まるやま 標高960m。
2017年の正月三が日は穏やかな晴天の日が続いたが、外出は近所のお寺への初詣だけだった。
好天続きに家でじっとしているのももったいないので、1月4日(水)に奥武蔵の丸山に登りに行った。
これはそのときの記録である。
最近の筆者が頻繁に出かける山域は、奥多摩方面が多く、奥武蔵や奥秩父の山からは遠ざかっていた。
そこで、候補地として奥武蔵の山の情報をあさると、まだ登ったことのない山の中では、丸山の頂上からの展望がいいことがわかった。
登りか下りに金昌寺(きんしょうじ)へのルートを取れば、秩父三十四観音霊場の一つにお参りできるのも魅力だ。
時間的には芦ヶ久保駅からのコースが、短時間で頂上に着くので、今回は西武線芦ヶ久保駅から登って、金昌寺に下ることにした。
早い時間に頂上を踏んでおいたほうが、空気が澄んでいて、眺望がきくことが多いからだ。
当日は、朝7時前に家を出て、地下鉄で池袋駅に向かった。
4日から仕事という人も多いようだが、電車の中は普段の平日よりはだいぶ空いている。
池袋7:27発の飯能行電車はがらがら。
もともと朝の下り電車は空いているのだろうが。
飯能で西武秩父行電車に乗り換え、芦ヶ久保駅に9時2分着。
下車したのは私のほかに3人。
うち登山の格好をしていたのは、若い女性の二人連れだけ。
広い駅前広場にはまだ日が差さず、寒さが厳しい。
まずはルートの確認だ。
果樹公園村の中を進むつもりなのだが、駅の案内図を見ても道路が錯綜していて要領を得ない。
とりあえず、駅を出て川を渡り、白髭神社のところを右折して丸山を目指した。
道路をかなり上方まで登ると、登山道入り口の標識があった。
民家の裏につけられた道を歩くと、右後方には武甲山が大きく見える。
やがて雑木林に中に入り、獣害防止用ネットに行き当たる。
ここを通る人は、利用後にきちんと閉じなければならない。
最近、山村ではどこでも野生動物による被害が深刻化しているようで、同様のネットや柵を見かけることが多い。
高度を稼いでいくと、いつの間にか道は広い尾根状の上になり、周りは針葉樹が多くなる。
木々に覆われた小ピークにつくと、県民の森の案内板があり、丸山の頂上へは、もうひと踏ん張り登らなければならない。
やっと着いた丸山頂上では、コンクリート製が展望台が出迎えてくれた。
芦ヶ久保駅から1時間45分かかった。
展望台(写真左)は、想像していたより大きくりっぱで要塞のようだ。
頂上近くまで道路が伸びているので、建設時の資材運搬が比較的容易だったのだろう。
ただ、山の頂上に、こんな巨大な人工物を作っていいのかという気がしなくもない。
さっそく、その展望台に上がってみる。
武甲山や両神山、眼下に広がる秩父市街地などがよく見える。
左の写真で、左側のピラミッド型の山が武甲山、右端近くの遠くのピークが両神山だ。
なるほど秩父は、山々に囲まれた盆地である。
反対側には、堂平山のなだらかな姿やドームも見える。
こうして周囲の景色を眺めていると、丸山は快晴の日にこそ登る価値があると言えそうだ。
帰宅後、頂上から撮った写真を拡大してみたら、横瀬駅の駅舎の三角屋根と思われる建造物が写っていた。
登山者が時折やってくるが、混雑というほどではなく静かなものだ。
持ってきた双眼鏡で眺めていると飽きないが、
吹きっさらしの展望台にじっとしているとだんだんと体が冷えてくる。
十分に景色を堪能したら下山だ。
予定通り、金昌寺を目指すことにし、頂上を後にした。
途中、森林学習展示館まで道路を歩いたら、10人くらいの人がカメラを三脚に据えて梢の上を狙っていた。
どうやらここは、鳥の撮影ポイントとして有名のようだ。
森林学習展示館は冬季休館中で人の気配がなかった。
ここからは、雑木林の中につけられた、傾斜のゆるい登山道をひたすら下る。
ほとんど展望がないので、あまり面白味のある道ではない。
けれども、周りは落葉樹林が主体なので、足を下ろすたびに出る落ち葉からの乾いた音は、冬らしさを感じさせてくれる。
左の写真が登山道の様子。
歩いているうちに、気温が上がり、途中からジャケットを脱いで歩いた。
頂上から1時間45分で金昌寺着。
森林学習展示館からの下りでは、一人の登山者にも会わなかった。
このルートの利用者はあまり多くないのかもしれない。
金昌寺は、秩父三十四観音霊場の四番札所で、堂々とした仁王門(右の写真のように、赤く塗られた門に大きな草鞋が架かっている)や石仏群、
慈母観音像が有名だ。
平日とはいえ、まだ正月の4日である。
正月休みを利用した拝観者や巡礼の人でにぎわっているのかと思いきや、
実際には時折車でやってくる観光客らしき人がいるだけで、境内は静まり返っていた。
一渡り拝観してもまだ時間は13時半。
どうしたものか思案しながら付近の案内図を見たら、五番札所の語歌堂という面白い名前のついたお堂が横瀬駅に通じる道の途中にある。
そこに寄ってから横瀬駅まで歩くことにした。
約20分南下すると語歌堂が見えてきた。
仁王門と観音堂はいずれも赤く塗られた建物で、ぽつんと立っている。
ここにも巡礼者などの姿はなかった。
語歌堂という名の由来については、もちろん興味深い伝承が残されているのだが、興味のある方は自分で調べてください。
語歌堂で写真を数枚撮った後、歩くこと約30分で横瀬駅だった。
途中に温泉施設があり、汗を流すこともできるが、今回はパス。
駅では10分ほどの待ち時間で、タイミングよく14:44発の飯能行電車に乗ることができた。
飯能からは、横浜中華街行の快速急行に乗り、新宿三丁目経由で予定よりだいぶ早い17時に帰宅することができた。
丸山は、頂上からの眺めがよく、危険な場所もないし、歩行距離も長くはないから、手軽に登れる展望の山、と言える。