當麻寺(葛城市) 2011年 11月
 當麻寺(たいまでら)は、奈良県葛城市にある寺院で、山号は二上山である。 宗派は真言宗と浄土宗の並立である。
 最初は、地方豪族の当麻氏の氏寺として建てられたという説があるが、正確な創建の 経緯は明らかでないようである。 平安時代末期から鎌倉時代あたりになって、当麻曼荼羅への信仰と中将姫伝説が広まり、 當麻寺の名も知れ渡るようになったらしい。
 筆者が訪れたのは11月中旬で、紅葉の時期だった。 仁王門から入ったのだが、残念なことに仁王門は修復中で、覆いがかけられていた。 境内に入ると、国宝の梵鐘が現れ、背後に二上山の山並みが見える。 當麻寺の伽藍は、二上山の山すそが東に向かって下るゆるやかな傾斜地に配置されている 様子が見てとれる。 ゆるやかな斜面を登ると、まず左手に中之坊が出てくるが、ここはあとで拝観することにして、 さらに進むと正面に本堂(曼陀羅堂)、左手に金堂、右手に講堂が現れる。 金堂と講堂が南北線上に並び、本堂が東面しているというちょっと変わった伽藍配置である。 もともとは、南面して建つ金堂と講堂および付随する2つの三重塔という薬師寺式配置と似た構成だったのが、 後に今の本堂が東面して建てられたためにこのようになったらしい。
 本堂に入って、本尊の当麻曼荼羅を拝観する。 ここの本尊は仏像ではなく曼陀羅なのである。 中将姫が蓮の糸を使って一夜で織り上げたという伝説の曼陀羅が、厨子に掛けられている。 といってもオリジナルではなく、16世紀初めに転写したものだそうである。 それでも500年くらい経っているわけで、細部の模様は判然としない。 ほかにも役行者像や十一面観音像などがある。 なかでも人気があるのが中将姫二十九歳像で、なかなかに魅力的な表情をしている。
 次に金堂内の塑造弥勒仏坐像、講堂内の本尊阿弥陀如来像を拝観した。 いずれの堂内でも、説明はラジカセから流れてくる録音済みのものだった。
 その後、東塔、西塔、本堂の裏手の奥院の浄土庭園、中之坊の庭園を見学して 當麻寺の拝観を終えた。
 當麻寺は、広い境内に多彩な堂塔伽藍や仏像、庭園があり、それに中将姫の伝説などが あって、ゆっくり見るとすぐに時間がたってしまう。 なかなかに見どころの多い寺である。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 仁王門から境内に入るとまず梵鐘のある建物と背後の二上山が目に入る。 この梵鐘は日本最古といわれ、国宝に指定されている。
2011/11/20撮影

 梵鐘の横を通って中に進むと、正面に本堂(曼陀羅堂)が現れる。
 平安時代末期の建築といわれ、これも国宝に指定されている。
2011/11/20撮影

 講堂
 本堂を正面に見て右側に建っている。
2011/11/20撮影

 鎌倉時代に再建された金堂
 講堂に向かい合うように建っている。
 この写真は講堂の前から北面を撮ったもの。 今はこちら側から中に入るが、本来は反対側の南が正面だ。 中の弥勒仏坐像(国宝)も南面しているし、 日本最古といわれる石灯籠も金堂の南側にある。
2011/11/20撮影

 奥院から見た東塔(左)と西塔(右)。
2011/11/20撮影

 浄土庭園

 浄土庭園を歩いていた時、ベニシジミがやってきてイチョウの落ち葉に止まり しばらく休んでいた。 模様から判断すると秋型である。 蝶を趣味にしていると、蝶の観察が目的でなくても、飛んできた蝶を反射的に 追いかけてしまう。
2011/11/20撮影

 中之坊の庭園「香藕園(こうぐうえん)」にある心字池と東塔。
 桃山時代の庭園である。
2011/11/20撮影

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