修禅寺(静岡県伊豆市) 2011年 12月
 修禅寺(しゅぜんじ)は、静岡県伊豆市にある曹洞宗の寺。 山号は福地山(ふくちざん)である。 正式には、福地山修禅萬安禅寺(ふくちざんしゅぜんばんなんぜんじ)と称する。
 9世紀初めに弘法大師によって開創されたと伝えられ、当初は真言宗の寺であった。 鎌倉時代になって蘭渓道隆により臨済宗に変わり、さらに室町時代になって曹洞宗に改宗している。 このような経緯から、通常、曹洞宗の寺院の本尊は釈迦如来にもかかわらず、 修禅寺の本尊は真言宗のときの大日如来のままである。
 筆者が拝観したのは、2011年の12月も押し詰まった26日で、 熱海で忘年会があった帰りに修善寺まで足を延ばした。
 修善寺は鎌倉時代に歴史を揺るがす事件の舞台になったところであり、歴史好きには 興味深い町である。
 バス停から歩くと途中に日枝神社があるので、まずここを参拝。 その後、修禅寺の境内に入って本堂にお参りする。 境内はそれほど広くはない。 修禅寺は修善寺温泉街の真ん中にあり、ここに来る観光客の大半が訪れるようである。 この日も平日にも関わらず観光客がかわるがわる参拝していた。
 修禅寺を出て少し歩き、源範頼の墓に詣でる。 源範頼は源頼朝の異母弟であるが、頼朝によって修禅寺に幽閉されて亡くなっている。 墓はいかにも田舎の片隅というような斜面にあり、簡素なたたずまいである。 ここまで来る観光客は少ないとみえ、喧騒とは無縁のようだ。
 ついで、指月殿に向かう。 北条政子が、子の鎌倉幕府第2代将軍頼家の死を悼んで建立した伊豆最古の木造建築である。 こじんまりとした建物からは、長年の風雪に耐えてきたという風情が漂っている。 近くには、頼家の墓もある。
 お寺としての修禅寺にあまり見どころがあるとは思えないが、周辺の源範頼や源頼家の墓などを 含めて散策すると、鎌倉時代に思いをはせることができる。
 ただしこの日は、修善寺が源範頼の幽閉、自刃や源頼家の暗殺という暗い歴史の舞台となったことが、 想像しにくいほど明るく晴れ渡っていた。
 写真は、PENTAX K-5・DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDMで撮影。


 修禅寺山門を望む。
 修善寺温泉街の真ん中にある。
2011/12/26撮影

 山門から本堂を見る。
 現在の本堂は、明治時代に再建されたもの。
2011/12/26撮影

 源範頼(源頼朝の異母弟)の墓
 修禅寺から少し離れた場所にひっそりと置かれている。
2011/12/26撮影

 指月殿
 暗殺された源頼家の母政子が建立した伊豆最古の木造建築。 指月とは経典を意味すると説明板に書かれていた。
 中に釈迦如来坐像が安置されている。
 すぐ近くには頼家の墓があり、背後の山の斜面を登ると、 「岩谷観音とおしゃぶり婆さん」の像が置かれた祠がある。
2011/12/26撮影

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