白木峰(富山県/岐阜県)

しらきみね 標高1596m。

  白木峰は富山県と岐阜県の県境上にある山。
 2004年の夏、金剛堂山を登った翌日に富山県八尾町側から登り、 小白木峰を往復した。 前日の宿を高山に取ったため、登山口まで大変な迂回を強いられた。 というのも当てにしていた県道471号が、 岐阜県との県境近くの富山県側で工事中のため通行止めになっていたためである。 このことは前の日に金剛堂山を登った時にわかっていたので、 岐阜県宮川村から登ることも考えた。 しかし詳しい資料を持っていない上に、 国土地理院の五万の一地形図にはそのルートが載っていないことから状況がわからず断念した。 それで時間がかかることは承知の上で、 八尾町の市街地近くまで大回りして当初予定通り八尾町からのルートで登ることにした。 帰宅後に調べてみると、宮川村の万波高原から小白木峰に通じる道があり、 これをたどれば楽に小白木峰に達することが出来ることがわかったが、後の祭りだった。
 国道471号を南下し「二十一世紀の森」を通って、 舗装された林道を上がり1300m地点の駐車場に着いたのが8時少し前。 10台くらいの駐車スペースがあるが、 一緒に到着した石川県ナンバーの車と私の車が一番乗りだった。
 コンビニで買ってきたサンドイッチで簡単な朝食を済ませたのち、 8時に登山開始。 かなりの急坂を登る。 林道を2回横切って頂上部の草原に出ると、 台風10号の余波による強風が吹きまくっていた。 風で体がふらつき、帽子も手でしっかり押さえていないと飛ばされそうなほどだ。 木道を少し歩くと頂上だった。 駐車場から30分弱の登りである。 風が強いことを除けば、快晴で周囲の景色は申し分ない。 北アルプスの山並みが影絵のようにくっきりと見えている。 残念なのは、花の時期を逸していて、緑の絨毯に彩りが乏しいことだった。
 少し休んだのち、小白木峰の往復に出発する。 頂上の草原の南端には屋根つきの仏像があり、ここも絶好の展望台で、 眼下には小白木峰、その向こうに金剛堂山、それに遠く白山まで見える。 小白木峰までは幅の広い尾根が続いていて、おおむねゆるやかな下りであることが見て取れる。 草原から少し急な坂を下って樹林帯に入ってしまうと、 大木があるわけでもないが、ほとんど展望が利かなくなる。 白木峰から約1時間の単調な歩行の後、小白木峰の頂上に着いた。 笹原の中に三角点があるだけで、なんの変哲もない。 少し進むと、万波高原と表示された登山道が左に分岐する。 さらに5分ほど緩やかに下ると大きな池塘が現れる。 前日に登った金剛堂山が、池塘の向こうに横たわっている。 その金剛堂山のゆったりとした山なみが宝石のような水面に影を落としている。 まさに山上の小さな楽園といった趣で、 片道1時間かけてわざわざやってきた甲斐があるというものだ。 写真を撮ったりして十分に景色を堪能した後、 白木峰を目指して戻ることにした。
 1時間半ほどかけて白木峰に戻ると人が増えていたが、 それでもちらほら目に付く程度だ。 まだ時間が昼前だったので、浮島のある池塘まで足を延ばしてみた。 こちらの池塘周辺は小白木峰の池塘と違って、 木道が完備されていて訪れる人が多いことを物語っている。 池塘の向こう東側に見えるのは北アルプスの山並みである。 ここからの景色も捨てがたいが、少々霞んでいる。 浮島のある池塘を一周した後、ゆっくり歩いて駐車場へと引き返した。 車の数が11台に増えていて、駐車場は満杯になっていた。
 今回は登った時期が花の季節を過ぎていて華やかさには欠けていたが、 のんびりと周りの景色を見ながら散策するにはかえってよかったかもしれない。

 歩行記録  2004/08/02 登り 27m(駐車場−白木峰)


 草原の中の木道をたどると白木峰頂上に出る。 方位盤をテーブルにしたベンチが置いてある。

 白木峰の頂上から東側の眺め。 左手の奥のピークの陰に浮島のある池塘がある。 背後の山並みは北アルプスで、立山、剣岳が見えている。

 白木峰の頂上の少し南から眺めた小白木峰(中央、手前の丸い尾根の上)と、 その向こうに見える金剛堂山。 さらに奥には白山が顔を出している。

 小白木峰の池塘。 正面の金剛堂山が水面に影を落としている。 風の音だけ聞こえる静かな世界。
 このあたりの標高は1400m、金剛堂山との標高差は200mちょっとで、 距離は約4km。
 いつまでも腰を下ろしていたいような小さな楽園だが、 白木峰から小白木峰を往復する間、誰にも会わなかったのが不思議だ。

 モウセンゴケ。 小白木峰の池塘のそばにたくさん目に付いた。

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