医王山(富山県/石川県)

いおうぜん 標高939m。

石川県と富山県の県境に位置する。金沢の市街地に近いので、 金沢の人たちには裏山のような身近な存在かもしれない。
 しかし、東京から登山だけを目的に出かけるには、 山の高さも大きさも少々物足りない。 幸いなことに、この山は、蝶好きにとってゼフィルスの宝庫として名が知られている。 そこで、2002年6月の週末、ゼフィルスの最盛期に合わせて医王山を歩いた。
 金曜日の晩、新宿発の夜行バスで金沢入りし、初日は医王山と同じく石川、富山の県境にある大門山を登り、 二日目に医王山を巡った。 梅雨時であるから仕方ないが、天気に恵まれず、景色はおろかゼフィルスも満足に見ることが出来なかった。 歩いた場所も夕霧峠から奥医王山までと西尾平付近だけなので、 とても医王山を登ってきましたとは言えないのは承知の上での山行紹介である。
 一日目の大門山の登山後に宿泊したのは、医王山の富山県側にある法林寺温泉である。 山間にある、一軒だけの静かな温泉宿である。 夜行バスの寝不足を解消するため、たっぷりと睡眠を取った後、 早朝に医王山に向けてレンタカーで出発した。 まずは最高点を踏まなくてはと思い、夕霧峠に上がったのだが、 霧状の雨が降っていて、気勢をそがれてしまう。 待っていても天気が回復するあてがないので、 雨具のズボンと傘という前日の大門山と同じ格好で奥医王山を往復した。 登山口には鳥居があり、これをくぐるとよく整備された登山道が尾根通しに付けられている。 急なところもあるが長くは続かない。 途中、左手に龍神池を見た後、黙々と広葉樹林の中を歩いていると突然、奥医王山の頂上に着く。 歩き始めて約20分、意外な近さに驚く。 頂上には展望台のやぐらが組まれているが、なにも見えないことがわかっているので登らなかった。 片隅には小屋掛けされた白山医王大権現がまつられている。 帰りは往路を戻ったが、往復ともだれにも会わなかった。
 次に車で医王山の尾根筋につけられた百万石道路を北に進み、医王権現まで行ってみた。 途中にはいかにもアイノミドリシジミが乱舞しそうな空間があるのだが、 この天気ではどうしようもない。 天気の様子から考えて、どうも山の高いところ、つまり中心部ほど雲が厚いようなので、 林道菱地広谷線を金沢側に下ってみることにする。 「しがらくび」という白兀山の下あたりまで来ると、一時的のようだが雨が上がっていた。 カメラを持って桔梗ガ原の中につけられた一般車通行禁止の林道を歩いてみる。 道のそばの木の葉をたたくと、ウラクロシジミらしき蝶が時折飛ぶが近寄れなくて確認できない。 1時間くらい誰もいない林道をうろうろして、どうにか写真に撮れたのはウラミスジシジミだけだった。 次に西尾平に移動して付近を歩いてみた。 葉をたたくと、ときたま飛び出す蝶はゼフィルスのようなのだが、種類まで確認できなかった。 天気がよくなるとも思えなかったので、昼前だが予定より早めに切り上げて金沢駅に戻り、帰京することにした。
 ゼフィルスの観察は翌年以降にお預けとなったが、 医王山のほんの一角を歩いただけでも植物相の豊かさが実感でき、ゼフィルスが多いと言われるのもなるほどと思われた。

歩行記録: 2002/6/23  登り:20m 下り:20m (夕霧峠−奥医王山)

 夕霧峠の奥医王山の登山口。鳥居をくぐって登る。 この写真左手の富山県側には、イオックス・アローザスキー場のリフトが延びて来ている。

 奥医王山の頂上。展望台用の金属のやぐらが組まれている。

 奥医王山の頂上にある白山医王大権現の祠。簡単な屋根がかけられている。

 夕霧峠から奥医王山への登山道のわきで見かけたユリの花。
 清楚だがよく目立つこの花が、人通りの多いと思われる登山道のわきで咲き続けているということは、 日本の登山者のマナーも良くなっているということか。

 ウラミスジシジミ。
 「しがらくび」近くの舗装されていない林道で撮影。 日が射さないため、路上でじっとしていた個体をストロボを使って撮影した。 自然光だけで撮影した写真は、ぶれていてだめだった。

[Back]