小野岳(福島県)

おのだけ 標高1383m。

 自分の名字と同じ地名があると気になるものである。 筆者の場合、山では小野岳があり、ほかに小野峠や小野駅、小野市、小野町などが 本州各地に散らばっている。 そのうち山の名前になっているのは小野岳だけのようである。 福島県会津にあり、東北百名山にも数えられているほどだから、 いつか登っておきたいと思っていながら、 なかなか機会がなかった。 2009年になって、山仲間の集まりであるK555の幹事役が回ってきたので、 その特権を利用して小野岳に登る計画を立てた。
 10月中旬の週末に、7人が湯野上温泉の民宿「星乃井」に泊まり、 翌日、有志4人で山頂を目指した。 大内宿側の大内登山口から登り、小野観音に下りてくるルートである。 宿をタクシーで出たときは雲が広がっていたが、天気予報では晴れである。 登山口に向かう途中で駅に寄ってもらい、登山に不要な荷物をタクシーの営業所で預かってもらう。 週末の昼の大内宿周辺は大変な渋滞になるらしいが、早朝は観光客もまばらである。 大内登山口には、数台の駐車も可能なちょっとした広場がある。 登山メンバーは、私を含め4人。
 9時前に歩き始める。 最初のうちは、杉林の中を小さな沢沿いに登る。 15分ほどで、小野の泉と名付けられた水場に着く。 「最後の水場です」と標識にある。 もうしばらく登ると杉林終わり、広葉樹の林に代わる。 沢から離れ尾根の上に出るあたりから木々の葉も色づきが増してくる。 北側から沼尾に通じる登山道が合流すると、 雲も消え、紅葉が朝日に輝いている。 ところどころにブナの巨木があったりして、 感じのよい登山道だ。
 頂上に10時半着。 広々した頂上に我々のほかに誰もいない。 シートを広げて休憩。 青空の頂上は実に気分がいい。 しかも風もほとんどなく、休んでいて寒くなることもない。
 ゆっくりしたのち、下りは南側の小野観世音に向かう。 地元の人の話では、こちらのコースのほうが傾斜がきついということだったが、 それほど急こう配という印象でもない。 道が歩きやすかったせいかもしれない。 途中で大人数の団体とすれ違った。 小野岳は全国的には知られた山とは言えないが、 登る人は少なくない様子だ。 小野観世音まで一気に下ると、駅まではそう遠くなかった。 上を見上げると、だいぶ雲が広がっていた。 朝の早いうちに登っておいでよかったようだ。
 湯野上温泉から会津鉄道の「AIZUマウントエクスプレス」で鬼怒川温泉に向かい、 ここから特急「スペーシアきぬがわ」に乗り換え、新宿に帰着した。 普段東武電車に乗る機会があまりないので、JRに乗り入れている「スペーシアきぬがわ」 に興味があり、乗ってみたかったのである。 乗る前は、北千住あたりからJRに入るのかと想像していたら、 栗橋で乗務員が交代してJRの線路に入るのだった。

歩行記録 2009/10/18 登り(大内登山口−頂上)1h45m  下り(頂上−湯野上温泉駅) 1h50m

 登山の前日、湯野上温泉駅から宿の「星乃井」に向かって歩いて振り返ると、 小野岳が大きく見えた。 ちょうど会津田島行きのディーゼルカーが通過して行った。
 小野岳は湯野上温泉方面から見ると、まるで独立峰のようで存在感がある。 地図で確認すると、尾根は小野岳の北側に延びていて、 独立峰ではないのだが。 (2009/10/17)
 写真はすべてCANON 5D Mark2・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。

 小野岳の上部は、紅葉が見ごろで、 落ち葉を踏みながら高度を上げる。 周りにはブナの巨木が目立つ。 (2009/10/18)

 小野岳の頂上。 青い空が広い。 このときは我々だけで頂上を独占できたが、下り始めると大人数の団体とすれ違った。
 頂上に着くのがもう少し遅かったら、人で一杯になっていたかもしれない。 (2009/10/18)

 頂上から東側を見ると、大戸岳が大きく横たわっている。 (2009/10/18)

 南東の方角には、二岐山方面の山々が望まれる。 (2009/10/18)

 下りは、山の南側にある小野観世音にコースをとった。 小野観世音に置いてあった小冊子に歴史や伝説が書かれている。 正しくは大悲殿観音堂というらしい。 周辺の一部の木では葉が色づいていたが、 大部分の木の紅葉はもう少し先のようだった。 (2009/10/18)

 湯野上温泉周辺での最大の観光地は大内宿である。 我々も登山の前日に大内宿を散策し、 そばを食べて昔の宿場の雰囲気を味わった。
 秋の週末で行楽日和だったため、観光客で大変なにぎわいだった。 (2009/10/17)

 湯野上温泉では民宿「星乃井」に泊まったら、 夕食後、宿主催の夜の大内宿ツアーに誘われた。 昼と違って、暗い通りには人気がなく、まるで別世界だった。 電気のなかった昔の夜はもっと暗かったのだから、 どんな世界だったのだろうか。
 この写真は、ISO25600に設定して手持ちで撮影している。 フィルムのカメラではとても考えられないことだ。 これで月明かりでもあれば、家並みの形がはっきりしたと思われる。 (2009/10/17)

 上記の夜の大内宿ツアーの帰りに、 かやぶき屋根の駅舎として有名な湯野上温泉駅に寄ってくれた。 20時半ごろで、駅員もいない駅舎はがらんとしていた。 この写真も、カメラを手持ちで撮影した。 (2009/10/17)

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