奥には雲取山(2017m)の頭が覗いていた。
5月に棒ノ折山から歩いてここに着いたときには、大勢の登山者で溢れて賑やかだったが、
この日は御嶽方面から登ってきた数名の登山者がいるだけで静かだった。
高水三山随一の見晴なので、ゆっくり休みたいところだったが、北側からの冷たい風がまともに吹き付けるので、
じっとしていると体が冷えてくる。
写真を撮っただけで、そうそうに頂上を後にした。
高水三山の最後のピークである惣岳山の頂上は、杉の木立に囲まれた小広場になっていて、青渭神社奥宮(写真左)がある。
金網越しにのぞき込むと、立派な彫刻が壁面に施されているのがわかる。
木々に囲まれて展望がない代わりに、風もさえぎられているので、ここで一休みする。
あとは御嶽駅を目指して下るだけ。
惣岳山を少し下ると、真名井の霊泉の祠(写真左)があるが、水は出ていないようだった。
下り続けて最後は、青梅線の踏切そばに出て、半日ほどの高水三山の登山を終わった。
今回一緒だったウォーキング仲間と歩くときは、終了後に蕎麦を食べて締めくくるのが恒例になっている。
今回は下山した場所が、有名な玉川屋の上だったので、当然玉川屋に入ってみた。
懸念していた通り、休日の昼時なので、順番待ちである。
そこで、駅の西側にある蕎麦屋「ごろう」に場所を変えてみたが、こちらも順番待ち。
好天の休日で昼食の時間帯なので、ある程度の混雑はしかたない。
食後、まだ日が高いので、多摩川の川べりに下りて散策をした。
御岳渓谷といえば紅葉が見事なのだが、このとき(10月25日)は色づき始めたくらいで、見ごろはもう少し先の様子だった。
川では、ちょうどカヌーの大会が開かれていて、選手が巧みにオールを操って、関門をくぐりぬけていた。
さて、高水三山は、よく奥多摩の入門コースという呼び方をされる。
確かに、歩行時間が比較的短く、バスを使わずに駅から歩き始めて、駅に直接下りられるというのは、
時間をあまり気にせず歩ける利点がある。
登山道も概ね歩きやすいけれど、惣岳山の登りなどに手を使うようなちょっとした岩場があるので、
それなりに注意は必要である。
上に載せた写真はすべてPENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。