八坂の塔(法観寺)(京都市) 2013年 2月
 八坂の塔は通称。 正しくは法観寺(ほうかんじ)で、山号は霊応山。
 臨済宗建仁寺派の寺院である。
 聖徳太子が如意輪観音の夢告により建てたという伝承はともかくとして、 平安京遷都以前の7世紀ごろから存在していたことは確からしい。 ということは、近隣にある大きな寺院と比べてみると、高台寺や建仁寺はもちろん清水寺をもしのぐ長い歴史を持っている ことになる。
 現在は、狭い境内に大きな伽藍としては五重塔が残るだけというちょっと変わった寺である。 その五重塔は1440年に再建されたもので、高さは46mもある。 低層の家屋が並ぶ市街地の中に建っているので大変目立つ存在だ。
 しかも拝観時に、その五重塔内部に入って二層目まで登ることができるのだ。
 塔の中に入ると、薄暗い堂内には五智如来像が安置されている。 脇の狭く急な階段を登って2層目に達すると、窓越しに京都の市街地が見渡せる。
 筆者が訪れたのは冬の日の朝で、ほかに拝観者がいなかったのでゆっくり見学できた。 歴史のある五重塔の二層目まで登れるのは珍しいことなので、よい体験ができた。
 もっとも、高さに関しては30数mとする説もある。 高さの定義が違うのかもしれないが、どの数字が本当なのか、はっきりしない。
 境内には、五重塔のほかに見るべきものがないのだが、古寺や古建築、五重塔に興味のある人には 見逃せない場所で、拝観料を払っても一見の価値は十分ある。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 八坂通を三寧坂方面から下ってくると、絵になる構図で八坂の塔が現れる。
 カメラを持った観光客の大半がここで写真を撮るようだ。
 反対に東大路通から坂を登ってきてもやはり目立つ存在である。
2013/2/11撮影

 上の写真は冬だが、こちらは桜の季節に撮った一枚。
2011/4/11撮影

 五重塔初層内部を外から見たところ
 五智如来像が安置されているのが見える。
 下部には創建当時のものとされる心礎も見える。
2013/2/11撮影

 二層目では心柱を見ることができる。
 現在の五重塔は1440年の再建だから、もう500年以上経っていることになる。 それほどの年月を感じさせない力強さがある。 木は長持ちするものだ。
2013/2/11撮影

 二層目から西方の眺め
 京都の市街地が見渡せる。手前の瓦は初層の屋根。
2013/2/11撮影

 江戸時代に再建されたといわれる太子堂(左)と薬師堂(右)
 五重塔のほかには、主だった堂宇としてはこれら2つくらいだ。
2013/2/11撮影

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