キブシ

キブシ科の落葉低木。 日本固有種で、北海道南部から本州、四国、九州にかけての山地に分布する。
登山や山歩きを趣味にしている人にとっては、見かける機会が多く馴染みの花と思われる。 春もまだ浅い3月ごろ、葉の出る前に黄色の花をつけた穂状花序が、ブドウの房のように垂れ下がっている姿はよく目立つからだ。 筆者がキブシの花を知ったのもずいぶん昔のことであるが、雌雄異株であることに気づいたのは、最近になって高尾山で花の写真を本格的に撮り始めてからだ。
一般的には雄花の花序は雌花のそれより長いことで雌雄を判別できるが、より確かなのは個々の花の中を見ること。
雄花(写真の左下円内)は淡い黄色で、中を覗き込むと、8個の黄色の雄しべが雌しべを取り囲んでいるのが見える。 雌花(写真の右下円内)は、雄花に比べて緑色を帯びていて、内部には緑色の雌しべの大きな子房が見え、退化した雄しべは見えない。、
和名の漢字表記は木五倍子。 種子が五倍子(ふし、ごばいし)の代用の染料として使われたことに由来するそうだが、五倍子を「ふし」と読める人は多くないだろう。
右の写真は、日影沢林道く(2019/3/23)で、円内の2枚は別の日に同じく日影沢林道で撮影。

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