蓬莱山(滋賀県)


ほうらいさん 標高1174m。

 蓬莱山は琵琶湖西岸の比良山系南部に位置する。 一帯はスキー場として開発され、 交通の便もよい。 東京に住んでいる私でも、交通費を別にすれば、いつでも登ろうと思えば登れる山である。
 しかし、どうせ登るなら、 天気の良い日を選んで出かけたい。 天気予報で確認した後、 2007年の4月の日曜日に日帰りで往復した。 当日は東京駅から始発の新幹線に乗り込んだ。 仕事で乗ることの多い東海道新幹線だが、 始発に乗るのは久しぶりである。 日曜日のこんなに早い時間でも自由席はほぼ満席で、 東海道新幹線の利用者の多さをあらためて実感する。
 進行方向右手の窓際の席に座り、 景色を見ながら西に向かう。 晴れていても空気の透明度が冬ほどではなく、 うっすらと霞がかかったような感じである。
 京都駅で湖西線に乗り換え、 蓬莱駅に向かう。 左手には比叡山が見える。 途中に小野駅という私の苗字が同じ名前の駅を通過する。 あとで調べると、小野妹子にちなむ駅名らしい。 9時過ぎに蓬莱駅着。 電車には多数のハイカーらしき人たちが乗っていたが、 その中で蓬莱駅で下りたのは私一人だけだった。 ここは高架駅のため、 ホームからも目指す蓬莱山がよく見渡せる。
 駅前に降り立つと小さな広場があるだけで人気がほとんどない。 蓬莱駅は1974年に湖西線の開業に伴って作られた比較的新しい駅のせいか、 まだこの土地の風景にに十分溶け込んでいないように見える。
 新しいカメラで数枚の写真を撮る。 久しぶりの一眼レフによる撮影で、 ミラーの動作音が心地よい。 というのも、この1、2年の山行に一眼レフを持って歩いたことがなく、 ペンタックスの一眼レフデジカメK10Dを4月に購入して初めての山行だからだ。 レンズはDA 12-24mmF4ズーム(35ミリ判換算18.5mm〜37mm)である。 だがこの組み合わせはけっこうかさばり、 重さもかなりになる。 山歩きに大きな荷物を持ちたくないので、 どうしようかと迷ったが、 蓬莱山はハードな登山でもないので持ってきた次第。 でも肩から提げるとやっぱりずっしりとくる。
 駅前から標識に従って小女郎峠を目指す。 単に蓬莱山の頂上に達するのであれば、 ロープウェイで打見山経由で登るのが手っ取り早い。 しかし、それではあまりに安直過ぎるので、 当初は西側の安曇川側から登ろうと思って調べたら、 始発の新幹線でも京都発のバスに間に合わないことが分かって断念し、 結局蓬莱駅から歩くことにしたのである。
 しばらくはのどかな田園風景の中を進む。 やがて湖西道路を横切り、少しずつ高度を上げていくと森林地帯となる。 今にもギフチョウが飛び出しそうな環境のところもある。 このあたりには生息していないことはわかっていても、 蝶が飛んでくると自然に目で追ってしまう。 林道が終わって間もなく薬師滝が現れるが、 その脇の登山道で鹿の死体がころがっていてびっくりする。 まだ死後それほど経っているようには見えなかった。 沢の近くに付けられた道を、ウグイスの声を聞きながら足を運ぶ。
 駅から2時間で小女郎峠だった。 琵琶湖はもうはるか下だ。 小女郎ガ池まで足を延ばす。 この日初めての登山者に出会う。 写真を数枚撮った後、 小女郎峠に戻って蓬莱山に向かう。 ゆるやかな道である。 たどり着いた蓬莱山の頂上は広々としていて、 すでに多くのハイカーが思い思いに草の上に陣取って寝転がったり、 食事を楽しんでいた。 南には比叡山が、北側には武奈ガ岳が見えている。 私も草の上に腰を下ろし、 休憩を取った。 さて帰りをどうするか? 登りは歩いたので、 下りは機械を利用してもいいだろうといいう安易な考えが勝ち、 打見山からゴンドラで下りた。 ゴンドラ山麓駅周辺には桜の木がたくさんあり、 満開の花の下では家族ずれなどで賑わっていた。 接続するバスで志賀駅に出たところ、 三重県で起きた地震でダイヤが乱れているとうアナウンスがあったが、 大した遅れはなかった。 京都駅経由の新幹線利用で、18時過ぎには帰宅することができた。
 新しいカメラは、 心配したほどの重さは感じず、 カメラを持つことによって疲労が増したということもなかった。 今回の山行がはさほど長時間の山行ではなかったせいだろう。 肝心のカメラの機能については、完全に理解しきれていないし、 超広角域をカバーするズームレンズの使いこなしもこれからの課題である。

 歩行時間 2007/04/15 登り2h40m(蓬莱駅−小女郎池−蓬莱山頂上)

 蓬莱駅前から見た蓬莱山。 駅前とはいっても商店街があるわけでもなく、 閑散としている。 今回掲載した写真は、 すべてペンタックスK10D・DA 12〜24mmF4で撮影したものである。

 駅から小女郎峠へ向かって、 田畑の中を歩くと、 ちょうど満開の桜の木が現れた。 菜の花を前景に、桜の花と蓬莱山を遠景にして撮ってみた。

 小女郎ガ池のほとりから蓬莱山を望む。 もう少し空気が澄んで空が青かったらもっとよかったと思うが。

 小女郎峠から蓬莱山にかけての登山道から見下ろす春霞の琵琶湖。 琵琶湖大橋やさきほど降り立った蓬莱駅も見えている。 下界からは風に乗って、 統一地方選挙の候補者の宣伝スピーカーからの音が流れてきていた。

 小女郎峠方面から見た蓬莱山。 穏やかな丸い山頂である。 反対側はスキー場として開発されているが、 こちら側は、 一面に笹原が広がっている。

 蓬莱山から北側の眺め。 正面の斜面はスキー場。 左奥に武奈ガ岳が見えている。 右手前は打見山である。

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