瑞泉寺(富山県南砺市) 2013年 12月
 瑞泉寺は富山県南砺市井波にあり、詳しくは真宗大谷派井波別院瑞泉寺と称し、山号は杉谷山(すぎたにさん)である。
 名前にある通り、真宗大谷派の寺院で、略して井波別院とも呼ばれる。
 本願寺第五代綽如(しゃくにょ)によって1390年に創建されている。
 筆者が訪れた季節は12月上旬で、北陸のお寺を回るには適しているとは言えなかった。 しかし当日は穏やかな天気に恵まれたので、運が良かったといえる。 最初に高岡市にある瑞龍寺と勝興寺を拝観し、車で移動して南砺市に着いた昼ごろには、青空が広がっていた。
 まず見上げるような立派な山門に迎えられる。 境内に入ると広い空間の正面に本堂、左手に太子堂などの堂宇が並んでいる。 さすがに北陸に大きな基盤を持つ浄土真宗の寺院だ、というのが第一印象である。 かって戦国時代の一向一揆の拠点になり、寺内町を形成していた頃の景観とはまったく違っているのだろうが、 往時をしのばせる規模である。
 大都市が近くにない井波に、これだけの寺院を維持してきた門徒の信仰心の篤さも驚くべきものだ。
 明治時代に再建された本堂も北陸随一と言われる巨大な伽藍(広さ450畳)だが、隣にある太子堂も見事な彫り物で存在感がある。 井波彫刻の粋を集めて大正時代に再建された建物で、いたるところに精緻な彫り物が組み込まれている。
 一通り境内を拝観したのち、山門から出て参道を歩いてみた。 石畳のまっすぐな道の両側にたくさんの彫刻を扱う店が並んでいる。 井波の彫刻は、江戸時代の瑞泉寺本堂再建のおり、京都から派遣された彫刻師から地元の大工らが 学んだのが始まりとされる。
 八日町通りと呼ばれる参道は、日本の伝統的な雰囲気が色濃く残っている魅力的な街並みだが、 観光シーズンは終わっていて、賑やかさがなかったのが残念だった。
 写真は、CANON 5D Mark U・EF24-105mm F4L IS USMで撮影。


本堂から見た山門
19世紀初めに再建された堂々とした山門。 赤茶色の瓦が目立つ。
2013/12/8撮影

本堂
明治になってから再建された建物だが、これも大きい。
屋根は修復工事の際、銅板からガルバリウム鋼板に葺き替えられたという。
本堂の左手に、太子堂の屋根の一部が見えている。 本堂と太子堂は渡り廊下でつながっている。
瑞泉寺は、背後の八乙女山から広がる山裾に位置している。
2013/12/8撮影

太子堂
こちらは大正時代に再建されている。
本堂に負けないほどの存在感があり、太子信仰の強さを物語っている。
すでに冬への準備で雪囲いがされていた。
2013/12/8撮影

 太子堂の正面
彫り物がふんだんに使われている。
2013/12/8撮影

 瑞泉寺の山門に通じる参道は八日町通りと呼ばれ、石畳の道の両側に風情のある家並みが続いている。 井波は木彫りの里といわれるだけあって、彫刻の店が多い。
 12月ともなれば観光シーズンは終わっていたので、休日にも関わらず人通りがなかった。 商店の並ぶ参道が、昼間に閑散としているのは寂しいものだ。
 正面に見える山(八乙女山)の麓に瑞泉寺の境内が広がっている。
2013/12/8撮影

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