オケラ

キク科の多年草で、日本では本州以西に分布する。
漢字では朮となり、常用漢字に含まれていない。 道理で普段見かけない字で、この漢字を書ける人も読める人も少ないのでは、と思われる。
筆者も含めて山野草に詳しくない人がオケラと聞いて思い浮かべるのは、昆虫のオケラ(ケラが正式名)か、所持金がない状態を意味する「おけらになる」という言葉だろう。
調べてみると、ここで取り上げる植物のオケラも、歴史的には古くから日本人に身近な存在で、根茎は生薬として、新芽は食用として利用されてきたことがわかる。 昔はウケラと呼ばれていて、万葉集にも出てくるそうだ。
明るい林縁などを好むようで、東高尾山稜コースでもよく見かける。 写真の花は日影沢林道上部で撮影したもの。
花の構造は、同じキク科のアザミに似ていて、筒状花で構成される白っぽい頭花が、総苞の上に乗っている。 特徴的なのは破れた網のような苞葉で、魚の骨を集めたような形にも見える。
後日知ったのだが、オケラは雌雄異株で、雄株には両性花が、雌株には雌花が咲くという。 右の写真をよく見ると、両性花にあるという葯筒が見えないので、この花は雌花のようだ。
高尾山では白色の花が多いが、場所によっては、円内の写真(2022年10月撮影)のように紅色を帯びた花も見られる。
2018/9/23撮影

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