ニリンソウ

キンポウゲ科に属する多年草で、国内では北海道から九州にかけて分布する。 林床など湿った場所を好み、高尾山地域でも渓流の周辺にしばしば大規模な群落を作る。 3〜4月ごろ一斉に白い花が咲き広がる様子は、高尾山の春を代表する光景である。
1本の茎から2本の花茎を伸ばして直径2cmほどの白い花をつけるが、白く見えるのは萼。 その姿が和名(二輪草)の由来になっている。 2輪の花は右の写真(2021/3/27 日影沢で撮影)に見えるように、同時に開花するのではなく、時間差をおいて咲くことが多いようだ。
花は、変異が大きい。 典型的な変異は、ふつう白い萼片が緑色に代わるもので、ミドリニリンソウと呼ばれている。 筆者が2021年までに裏高尾で出会ったミドリニリンソウのうち、異なる3つのパターンを円内に示している。 一番上は萼片の内側が部分的に緑色になったもので、ミドリニリンソウの中ではもっとも目にする機会が多いタイプのようだ。 この緑色の面積が萼片全体に広がった例が真ん中の円内に示した写真。 一番下の円内写真の花は、萼片全体が緑色になっているだけでなく、萼片の形も丸味を帯び、通常のニリンソウからはかなりかけ離れた格好をしている。

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