トサノクロムヨウラン

トサノクロムヨウランはラン科の多年草。 和名の漢字表記は「土佐の黒無葉蘭」。 関東以西に広く分布しているが、特に高知県に多いわけではないそうだ。
菌従属栄養植物(腐生植物)なので葉がない。
枯れ枝のようなか細い茎が数本まとまって地面から出ている姿は、香炉に多数の線香が立っている様を連想してしまう。
1cm程度の小さな花が花茎の上につき、白色の唇弁の先は紫色を帯びる。 唇弁を放射状に囲んで、やや黄色味を帯びた花びらが5枚あるように見える。 真ん中のが背萼片、その両脇に側花弁、さらにその外側の一対が外萼片という構成。
高尾山での自生地の情報は、右の写真(2022年)を撮る3年ほど前に知人から教えてもらったのだが、開花した花になかなか出会えずにいた。 一日花で、開花状態の時間が限られるということも要因だったようだ。 2023年の9月には、高尾山中の別の場所でも花を観察することができた。
なお、近縁の植物に、花を咲かせず蕾のまま自家受粉するクロムヨウランがあり、トサノクロムヨウランが区別されるようになったのは最近のことである。
2022/8/20 撮影

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