ムベ

ムベ(郁子)は、アケビ科に属する常緑のつる性木本植物。 日本では本州の関東以西から沖縄にかけて分布するが、高尾山では数が少ないようだ。
雌雄同株で、花期は4,5月頃。 雄花は3〜7個で総状花序を構成し、雄花より少し大きな雌花は数が少ない。 花には花弁はなく、白っぽくて目立つのは6枚の萼片で、内側の3枚が幅が狭く、外側の3枚が幅広の萼片になる。 萼片のつけ根は紅紫色を帯びる。 右の写真でこちら向きの3つの花は雄花で、中心部に合着した6個の雄しべがある。 右下円内の花は雌花で、花の中央に3個の花柱が見えている。
興味深いのは、ムベという名前にまつわる伝説で、次のような内容である。 天智天皇が近江の国で狩りをした際、元気な老夫婦に出会い、健康で長寿の秘訣を尋ねた。 すると、ある果実(ムベ)を差し出され、これを食べた天皇が「むべなるかな(もっともである)」と言ったのがムベの由来とされる。 真偽のほどはともかくとして、面白い伝説である。
2023/4/23撮影

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