築地本願寺(東京都中央区) 2011年 3月
 東京都中央区にあり、浄土真宗本願寺派(本山は西本願寺)の寺院である。
 一般には築地本願寺の名で親しまれているが、正式には本願寺築地別院という。 近くには築地魚市場や朝日新聞社のビルなどがある。
 もともとは、浅草近くにあったものが、江戸時代の明暦の大火で焼失し、 現在地に海を埋め立てて再建したといういきさつがある。 ところが、関東大震災で再び焼失し、建てなおされたのが現在の伽藍である。 建築家伊東忠太の設計による鉄筋コンクリートの建物は、大変斬新で今でも異彩を放っている。 築地のシンボルの一つだろう。
 予備知識なしに正面の門から本堂を眺めたら、とてもこれが仏教寺院とは思えない。 屋根の上に十字架があればキリスト教会と思うだろうし、イスラム寺院と言われれば そうとも思えてしまう。 奇妙な形をした動物の石像に迎えられて石段を登って中に入ると、 これまた一風変わった空間が広がっている。 正面の須弥壇は伝統的な様式に従っているようだが、外陣には椅子席が並んでいて入り口の 頭上にはパイプオルガンが設置されている。 お寺にパイプオルガンという組み合わせの例をほかで見たことがない。
 私は歴史の重みを感じさせる古い寺院建築が好きだが、 新しい寺院の建物にこのように斬新なデザインが採用されるのも好ましく思っている。 伝統的な木造建築の外観でありながら、鉄筋コンクリート造りという建物のほうにむしろ違和感を覚え、 好きになれない。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMおよびCANON 5D Mark U・EF24-105mm F4L IS USMで撮影。


 正面
 日本の伝統的な寺院建築からはかけ離れた外観である。
 建物の前はコンクリート舗装され、駐車場となっていて、うるおいに乏しい。 噴水でも置いた方が似合うのではないだろうか。
2011/3/04撮影

 上と同じ構図で、日にちと時間帯を変えて撮った写真。
 東日本大震災のあと、ライトアップはしばらく中止されていた。 2013年に、再開されていることを知り、年の瀬の12月29日に訪れた。 この写真は夕方5時頃の撮影である。
 照明の効果によって、球形のドームが乗っているように見える。 そのため、仏教寺院というより、キリスト教会の建築を連想してしまう。
2013/12/29撮影

 ロールケーキを載せたような円筒形の屋根が目を引く。 インドの仏教建築に詳しくないが、写真で見るクシナガラの涅槃堂の形に似ているように思える。 後方に見える高層ビルは聖路加病院。
2011/3/04撮影

 伽藍内部
 和風、洋風のどちらの要素も取りこまれていて、外観同様にユニークだ。
 堂内の後にはパイプオルガンが設置されている。 お寺にパイプオルガンという組み合わせも異色である。
 毎月最終金曜日の昼にパイプオルガンの演奏会が開かれる。 だれでも参加できるというので、2011年の2月に出かけてみた。 30分ほどの演奏会だったが、演奏も響きも良かった。 椅子席がほぼ埋まっていて、近在の事務所で働くサラリーマンらしき人たちの姿もあった。
 こういう催し物を通じて、仏教が我々の身近な存在になるのはいいことである。
2011/2/25撮影

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