ごようざん 標高1351m。
五葉山は北上山地の太平洋の近くにあり、10数km東はもう海である。
登山の前日は、羽後朝日岳に登山後、北上駅近くに宿を取ったため、早朝の車の少ない時間帯にもかかわらず、
登山口の赤坂峠まで車で約2時間を要した。
岩手県は広い。
広々とした峠には、整備された駐車場にトイレまである。
平日の8時前だったせいか筆者の車が一番乗りのようで、人の気配がなかった。
ウグイスやセミの鳴き声を背に、簡単な朝食を取りながら登山の準備をし、8時半過ぎに鳥居をくぐって出発。
10分位歩いたところで、ゼフィルスのオスが青緑色の金属光沢を輝かせて行きつ戻りつしているのを見つけた。
種類がわからないので、ネットをザックから取りだしさっと振りぬいた。
この時、なんと石につまづいてバランスを崩し、尻もちをつくという失態を演じた。
ネットに入ったと思った蝶の姿がない上、腕に擦り傷まで負ってしまった。
傷口に泥が付いたので、念のため峠まで戻ることにし、水道の水で傷口を洗い流した後、
気を取りなおして再出発。
30分ほど時間をロスして、尻もちをついた場所に来ると、
さきほどのゼフィルスと同じと思われ個体がいるので、今度は慎重に数枚の写真を撮った。
(このページの最後に掲載した写真がそれである。)
ほかにもゼフィルスがいないかとあたりを見まわしながら歩いたが、
どういうわけか2頭目は現れず、
峠から45分歩くと畳石という大きな石の点在する場所で一息入れた。
このあたりから薄雲が取れだし、夏の強い日差しが降り注ぐようになる。
幸いなことに、ここから道は樹林帯の中になり、木陰を作ってくれるのがありがたい。
途中にミズナラの美しい林があったりして退屈しないで歩ける。
頂上近くになると傾斜も落ち、石楠花荘というりっぱな避難小屋に着く。
脇には豊富な湧き水があり、これが乾いた喉に実においしい。
小屋からは霞んでいるが海が見える。
さらに緩やかな斜面をたどると石垣に囲まれた日枝神社である。
頂上の標識は、ガンコウランなどの生えた平坦地を少し北東に歩いた所にある。
もう少し歩くと、コメツガ林になり、日ノ出岩という不思議な格好をした岩にたどりつく。
ここは五葉山頂上(1341m)より10m高いことになっている。
写真を撮った後、日枝神社に戻って昼食を取る場所を探したが、
真夏の日差しをさえぎる木陰がないので、鳥居が作るわずかな日蔭を利用させてもらった。
11時過ぎに下山開始。
石楠花荘から下り始めると、この日初めての登山者二人とすれ違った。
この後しばらく下ったミズナラの林の中で、今度は会社の山仲間のH君一家と出会った。
お互いに東北地方の山に来ていることを知らなかったのでびっくり。
まだ幼い子供は奥さんの背中でうとうとしていて、山に来ていることがわかっていない様子だった。
両親の期待にこたえて山好きな少女に育つのだろうか。
12:20、峠に戻ると数台の車が駐車していたが、この日出会った登山者は10人に満たなかった。
五葉山は、中腹の樹林帯と平坦な頂上の高山的な雰囲気などけっこう変化に富んだよい山だ。
歩行記録 2002/07/30 登り:赤坂峠−頂上 1h50m 下り:日枝神社-赤坂峠 1h10m
赤坂峠。
手前が駐車場。舗装道路を挟んで登山口の鳥居が見える。
その向こうに見えるピークは黒岩で、五葉山の山頂は右手の斜面に隠れていて見えない。
日枝神社。頂上の標識は少し先にある。
頂上部が平らになった山はそう珍しくないが、
そういう頂上に立つと、やはりなにか変な感じがする。
頂上付近から見た日枝神社の鳥居。その向こうに見えるのが黒岩。
樹林の中から頭を突き出した日ノ出岩。基部に祠がある。
平坦な頂上部にこれだけ目立つ格好の大岩があるのだから、
信仰の対象になっていても不思議ではない。
登山口から10分歩いた登山道脇で出会ったゼフィルス。ジョウザンミドリシジミ♂と思われる。
この2枚の写真は同じ個体である。
これらの写真は、OLYMPUS OM-4TiBlack・90mmF2 マクロで、
他の写真はCONTAX TVSで撮影した。