棒ノ折山(東京都/埼玉県)

ぼうのおれやま 標高969m。

 棒ノ折山は、東京都と埼玉県の県境にある山で、棒ノ嶺(ぼうのれい)などとも呼ばれる。
 2015年の5月は、なにも計画しないうちに連休に入ってしまった。 家で時間をつぶすにはもったいない天気なので、急きょ、日帰り登山ができる山を探し、棒ノ折山を登ることにした。 以前から、気になっていながら、歩いたことがなかった、というのが選んだ理由。
 登山コースは、埼玉県側からと東京都側の両方からある。 今回(5月3日)は、埼玉県側から登り、東京都側に下ることにした。 左の地図で赤線で示したのが、今回のルート。
 早朝、地下鉄の一番電車に乗って、副都心線、西武線経由で飯能駅へ。 飯能駅からバスに揺られること約40分。 さわらびの湯に到着。 乗客のほとんどがハイキング客のようで、大半がここでバスを降りた。
 快晴で雨の心配がないなので安心だ。 サンドイッチで簡単な朝食を済ませ、有間ダムを目指して出発したのが8時過ぎ。 登り勾配の舗装道路を歩いていると、猿の群れが道路を横切った。 写真に撮ろうと近づいたときには、茂みの中に入ってしまった。
 バス停から約10分で有間ダム着。 ダム湖(名栗湖)には、水がいっぱいにたくわえられていて、湖面の先に源流部の山並みが見通せる。 ダムの上を歩いて対岸に渡り、しばらく歩くと、白谷沢(しらやさわ)コースの登山口である。
 登山口からは、森の中の道になる。 最初は、植林された針葉樹林で、途中から広葉樹主体の森になる。 沢に近づいたり、離れたり、ときには沢を渡ったりしながら高度を上げていく。 岩場には鎖が張られたりしていて、特別に危険な場所はない。 気温が上がってきて汗が出るが、新緑の中の道を歩くのは気持ちがいい。 尾根に出る直前の林道を横切る場所では、広場になっていて、ベンチが置かれている。 時間的にちょうど休憩したくなる場所なので、多くの人が休んでいる。 私も腰を下ろして一息入れた。
 林道を離れて少し登ると、尾根の上に出る。 岩茸石である。 ここからは、尾根通しの道である。 権次入峠(ごんじりとうげ)で、岩茸石山に通じる登山道と合流。 ここまでくれば、頂上まで少しだが、あまり歩きやすくない箇所がある。 というのは、木で階段を作った登山道の、踏面の土の部分が流出しているため、非常に歩きにくいのだ。 先行する登山者を見ると、みんな階段を避けて、階段わきの踏み跡の斜面を歩いている。
 頂上には、10時着。 北西から東の方角にかけて視界が開けている。 武甲山も頭を出している。 見下ろすと、有間ダムはその一部だけが見えている。
 頂上は広い。 東屋もあるが、多くの登山者はベンチに腰掛けたり、木陰にシートを広げたりして休んでいる。 こんな気持ちのいい頂上でゆっくりしない手はない。 ベンチに腰を下ろしてしばらく休憩。
 30分ほど休んでから頂上を後にした。 まだ時間が早いので、とりあえず計画通り、岩茸石山を目指す。 いったん、権次入峠まで戻り、尾根上の道を歩く。 権次入峠を過ぎると、とたんに登山者が減り、ときたますれ違うだけになる。 棒ノ折山にやってくる大半の登山者は、有間ダム方面から往復する様子だ。
 岩茸石山まで尾根通しの道といっても、上り下りの起伏はけっこうあるし、展望のきく場所もほとんどないので、 あまり面白味のある登山道ではない。
 スミレの写真を撮ったりして、なんとなく歩き続けていたら、12時15分に岩茸石山の頂上に着いた。 人であふれた賑やかな世界である。 さすがに奥多摩でも有数の人気を誇る高水三山の一角だけのことはある。 さて、予定では西側の八桑に下るつもりだったが、せっかくここまで来て、下るだけではもったいないし、 時間もあるので、高水山経由で軍畑駅に下りることに変更。
 高水山直下の常福院不動堂に寄ってから、軍畑駅に出て、無事この日の登山を終了。 14時8分発の電車に乗って、15時半ごろには家に着くことができた。
 今回のコースを振り返ってみると、登りに白谷沢という沢沿いのコースを取ったので、 変化に富んでいて良かったと思う。 鮮やかな新緑が印象的だったし、棒ノ折山の頂上は、360度ではないが明るく開けていて気持ちのいい空間だった。

 さわらびの湯バス停から上り坂の車道をあること約10分で、有間ダムに着く。(写真右)
 満々と水をたたえた名栗湖の湖面を右手に見ながら、ダムを右岸に渡る。

 以下、写真はすべてCANON 5D Mark2・EF-24-105mm F4L IS USMで撮影。

 白谷沢(しらやさわ)のルートは、ところどころで沢を渡ったりしながら高度を上げていく。
 この時期、新緑がとても鮮やかで、すべてのものが緑色に染まりそう。

 棒ノ折山の頂上
 広々としていて、北西から東にかけて視界が開けている。
 この写真で、中央の大きな木の右に張りだした枝の下に見えているピークが武甲山。

 岩茸石山の頂上から北西方向を眺めると、今歩いてきた尾根のはるか先に、棒ノ折山のピーク(写真中央)が望める。
 この尾根伝いに、棒ノ折山から1時間45分かけて歩いてきたのだ。
 権次入峠から岩茸石山の間は、登山者が少なく静かだったが、高水三山の一つ岩茸石山に着いたら、 まるで別世界のような賑わいで、次々に登山者がやってくる。

 高水山の頂上直下には、常福院不動堂がある。(写真右) 真言宗豊山派の寺院である。
 現在の不動堂は、1822年に再建されたものという。

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