ナンバンギセル

ナンバンギセルは、特異な花の姿に加え印象的な名前のおかげで、植物園で人気があるらしい。
ハマウツボ科の寄生植物で、日本を含むアジア東部から南部にかけて広く分布する。
主にススキなどイネ科の植物の根に寄生して養分を得、葉緑素を持たない。 このため葉は退化して見えないようだ。 地上に花茎を上方へ向かって延ばし、その先に萼と赤紫色の筒状の花をつける。 花期は8月から10月にかけてで、比較的長い。
和名のナンバンギセル(南蛮煙管)は、花茎を含めた花の形が南蛮(外国)人が使っていたキセル(パイプのことかも)に似ていることに由来している。 古くは、思い草(オモイグサ)と呼ばれ、万葉集にも出てくるそうだ。
筆者が以前に見たことがあるのは野川自然観察園と昭和記念公園で、いずれも湿った土地の印象を受けた。 以来、てっきりナンバンギセルは、そのような環境を好むものと思い込んでいた。 ところが、高尾山ではもみじ台を通る尾根道の乾燥気味の場所で見られるので、意外な印象を受けた。 調べてみると、ナンバンギセルの環境への適応力は高く、寄主が生育できる場所であれば、どこでも生育できるそうだ。
高尾山でも数を増やしているようで、2022年9月には数えきれないほど多くの花が見られた。
写真は、2021/8/22撮影。

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