大船山(大分県)

だいせんざん 標高1786m。

 九重山群の東部に位置する。

 11月下旬の快晴の日に長者原から往復した。
 宿をとった湯平温泉を暗いうちに車で出発し、 長者原の広い駐車場に着いたのが6時半。  この季節になると九州でもかなり冷える。  コンビニで買った簡単な朝食を食べてから歩き始めるが、 なかなか体が温まってこなかった。  タデ原湿原を通り、緩やかな山道を登り着くと雨ガ池越で、 ここからは涌蓋山が長者原の向こう側に見える。  雨ガ池は、雨が多いときには池になるそうだが、 このときは干上がった地面が霜で真っ白だった。  少し下って坊ガツルに出ると、周囲は一面茶色の世界で、 アメリカ西部あたりの乾燥した山の中に来たような錯覚に陥る。  実際には地面が茶色に見えるわけではなく、草や木の葉が枯れているために、 茶色に染まっているのである。  坊ガツルのキャンプ場からは、また雑木林の中の登りとなる。  段原と呼ばれる尾根の上に出ると頂上はもう近い。
 岩のごろごろした山頂に立つと、そこは遮るものがない大展望台である。  九州では阿蘇が雄大な景色の代表格だが、 ここ九重の景色もまた広大だ。
 西側に幾重にもピークを連ねる九重の中心部の山が、まず目に飛び込んでくる。  北側に目を転じれば、由布岳がその特徴的な双耳のピークを天に向かって突き上げている。  南側には少し距離を置いて祖母山、傾山が横たわっている。
 しばらく周囲の景色を満喫したのち下りにかかったが、 また同じ道を通るのは面白くないので、 段原からの下りの途中から立中山への脇道に入り鉾立峠へと抜けた。  天気がよいので軽い気持ちで立中山へのコースを取ったのだが、これがとんでもないルートで、 かすかな踏み跡程度の道を、古い赤テープを頼りに進むなければならない。  踏み跡が消えているところでは、数度にわたってルートを見失い、かなり時間をロスしてしまった。  山に慣れている物好き以外には、とても勧められる状態の道ではない。
 鉾立峠で広い道に出たときは、正直ほっとしてやれやれという気分だった。  そのあとは、坊ガツルに出て往路を長者原に戻り、 次の目的地の涌蓋山へと向かった。

山行記録: 2000/11/24 登り2h55m(長者原−坊ガツル−大船山)  下り3h20m(大船山−立中山−鉾立峠−坊ガツル−長者原)

 写真右は法華院温泉付近からの坊ガツルと大船山。
 のびやかなスカイラインと広々とした空間は九重の山の魅力である。
 次回はミヤマキリシマが咲く頃に法華院温泉に泊まって、 坊ガツルの雰囲気にじっくり浸りたいものである。

 頂上からの九重山群の眺め。(写真右)
 左から稲星山、久住山、星生山が右端に三俣山が見える。 足元の中ほどになだらかに盛り上げっているのが立中山、 その右手に広がるのが坊ガツルで、法華院温泉が小さく見えている。
 これだけの眺めを得られたのは幸運だった。



頂上から見た由布岳(中央左寄りの双耳峰)。

 雨ガ池越から見た涌蓋山。 手前の泉水山が涌蓋山の下半分を隠している。
 この日は終日天気が良かったので、 大船山を下山後、疥癬湯(ひぜんゆ)に移動して、涌蓋山の頂上も踏むことが出来た。

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