キチジョウソウ

キジカクシ科の多年草で、関東から九州にかけて分布する。 和名は、漢名の吉祥草を音読みしていて、吉事があると花が咲くとか、咲くと縁起がいいとかの言い伝えがあるそうだ。 このため、開花は珍しいことのような印象を受けるが、ヤブランのような細長く繁茂する葉の陰に隠れるように花が咲いて、遠くからは目立たないためらしい。 実際には、毎年のように開花するようだ。
花名が吉事に関係していて、管理が容易なことから、園芸用としても人気があるという。
生育環境については、林内の薄暗い場所を好むようで、右の写真は高尾山の山頂からもみじ台に向かって下った登山道脇で撮影した。 ここではキチジョウソウが群生していて、年々、株が増えているようだ。
花に近づいてみると、紅紫色の小花が花茎に多数つき、縁起の良い名前にふさわしく華やかな姿をしている。 高貴な雰囲気も漂わせているのは、日本人にとって、紫色が高貴なイメージと結びついているのが影響しているのかもしれない。
小花は下の方から順に咲き、下部の花は両性花となり、雄しべ6個と雌しべ1個で構成される。 上部の花は、雄しべだけの雄花となる。 左下円内は両性花の拡大写真で、雄しべより長く突き出た紫色の雌しべの花柱が見えている。
2020/10/24撮影。

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