フサザクラ

フサザクラは、フサザクラ科に属する落葉高木。 日本固有種で、本州、四国、九州に分布していて渓流沿いに多いという。 高尾山では日影沢や4号路などで目にすることができる。
サクラの名がついているが、バラ科の一般の桜の仲間ではない。
和名の表記は房桜、または総桜。 房状の花が、遠目には桜の花のように見えることと、樹皮が桜に似ることが名前の由来のようだ。
実は、筆者は実物を高尾山で見るまでフサザクラの名前を知らなかった。 2019年春に日影沢林道を歩いていたときに、偶然出会った男性が教えてくれたのだ。 見上げると、赤い花の房が点々と見え、サクラの花のようにも見えないことはないが、距離があるので細部まではわからなかった。 望遠ズームで数枚の写真を撮り、帰宅後に調べてみてようやく構造が理解できた。 いわゆる桜の花とは、形、構造ともまるで異なり、花弁や萼片がない。 7mmほどの赤く細長い組織がたくさん垂れ下がっているが、これが雄しべの葯。 雌しべは、雄しべ花糸の基部に集まっていて目立たない。
もう少しいい写真を撮りたいと思ったが、花期が数日と短いので、翌春以降にお預けとなっていた。 2021年になって、赤味が鮮やかで少しはましな写真が撮れたので、差し替えることにした。
2021/3/7撮影

[Back]